いい部屋あります。 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 392
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041061633

感想・レビュー・書評

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  • 長野まゆみさんの作品を初めて読みました。
    なんとなく買って、大学生が寮生活始める話ね〜
    と思って読み始めたのですが、想像していたものとまったく違いました。
    前半は主人公の鳥貝がひたすら翻弄されて、読者も鳥貝と一緒に?だらけです。
    何かよくわからず気持ち悪いけど、きちんと回収されるので大丈夫。
    文章は綺麗で優しい。BL要素があるとは思っていなかったので驚きましたが、これくらいなら許容範囲かな。

  • 長野まゆみのいい部屋ありますを読みました。

    長野まゆみの小説というと、美男子がたくさん登場してボーイズラブのにおいのする、少女向けコミックのような小説というイメージがあります。
    今回の作品もそのような小説に見せかけていますが、ストーリーのほうはちょっとひねりが入っていて面白く読みました。

    主人公の鳥貝一弥は希望する大学に合格して下宿先を探しますが、予算に見合うアパートが見つかりません。
    大学の学友クラブに顔を出すと、大学には寮があるが入寮審査がきびしいということを聞きます。
    しかし、なぜか大学の寮へ案内された鳥貝は個性的な入居者たちに驚きます。
    一癖も二癖もある入居者たちは、しかし鳥貝に隠している秘密があったのでした。

  • 素直な鳥貝と曲者揃いの寮生たちの絡みが良い。
    百合子というトリッキーな人物がかき回すせいで、鳥貝じゃなくても騙されます。
    後半になるにつれて暖かく優しく物語が変化して行って、満足の溜息と共に読み終えられます。

  • とにかく百合子くんがかわいい、すっごくかわいい。

    百合子千里(ゆりこ ゆきさと)は男性。なんと“百合子”は苗字。
    主人公の名前は鳥貝一弥(とりがい たかはる)で、他にも安羅(やすら)さん、白熊(はぐま)さん、多飛本(たびもと)さんと長野まゆみさんらしいネーミングセンスの人たちが沢山登場してくれて嬉しい!

    春から大学生として一人暮らしをするために上京し、学生寮に応募していたものの、抽選に外れ、他の近辺にある物件を探すがどれも残り物の物件であり、高額or劣悪条件ばかり。
    部屋探しに途方にくれる中、学生クラブの会長に勧められ、学生が運営・管理している物件を紹介される。価格もお手頃、環境、部屋の状態も最高。しかし、その物件に入居するためにはある条件が課せられていて……。

    作中で主人公も少し察して警戒していたような、歳上の男たちに囲まれながら総攻めハーレム的な寮生活を送らされるのではないか…という展開は無く。「左近の桜シリーズ」のような雰囲気とは違い、どちらかというと凄くほのぼのとしていて、心が温かくなるお話でした。周りの人たちがみんな良い人ばかり。
    食べ物も美味しそう!細かく章が区切られているので、短編みたいで読みやすかったです。



  • 最初、これはBLですか?と思いましたが、多分、違います。なかなかの謎掛け?謎解き?小説です。最後に、全ての謎が明かされていきます。

    大学進学のために、上京し部屋探しをする鳥貝一弥。都内の賃貸は高く、予算に合う部屋はかなりの難あり物件。そんな時、学食で男子寮の斡旋をしてくれると…あれよあれよという間に、その寮で食事を作って泊まることに。夜中にも不思議な事があったが、翌日には、ここに棲むことに決めた。
    そして、荷物を送る手配をしに一度実家に帰って。そこにも、男子寮のメンバー1人がいて…。

    一弥は、高校入試の時に、自分が養子だと知ったが、特に気にも留めていなかった。
    それが、この男子寮との出会いで解き明かされていく…。

  • もう少し読んでいたかった、と余韻に浸る感じの物語の閉じ方。
    美味しそうな食事の場面もあって、胃袋を刺激された。読後、美味しいアプリコットタルトやクロワッサンが食べたくなった。
    不思議な寮でキャンパスライフが繰り広げられると思っていたら、全く想像しない方向に話しが進んで、穏やかな波にさらわれたような感覚。
    荒々しい波にさらわれたような感じではなく、するすると抵抗できないまま優しく連れ去られたように物語を読み終えた。
    みんなクセがあるのに、みんな優しい。
    少年愛というには大人になり始めすぎていて、大人のドロドロした性愛にはほど遠い、そんな成長の隙間のような話。
    現実にはこの物語にでてくるような人物に出会うことはなかなか難しいだろうな、とは思うけれど、、、。

  • ドキドキしながら読んだ

著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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