父と私の桜尾通り商店街

著者 :
  • KADOKAWA
3.28
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本棚登録 : 1264
感想 : 154
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041063415

作品紹介・あらすじ

店を畳む決意をしたパン屋の父と「私」。父は残った材料が尽きるまで、最後の営業としてパンを焼き続けるが、「私」がコッペパンをサンドイッチにして並べはじめたことで予想外の評判を呼んでしまい――。(「父と私の桜尾通り商店街」)
全国大会を目指すチアリーディングチームのなかで、誰よりも高く飛んだなるみ先輩。かつてのトップで、いまは見る影もないなるみ先輩にはある秘密があった――。(「ひょうたんの精」)
ほか、書下ろしを含む全六編を収録した、今村夏子史上最高の作品集!

収録作品
・白いセーター
・ルルちゃん
・ひょうたんの精
・せとのママの誕生日
・モグラハウスの扉 書き下ろし
・父と私の桜尾通り商店街

感想・レビュー・書評

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  • 「白いセーター」が一番良かった。
    私が悪いの?え?っていう理不尽さとそういうことに巻き込まれてしまいがちなタイプの解像度がすごい。そして全体的に漂う不穏さが今村ワールド全開で面白かった。

  • 白いセーターのカップルの話が1番好き。
    義理の姉に突然子ども4人の世話を頼まれる時点で不穏な空気満載。

  • 独特な人間の怖い面というか、思い込みとかちょっと一つの考えに取り憑かれちゃう感じとか
    この筆者さんだなーと思う
    面白かったけど、よくわからない話もあった
    人間って身勝手よなあと思う

  • 表題作含め、6つの短編が入った短編集。

    今村さんの作品は出版年の順番通りには読んでこなかった(順番通りに読んだらよかったと思う。汗)けど、既刊本は一応全て読んできた。読んでわかったのは、少しずつ作品のテイストが違うということだ。ときには日常的な設定だったり、奇妙で不思議な設定だったりと、あるいはテーマのようなものがあったりと、今村さんが色々とチャレンジされているのだと推察する。でも今村さんの作品に共通している、ベースになっているものはやはり不穏さなのだと、読了した今そう思う。

    ある短編集について、僕が怖いと感じなかった短編を怖いと言っていた人がいて、その逆にその人が怖く感じなかった短編を僕は怖く感じたりと、やはり人によって受け取り方に違いがあるようだ。ひとつ言えることは今村さんの作品は相変わらず怖く、不穏で、不気味なのだ。それでいてときにのほほんとして、不思議な世界が展開される。

    今作はとくに面白かった。僕は「白いセーター」が一番怖く感じた。なんでもない日常のワンシーンが急に怖くなって、読んでいてとてもハラハラし、ページを手繰る手が早まった。そしてそれ以外の作品も本当に不穏で、それでいてくすくすと笑いが止まらなかった。怖さだけじゃなくて、僕はどこか懐かしさや可笑しさも感じたし、しんみり来たりもした。そんな様々な感情を一冊の短編集で起こさせてもらって、作者に感謝の気持ちがいっぱいになった。今村さんの短編集を三つ続けて読んだが、本当にすごい想像力だと思う。

    でもなんで星5じゃないの?とツッこまれたら(自分でも自分にツッこんだのだが)、僕はほとんど短編集というものに星5をつけたことがないという苦しい言い訳をするしかない(すみません。)なんでかわからないけど、たぶん、より没頭できる長編に高い評価を与えがちなのだろう。僕のレビューを読んでいただいてる方に改めて感謝の気持ちと、僕のレビューを読むときはほんと疑ってかかってくださいというお願いで締めたいと思う。

  • 桜尾通り商店街の外れでパン屋を営む父と、娘の「私」。
    うまく立ち回ることがきず、商店街の人々からつまはじきにされていた二人だが、「私」がコッペパンをサンドイッチにして並べはじめたことで予想外の評判を呼んでしまい……。(「父と私の桜尾通り商店街」)
    全国大会を目指すチアリーディングチームのなかで、誰よりも高く飛んだなるみ先輩。
    かつてのトップで、いまは見る影もないなるみ先輩にはある秘密があった。(「ひょうたんの精」)
    (アマゾンより引用)

  • 世の中には色んなタイプの人がいて、人と人の
    関わり方は複雑。心のざわつき、、ときに言葉
    では言い表せない、表現し難い感情がある。

    そこに「今村夏子ワールド」と言われる著者の
    独特な世界観と描写。

    3冊を読み終えて、何となくモヤモヤの原因が
    見えてきた気がしている、、

    本書は笑えるところもあって読みやすかったし、
    “せとのママの誕生日”はシュールで面白かった。

    この勢いで、、
    『むらさきのスカートの女』を読むぞ!

  • 今村夏子さん大好き。
    今まで読んだ本の中ではライトな感覚。ちょっと遠慮があるような?もっとディープで良いのに、と思いました。

  • 世間とズレてる人の「ズレ方」を描くのが狂気的で絶妙。上手い。癖になる世界観。
    しかし帯の煽り文句がまったくトンチンカン…。こういう売り方は良くないと思う。

  • 本の紹介文から商店街のグルメ人情物かと
    思ってたら独特な世界観、各話で出てくる
    女性が世間とずれている感じが読んでて
    ゾワゾワしました。どの短編でも「えっ?」
    と思わせる描写があちらこちらにあり、
    特に「せとのママの誕生日」に出てくる
    女性達は全く理解が追い付かずもしかして
    私の方がずれているのかと不安になりました。
    ちょっと不気味な話と結末が怖かった。

  • 人生には3つの坂がある「上り坂」に「下り坂」そして「まさか」。結婚式のスピーチのようになってしまいましたが、今村さんの小説は、上り坂がなくって、緩い下りから次第に速度が増してるのに気づかずに転げて行ってハッと思った時にはブレーキ壊れてしまって止まらないって感じがするんですよね。
    現存する今村夏子さんの作品、ラスト7冊目を読了しました。
    4月からは自転車もヘルメット被らなきゃいけないし突然転倒しても大丈夫なように気合を入れて臨みました。
    6編の短編はどこまで転げ落ちるんだろう。どんな底から歪んだ空見上げることできるんだろうかなんて期待してる時点で今村沼にはまってるかな。
    「白いセーター」
    同棲してる2人がクリスマスイブにお好み焼屋で食事する話。うーんこの二人かみ合ってないなあ。ゆみ子まわりから大切にされてない。不器用感ビシバシ伝わってきてるけど、緩やかな坂くだってる感じでした。なんか違うなって違和感が生じるなか不器用な人は微調整できないですよね。
    「るるちゃん」
    子供虐待の話になるとスイッチが入ってしまう同調圧力強めのおばちゃんから、るるちゃん人形を救出した話。10年経ってるから時効かなって感じだけど。難しい日本語を理解できてる同僚のベトナム人、コミュニケーション能力高そう。
    残り4遍は、順調に転げ落ちてる感じでスリルを感じました。ウリキンカウバを唱えながら跳んでるチアは怪しい新興宗教のようだし、スナックのママさんに椎茸とか干し葡萄、世話になった元従業員たちがお供えしてるのは埋葬シーンのようで常軌を逸してる。恩義も怨みも煮込んでしまえばお腹抱えて笑い飛ばすしかささそうで、ずーと寝ててくださいって感じでした。
    モグラの話では、もうすっかり穴に堕ちちゃってますし、最後の売れないパン屋さんの話は、優先順位わからずに目先の事だけで判断している娘が滑稽に映りました。
    身内の他にかまってくれる人がいる事が新鮮で無性に嬉しいのでしょうね。

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著者プロフィール

1980年広島県生まれ。2010年『あたらしい娘』で「太宰治賞」を受賞。『こちらあみ子』と改題し、同作と新作中短編「ピクニック」を収めた『こちらあみ子』で、11年に「三島由紀夫賞」受賞する。17年『あひる』で「河合隼雄物語賞」、『星の子』で「野間文芸新人賞」、19年『むらさきのスカートの女』で「芥川賞」を受賞する。

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