わたしたち、何者にもなれなかった

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 161
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041071038

作品紹介・あらすじ

とっくの昔に諦めた夢。本音で話せる彼氏も友達もいない。気づいたら30代、仕事しかない。いつの間にか、自分だけが負け組だ――。

感想・レビュー・書評

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  • 別の世界の人、て思うことあるけど
    いったいどこで違うのかな。

    何者にもなれなかった件について
    正直自分でもわかってるけど
    言葉にされるとなかなかしんどい。
    でもみんなそう思ってる部分があるなら
    ちょっと救いにもなる。。かも。

  • 映画雑誌の編集部で働く30代の夏美は、高校時代から始めた映画制作のチーム『リーラ・ノエル』の思い出に囚われていた。

    今の毎日に満足していない時に、あの頃は良かったと過去に目を向けてしまうことは良くあること。
    輝かしい過去があれば尚のこと。

    過去の記憶の中心にいたサキが、今はいないと言う事実と、そこに隠された秘密がやがて明かされ、夏美を始め『リーラ・ノエル』のメンバーがこれからの人生を真っ直ぐ進んでいけるようなラストに最後はスッキリと読了。

    彼女達の撮った短編映画がとても気になりました。

  • 高校時代に映画サークルを立ち上げた4人。世間的な評価も高まっていたさなか、突如中心だったサキが突然いなくなり解散になる。そうして十余年が過ぎ、それぞれの人生を歩んでいた3人が直面した過去の真実とは…

    そんな粗筋の、女性4人の過去に潰えた夢と、それぞれ「うまくいってない」現実の齟齬に苦しみ悩む物語。フラッシュバックのように過去に撮った映画がエピソードのモチーフと描かれ、一人ひとりの抱えている事情が明らかになっていき、やがてサキが失踪した理由も詳らかになっていきます。筋立てや真実そのものはストレートなものですが、自分のエゴとかつての夢のはざまで苦しむ女性たちの姿がとても現実的に描かれていて共感も抱けました。

    「現在」に不満があれば「過去」に目を向けたり目をそらすということは誰でもすることで、彼女たちのように眩い日々があったのならなおさらでしょう。そして訳も分からず消えた彼女にその責を問いたくなるというのも。
    自分の人生はあくまで、自分自身の選択肢の積み重ねの結果に過ぎない、ということから、どうしても目をそらしてしまう、それがひとというものだろうから。

    映画というテーマがとても効果的に用いられていて、終盤の一連の場面は美しいな、と思いました。「それ」しか知らない彼女の、たったひとつの「愛しい人たちへのメッセージの伝え方」。その純粋な想いは、「過去」に囚われていた彼女たちに「未来」へ歩む力を与えてくれるものに違いないと、そう感じたのでした。

  • サキ以外の3人の現在と高校以来の回想でストーリーは進んでいくのだけれど、サキが、スキップとローファーのみつみや、成瀬は天下を取りにいくの成瀬に見えてくる。最終章ではサキに「裏切られた」。最後に見せてくれた映画が泣けた。瀬名さんの小説は大好きで、これも映画にして欲しいと思いました。

  • 「自殺願望のある月」「追憶の中の君へ」「春に降る雪はあたたかい」「さいごの願い(未完成)」「深海魚は浅い海で眠る」「エンドロール」
    6話で構成された長編。

    高校時代、映画同好会『リーラ・ノエル』と命名したチームを作り活動していたサキ・夏美・佐和子・弥生、4人の女性の物語。

    いつか「何者か」になりたくて夢を持っていた4人だが中心人物サキの失踪で状況が変わってしまう。

    30代になり皆、日々の不満を感じながら生きている。

    自分の夢を叶える為に他力本願じゃいけない。

    「何者か」になれない人生だってみんな生まれて来た意味はある。

  • 作者が伝えたい本当のことがよくわからなかった。でも、人の期待に応えようと無理をしたり、人と比べたり、見栄を張ったりしても最終的には自分の人生を思い描けないよ、ってことなのかなと思った。

  • この作者は本当に男性?
    と思うぐらい女性の心理描写が凄いと感じる。
    サキと仲間な人生、サキとそれぞれの心理や行動。
    良かった

  • 自分にも重なる部分が多かった

  • ストーリー的には凡庸な感じがちょっとあったけど、ドキッとするような、言い得てる言い回しとかが端々にあったし、登場人物たちの複雑な状況や気持ちもとてもうまく表現できていて、おそらく多くの人が抱えているだろう葛藤や悶々とした気持ちをよくここまで如実に表すことができるなぁと感心した。ストーリーの展開とかよりも、そういうところが面白かった。

  • 映画制作の優れた才能と自身を持っている石田サキと、サキに映画制作に誘われた3人。
    3人各々の視点から出会いから現在、終局までが語られる。題名ほどには悲惨では無い物語だったのでは、と思った。

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著者プロフィール

1983年兵庫県生まれ。2007年に第14回電撃小説大賞銀賞を受賞し、『under 異界ノスタルジア』でデビュー。真っ直ぐで透明感のある文章、高い構成力が魅力の注目作家。他の著作に、「花魁さんと書道ガール」シリーズ、『雪には雪のなりたい白さがある』『フルーツパーラーにはない果物』『今日も君は、約束の旅に出る』『わたしたち、何者にもなれなかった』などがある。

「2021年 『パンダより恋が苦手な私たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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