作品紹介・あらすじ
すべてを失って敗北したかのように思えた人類。最後に残った「それ」は果たして希望なのか!? 「福家警部補」シリーズの著者が魂を賭けて挑む、いまだかつてない映画ノベライズ。
感想・レビュー・書評
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アニゴジノベライズ完結。
未熟な主人公と価値観の違いすぎる異星人たち(地球人、ビルサルド、エクシフ、フツア)、そして破壊神ゴジラの織りなす奇妙な物語もこれで終了。
実写映画のシン・ゴジラはゴジラ映画の中でも正統派だが、この作品は外伝のようなものでした。それでも、人類史の中に怪獣(ゴジラ)を組み込み、連続性をもたせた作品として非常におもしろくプレストーリーの2巻と合わせて全4巻続けて読んでしまいました。
ゴジラのような怪獣は、作中では文明が進化しすぎた際に出現すると語られている。そうゴジラはただの怪獣ではなく神として描かれている。人類が神に成り代わろうとする驕り高ぶったそのサキはバベルの塔。意志の疎通もできない人型生物たちは、神の怒りを受ける。
正統派ゴジラシリーズが好きな人にとってはゴジラがアイコン化してしまっているので、納得できない人もいるかと思いますが、私はこのアニゴジはゴジラ作品の中でも1、2位を争う傑作だと思います。
ただ、☆4なのは主人公の憎しみが理解し難かったからです。なぜそこまで憎み続けるのかわからない。私はまだまだ未熟なようです。
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おおきな危機の到来を前に
価値観の異なる者たちが集まり
相互理解を超えて、おのおのの力を結集
そしてその報いにもたらされた友情が
文明の勝利へと導く
そんな人類の理想も、ゴジラの前では泡沫の夢物語だった
人々は、それぞれにゆずれない想いを抱きつつ
敗北を受け入れるしかなかった
ナノメタルですべての生命を統合しようとするビルサルド
憎悪のエネルギーを集めて神獣ギドラを召喚するエクシフ
地球人も、知恵と勇気とあきらめない心だけは持ち合わせていたが
結局、三者は互いに足を引っ張り合うことしかできなかった
なにが間違っていたのか、最後までよくわからない
主人公が最後に残したのは
子供たちの勇気を守る概念としての神だが
それがいつか、第二のギドラを呼び出さないと
どうして言えるのだろう
まあ、怪獣との共存を文明の発展と両立させる道も
(例えば風の谷のナウシカのように)うっすらとは見せており
全体として、言うほど悪くはないと思うんだけど
ノベライズ版では、ちょっと書かない方がいいことまで
書いてしまってますね
アインシュタインに入れ知恵したのも全部エクシフの陰謀とかそんな
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#日本SF読者クラブ 前2作の小説と違って、映画のノヴェライズ。物語は映画「GODZILLA 決戦機動増殖都市」の終盤から始まる。異星人たち(ビルサルドとエクシフ)のメンタリティが地球人と違い過ぎる。共同してゴジラを倒すなんて最初から無理。メトフィエスなんて名前からして、例の悪魔を連想させるし、CVも櫻井孝宏氏なので、やはりそうかの感。科学を極め、永遠不滅の真理を探究した結果が、「宗教」ですか。主人公は最初から最後まで未熟なままだし。レビューは、この小説というよりも、映画3部作をとおしての評価ということで。
著者プロフィール
大倉崇裕(おおくら たかひろ)
1968年京都府生まれ。学習院大学法学部卒業。97年、「三人目の幽霊」で第四回創元推理短編賞佳作を受賞。98年、「ツール&ストール」で第二十回小説推理新人賞を受賞。2001年、『三人目の幽霊』でデビュー。代表作である白戸修シリーズ、福家警部補シリーズ、警視庁いきもの係シリーズは、いずれのシリーズもTVドラマ化されている。
「2022年 『殲滅特区の静寂 警察庁怪獣捜査官』 で使われていた紹介文から引用しています。」
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