- Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041074138
作品紹介・あらすじ
愚かで愛おしい人類の歴史を見守る不死の「伯爵」と少女リラ。彼らの旅路に巻き込まれた兵士は、やがて世界を変える夢を見る。ル・グィンの衣鉢を継ぐ著者が壮大なスケールでおくる歴史ファンタジー!
感想・レビュー・書評
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第一次世界大戦の時代を舞台にしたファンタジー。魔物が暗躍する世界を描いているが、魔物が主役ではないと思った。戦争が人を破壊して人間ではなくなっていく、一方で魔物は魔物の欲求を満たすべく暗躍するが、その方がよほど人間らしいという逆転現象が起こる。ドイツの兵士だったイェルクは不老不死の魔物になる。人間を救うためだ。魔物のニルは戦争の“無”を表現していると感じた。リラはポーランドの少女。吸血鬼をモチーフにした伯爵と住んでいる。両親はいない。イェルクはリラの護衛として伯爵に雇われている。改めて作品名を見て、戦争でもっとも被害を被るのはリラのような子供なのだなと再認識させられる。
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たまたま第一次世界大戦について大枠を理解できてる状態だったので面白く読めたが、全く知識が無い状態だと、理解できない細部も多いと思う。
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第二次世界大戦を舞台にしたファンタジー小説ですが
なるほど、こういうのもアリなのか… -
第一次世界大戦中の欧州を舞台に、魔物が自由自在に動き回る物語。世の中の動きは史実に基づいていて、人間の愚かさを学びながらも、ファンタジーならではの軽やかさがある。
特に諜報活動は魔物の特性を活かして簡単にことが進む。ファンタジーなんだから別にいいはずなのに、どうしても戦時中という背景とのちぐはぐさを感じてしまった。
イェルクも戦場と自分の周りの小さな世界しか知らない若者だったのに、すぐに世の中の仕組みを理解して行動できちゃうし。
魔物が世界を俯瞰して人間が現実を生きているという二つの視点は、面白く感じたけどあっさりと駆け足な印象で、もっと深く読ませて欲しかった。
それか、現実の大戦ではなく架空の世界で読んでみたかったな。 -
上田さんは
日本SFの宝だなぁと、何時も思う。
作品が読めてありがたい -
第一次世界大戦中の欧州、死にかけたドイツ兵はある紳士に助けられた。
館に連れていかれた彼は、そこに住む少女の護衛を任される。
少女はポーランド人で、ドイツを、そして戦争を憎んでいた。
いわゆるヴァンパイアもの。 -
まことにもってお勉強が足りておらず、サラエヴォ事件から第一次世界大戦の勃発にいたる経緯なるものがてんで分かっていない。よって、帝国書院の高等地図でヨーロッパ国境の変遷図をにらめっこしながら読み進める。てなわけで、やたら時間がかかるし、史実に沿いながらも主人公のほか主要な登場人物が魔物とくれば、突飛な展開に浸りきれず仕舞いだ。ちらりとナイチンゲールに違いない人物の描写があり、偉人の伝記を読んだ中で最も尊敬するお方であるので、小説でのご活躍を期待して胸が躍ったが、残念ながら極めてわずかばかりの人物案内であった。もっと歴史を学んでおかないと楽しめないなと、いまさら反省しきり。