総選挙ホテル (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041083925

作品紹介・あらすじ

○著者の言葉「働く現場でしか学べないことがたくさんあると思っています。育った環境も、考え方も、年齢も違う職場の中で揉まれることが、人として成長させてくれると思っています。しんどいけれど喜びもある、それが職場。そこにある感動を小説にしたいと考えました。」桂望実
○単行本時帯推薦文より 「一丸となって」でも「勧善懲悪」でもない感動的な人間ドラマがここにはある。まさに極上のエンタテインメントだ。松田哲夫(編集者・書評家)

○内容紹介 ある中堅ホテルを立て直そうと、外からやってきた変わり者の社長が提案したことは「総選挙」! そう、ホテル内の従業員の配置を“選挙”で決めるという斬新な人材シャッフル案でした。しかもそれだけに終わらず、管理職の選挙まで! 果たして従業員の反応は? 今の日本の働く環境の閉塞感を打ち破るお仕事小説。さまざまな年代の男女が抱え働く悩みに答え、働くことの意味、働くことで成長できる喜びを読書で味わえる、お仕事エンタメ作品。

感想・レビュー・書評

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  • 売り上げが落ち込んでる中堅ホテルの新社長が社会心理学者。
    従業員同士で選挙をして、持ち場を変えてみたり、監視カメラの映像を見合って評価させ合ったり、斬新だけど、実際そのホテルで働く身になったら嫌だろうなって思ってたけど、良い方向に進んでくれてラストはすっきり。

    就活生がラストの従業員のインタビューみたら、とりあえずやってみよう!って気になれると思う。

  • チャプターズという本と人が出会うマッチングサービスをしている会社のYouTubeで、紹介されていた一冊です。

    売り上げが落ち込む中堅ホテル、フィデルホテル。
    経営改善のため着任した新しい社長は社会心理学者。

    人事が機能していないなら、
    従業員が選べばいい。

    会社の新陳代謝、適材適所、息し改革。
    360度評価?なのかなと。

    登場人物たちが、
    自分の希望していた職務と違う、
    と悩みながらも、
    ホテルがどうあるべきか、
    どんな場所であるべきかを考え、
    使命感というか自身の職務にやりがいを見出していく。

    現実は、自身の職務経験を大事にすることが多くて、
    スキルアップ、専門性を高められないならと
    辞めていくことの方が多いのでは、と。

    業界とそのホテルを好き、お客様が好きという、
    愛社精神みたいなのを感じたのが久しぶりでした。苦笑

    もし私がこのホテルにいたら落選するかも。苦笑

  • この作品は一言で言えば、企業再生のために奮闘する会社員(ホテルの従業員)たちのサクセスストーリーです。どうすれば業績が上がるのか、どうしたら社員たちのモチベーションが上がるのか新しく社長になった元山の奇想天外な改善策をどう受け取るのか、合理的でもいいのかと感じられた作品です。

  • あり得ない話しに、そしてあまりにもすべて上手くいく展開になんか冷めた感じで読み終えてしまった。

  • 「県庁の星」も「嫌な女」もおもしろかったけど、これもおもしろかったです。そして、泣けました。いろんな人の隠れた才能が適材適所で開花するんだけど、実は唯一ポジション変わってない支配人さんの能力がすごかった。石ノ森章太郎さんの「HOTEL」の支配人さんレベル。物語もHOTEL級だったと思います。

  • 適材適所って大事。流れに身を任せ、その時に自分ができること、その先に求められることは何か。今働いている場所でヒントになることがたくさんあった。1日で読了。

  • 面白い!!

    ホテルだから登場人物も所属部署も多くて途中まで誰が誰だか混乱してしまった。

    でも鈴木みたいな嫌なやつは嫌なやつだし、
    女性人気がある中西はそれに気付いて隠さないし、
    後藤さんはお節介が面白くて、嫌味な主任にコーヒーのお代わり持って来させちゃう。

    みんな自然体でニヤニヤしちゃう。

    支配人も最初は仕事できなそうなおじさんに見えたけど、変わり者の元山の影響を1番受けているのか、頼り甲斐が出てきたみたい。

    ホテル従業員がお互いを選挙し、落選者は解雇!、抜擢されて異動もありえるなんて、社長の思いつきなのか熟考の結果なのか、当事者なら恐ろしい。
    まわりから見る分には面白すぎる。

    異動になった人達は最初は落ち込んでいたが、
    周りの助けと持ち味を活かして活躍しているところを見ると、

    自分が思っているほど周りは自分を見ていないが、
    見ていないようでよく見ているのかなと思った。

    私の職場だったらどうだろう?
    時短中で残業ほぼできない、出張できない、子供の体調不良で自分の意思とやる気とは関係なく連休になってしまう私は落選筆頭かもしれない。


    続編希望!

  • 売り上げが落ちている中堅ホテル。
    立地も規模もブランド力もある、じゃあ足りないのは?
    レストランメニュー、宿泊プラン、タイアップ、みんな改善したのに何が悪いのか?
    そこで元山社長が大なたを振るう。
    何をしたのか?
    従業員同士による総選挙だ。
    自薦他薦問わず、誰がどの部署にふさわしいかを従業員たちが決める。
    始まるまでは裏で「私に一票を」合戦。
    おかしいとの声も。
    しかし選挙後は、意外な場所で従業員たちが力を振るう。

    やりたい仕事と、個人の資質、向き不向きは違うこともある。
    でも、やりたい仕事も、もちろんあるし、それを目指して努力をしてきたはずだ。
    うーん、本作ではハッピーエンドだけど、実生活では、ちょっと、辛いところもあるかな。

    就活真っ最中の人が読むには、少し辛いところもあるだろうからお勧めはあえてしないが、
    256頁、「平凡な毎日の中にだって、数えきれないくらいたくさんの幸せの種があるってことに、早く気付きますように」
    は著者からの、働く人々へのエールだ。

    私は自分が特別優秀な社員ではないと思っているし、ミスもある。
    実際そうなのだろうとも思う。
    知らないことも多いし、努力も、姿勢も、いまいちだ。
    あと何年か後に、若い上司や先輩のようになれるかと言われれば自信はない。
    何だったら転職して、自分が好きなことを生業にしたい。
    でも、全然自分が思ってもみなかったところから気に入られて引っ張られることもある。
    人生はわからない。
    思い通りにいかない。
    だからこそ、日常を大切にしたい。
    人の良いところをみよう、悪口を言わないようにしよう、親切に、誠実に、美しく誇りを持っていよう、それがプライド、矜恃だ。
    そうすればいつかは自分で道が切り開かれる、そう思って、長い長い社会人生活を過ごしていかなきゃ。

    せめてそう思わなければ、やってらんない!でしょ?

  • ちょっと期待はずれだった。

  • ホテル再生の物語。
    かつて利用した老女へのサービスのシーンにほろっと来た。
    ホテルで働きたくなる小説。

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著者プロフィール

一九六五年東京都生まれ。大妻女子大学卒業後、会社員、フリーライターを経て、二〇〇三年『死日記』で「作家への道!」優秀賞を受賞し、デビュー。著書に『県庁の星』『嫌な女』『ハタラクオトメ』『頼むから、ほっといてくれ』『残された人が編む物語』『息をつめて』など。

「2023年 『じゃない方の渡辺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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