- Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041094105
感想・レビュー・書評
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少し話題の映画の原案になている小説ということで、御近所の書店では出入口に近い辺りの目立つ場所に少し前から積まれていた。チラチラと視ながら、なかなか手にしなかった。が、手にしてみれば「何故、もっと早くに手にしなかった!?」という程度に面白かった。素早く読了に至った。
所謂「ノワール」というのか、組織犯罪や、手段を択ばずにそれらに対抗しようとする捜査機関や、そういう場で生きる者達の物語ということになる。「フィクションの中」だけに留まって頂きたいという内容を含む物語である。
物語は、「組織のヒットマン」が敵を襲撃しようと、東京から乗り込んだ沖縄の或る地点で待機しているというような場面から起こる。
このヒットマンが2人居るのだが、兼高という男が場を仕切っている。室岡という、何時も組んでいる少し若い男を引き連れているような体裁だ。物語は、粗方この兼高を主要視点人物として展開している。
各地の暴力団の様子も“対策”が強化される中で変わっていたが、東京を本拠地に関東で展開する組織の中では東鞘会(とうしょうかい)が抜きん出た存在になっていた。
東鞘会は秘密主義を徹底して組織の規律や結束を強め、合法も非合法も含めた活動を密かに展開するというような“マフィア化”を果たし、果敢に国外進出もして力を蓄えていた。警察はそういう形で力を蓄える路線を敷いた5代目会長を逮捕する等したが、やがてこの5代目会長が病死してしまった。
5代目の路線を確りと受け継ごうとする神津が6代目となるのだが、5代目の実子である氏家勝一が反主流派を糾合し、和鞘連合(わしょうれんごう)を興して東鞘会を離れる。そして東鞘会と和鞘連合との抗争が繰り広げられる。
和鞘連合側は東鞘会6代目の神津を暗殺し、抗争が泥沼化して行くが、東鞘会の7代目となった十朱の指揮下に巻き返し、和鞘連合は壊滅に追い込まれ、氏家勝一は姿を眩ませてしまっていた。
兼高が沖縄で襲撃しようとしていたのは、この和鞘連合の陣営で主要な位置に在ったという人物なのだ。兼高自身は東鞘会神津組に在るのだった。神津組内で短い期間で台頭して重要な任務を任されている兼高であるが、実は「重大な秘密」を有していた。
自身も「重大な秘密」を抱える兼高であるが、密かな狙いが在った。それは東鞘会の会長に収まった十朱が有するという「秘密」に迫ることであった。
なかなかに凄まじい暴力が溢れる中で展開する謎解きのような感じで、少し夢中になってしまった。散々に色々と在って、行き着いた先に何が在るのか?読後に「微妙な余韻」も在るように思う。
多分、少し話題の映画とは味わいが異なると想像する。(現時点で映画は観ていない…)それはそれとして、小説はなかなかに好い!アクションや謎解きや謀略というような感じが好きな方には御薦めしたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
酸っぱく苦い胃液がこみ上げてくるような規格外のノワール小説。警官が暴力団に潜入するストーリー。ミイラ取りがミイラ以上の活躍をし、表の顔と裏の顔の区別がつかなくなるぐらいから、ページをめくる手が止められなくなる。
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ありえない話しだが、最後まで引き込まれた。
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潜入捜査官が沖縄に行き裏切り者を始末する冒頭から引き込まれていってどうなっていくのか最後まで読む手が止まらなかった。
潜入がバレるかどうかには重きはおいてなくて、兼高が犬をやめて十朱のようになってしまうのかどうなのかが気になっていたが、最後の結論は予想してなかった。 -
まさにハードボイルド。かなり凄惨で過激な表現も多く、実写化してみて欲しい思いがある一方で、ここまで過激でリアルなグロさとか痛さとかを感じれるのはやっぱり本ならではなんだろうな。とても面白かった。
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暴力団への潜入捜査の物語といって思い出すのが、以前西島秀俊が暴力団に潜入した確か「ダブルフェイス」というタイトルのドラマである。ハラハラ、ドキドキしながら観ていた。
ヘルドックスもそのドラマに負けず劣らず、読み進めれば進めるほど作品の世界に引き込まれてハラハラ、ドキドキだった。
あらためて警察官が暴力団に潜入捜査をするなんて事が現実にあるのだろうか…と思った。 -
映画を見た後に原作を読んでみた。
どっちもおもしろい。
もう一回映画を見よう。 -
刑事がヤクザに潜入。
頂点にいるのは先に潜入した裏切り者の刑事。
どでもないハードな物語。 -
警察がヤクザ組織に潜入し、殺し屋としてのし上がりながら使命を果たそうとする話。
反社会的勢力と認定されている昔ながらの組織より無茶をする人たちがいる令和の時代より昭和の終わり頃の匂いがするところが少し現実とはズレていますが、緊張感があって一気に読むことができました。