新島八重 おんなの戦い (oneテーマ21)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041103067

作品紹介・あらすじ

新島八重(山本八重)。会津藩士の娘として生まれ、戊辰戦争では新政府軍と篭城戦を戦った八重は、京都で同志社の創立者・新島襄と出会い、結婚。日清・日露戦争では篤志看護婦に志願するなど、近代的な女性像を打ち立てていった。『会津おんな戦記』『新島襄とその妻』で早くから八重を紹介してきた著者が、その素顔に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 2013年NHK大河ドラマ『八重の桜』の新島八重(旧姓山本)の伝記本。悪妻、烈婦と揶揄されることもある新島八重。時代が追いつかなかったのだろう。キャリアを目指す女性の一つのモデルになるのではないだろうか?

    第三章から第七章まで会津戦争について書かれている。会津戦争についてそれほど知らなかったため、その壮絶な戦いは驚嘆する。

    また、密航青年新島襄の破天荒さも特筆に価する。

    <目次>
    はじめに
    第一章 砲術師範の娘にうまれる
    第二章 最初の結婚
    第三章 会津戦争、悲劇の始まり
    第四章 会津戦争と女こども
    第五章 八重の籠城戦
    第六章 開城
    第七章 会津から京都へ
    第八章 密航青年・新島襄と結婚
    第九章 洋装・洋髪のモダンレディー
    第十章 夫婦であり、同志でもある
    第十一章 ボランティア活動のパイオニア
    おわりに
    主な参考文献

    2012.11.25 借りる。
    2012.12.02 読書開始
    2012.12.04 読了

  • レビュー省略

  • 戊辰戦争については触れないわけにもいかないだろうが、兄の覚馬や新島襄はもちろん、会津戦争の女性たちや維新後にアメリカに留学した女性も紹介されていて、八重を中心とした人たちを描いた内容だった。

    ・松平容保の兄には、14代尾張藩主の徳川慶勝、後に一橋家当主になる一橋茂栄、弟には桑名藩主の松平定敬がいて、高須四兄弟と併称された。
    ・西郷頼母は、白河の戦いに敗れて和戦を主張したため免職され、母成峠を破られた後に再び入城するが、周囲と折り合わなかったため、容保から萱野権兵衛に君命を伝える表向きの任務を与えられて、長男とともに城外に出た。萱野のもとに赴いた後、米沢から仙台に行き、榎本武明の艦隊に加わって函館に向かった。
    ・覚馬は、佐久間象山、勝海舟、横井小楠、西周、レーマン、グラバーなどから学んだ。京都の薩摩藩邸に幽閉されていたとき、西軍が兵を進めれば、会津はひとり残らず討ち死にし、国力が衰えるばかりで諸外国に乗じられるだけだと主張したが、薩摩藩主への面会は認められなかった。新生日本のイメージをまとめた意見書「管見」には、三権分立、商工業の振興、人材の育成、教育への科学や法律の導入、太陽暦への改暦など23項目があげられていた。「管見」に注目した京都府知事は、覚馬を京都の町おこしのプランナーとして迎えた。
    ・新島襄は18歳の時にオランダ軍艦を目にしたことをきっかけにして、幕府の海軍伝習所に入って数学、航海学を学んだ。1864年、22歳の時に函館からアメリカ船に乗り込んでボストンに渡り、自然科学を学んだが、西洋文明の背後にキリスト教の精神があることを知って洗礼を受け、神学校で学んで宣教師の資格をとった。明治5年の岩倉使節団がアメリカに渡ったときには通訳を引き受けた。明治7年に帰国すると、日本にキリスト教主義の学校をつくるために動いた。

  • にわかに興味が出て読んでみた。
    会津出身の人がこんなに活躍していたことを今まで全く知らなかった。
    幕末の時代の知識はどうも妙に偏ってしまっているんだよなぁ。

  • 大河ドラマ予習。

    福本氏は氏の母校・同志社の創立者である新島襄と八重についての著作が多いそうだ。
    こちらは八重の一生がコンパクトにまとめてある。
    ハンサムウーマン・自立 というキャッチで描かれる八重ではあるが、前半は山本家のため会津藩のために行動し、京都に上ってからは兄の社会改革の志・新島襄の教育の志を支える、バイプレイヤーとしての印象が強い。
    黙って大人しく忍ぶタイプでもないが、今風の「私が主役」といった風は感じられない。
    当時は珍しい存在であったことは確かだろうが、やはり明治の女、世のため人のためという姿勢に凛としたものを感じる。
    それが強く描き出されるのが会津の悲惨な篭城戦。
    八重のみならず、当時の会津の武家の女たちがどう行動したかが描かれている。夫を前線に送り出し、老親と子供をかかえて自ら武器を手に取って城に籠る女性たち。
    敵に後ろを見せまじ、と 時に我が子を手にかけてでも会津の誇りを守り通そうとする姿は理解の範囲をはるかに越える。

    その後、岩倉具視の視察団に加わって10年以上もの長きにわたり、米国に留学する少女たちも また明治なり、である。
    わずか7歳や8歳の娘を 送り出す母の気持ちを思うと言葉がない。

  • 大河ドラマきっかけで手にとりました。いい予習になります。

  • 会津に旅行をして、鶴ヶ城で八重さんのことを知り、八重さんの生き方、生きた時代についてもっと知りたくなりました。八重さん、かっこいい!周りの女性とは違う行動をするのは勇気のいることだし、周りに反対されたら諦めることも多いけれど、八重さんは自分を信じて、納得する人生を生きてきたんだなと思う。とても勇気を与えられたし、私には何ができるのかと考えさせられた。
    研究論文のようでさらりと読める文章ではなかったけれど、八重さんとその周りの人間、生きてきた時代についてわかってきた。もっと知りたいと思うので、参考文献リストにある他の本も読んでみたい。

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著者プロフィール

京都生まれの京都育ち。しかし今はなぜか埼玉に在住。同志社大学法学部卒業。小説「電車ごっこ停戦」で第14回太宰治賞を受賞する。主な著書:小説『電車ごっこ停戦』『織匠(上・下)』『湖の子たちの夏』『新島襄とその妻』『疾走する家族』、エッセイ集『ここだけの話だけど』『企業のトップはこれを読む』、ルポ『ボランティアを生きる』『夢があるからがんばれる』など多数。現在、小説(知的障害児と家族をテーマにしたもの、歴史に素材をもとめた伝記物、スポーツを背景にした青春物)、エッセイ、ドキュメンタリー、児童文学(創作)などを中心に、執筆活動をつづけている。

「2011年 『武州かわごえ 繋舟騒動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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