下に見る人

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.20
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041103432

作品紹介・あらすじ

人が集えば必ず生まれる序列に区別、差別にいじめ。なぜ人は、人を下に見てしまうのか。自らの体験と差別的感情を露わにし、社会の闇と人々の本音を暴く。こんな酒井順子、知らなかった。

感想・レビュー・書評

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  • 2022年12冊目。
    こんなにも上だ下だと考えながら生きていくのはしんどい。読んでも読んでもなかなかページが進まない…。正直、読んでいて疲れた。途中でリタイヤ!

  • 人は意識的であれ、無意識的であれ、他者を自分より下に見てしまう(あるいは見たがる)動物のようだ。他者を自分より格下に位置づけることによって安心したいのだ。「甘い誘惑」の中で今時のいじめは「自分より優れている」または「優遇されている」と見える相手に攻撃が向く。そうしなければ自己の精神の安寧が保てないからだと分析している。私ももっともだと思う。読んでいて酒井さんの鋭い観察眼には驚かされる。同時に人間の「もっともっと」という果てしない欲望、他者を下に見なければ生きることが出来ないという貧弱で醜悪ですらある精神にぞっとする。という私も何処かで無意識に人を下に見ているのかもしれない。

  • 「人はどんな時に他人を下に見ようとするのか」ということを作者の人生と重ね合わせて考えていくエッセイ。 
    『世の中をざっくりと上と下に分けるとしたら、その境界線にいる人ほど、他者を下に見たい、という欲求は強くなる』らしいです。 

    作者は1966年(丙午)生まれで、ほぼ私と同世代。 
    小学時代から高校時代まで女子校のエスカレーターで過ごし、女子のヒエラルキーの中で揉まれたせいなのか、他者との微妙な差に敏感な作者。 
    それでも、「誰でも、他者を下に見たくなる欲求」はあるなと我が身を省みながら読み終えました。 
    せめて「人を下に見る病の存在を自覚し、表に出さないことがマナー」は肝に銘じたい。 

  • 社会
    思索

  • これから読もうと思っている村上春樹さんや大好きな須賀敦子さんの本にくらべて、なんてあっさりして人を惹きつけない題名。
    表紙は酒井順子さんが誰かを下に見ていることを実にシンプルにあらわしていますね。

    最初のほうはイジメについて語るので、私は自分の少女時代の数々の嫌な事件を思い出し、「この本は暗い本かも」と思っていました。
    でも読み進めるうちに、さすが酒井順子さん。またたくさん笑わせてもらいました。

    つい先日彼女の『ユーミンの罪』を読んで女子高出身と共学出身のちがいについて考えさせられたのですが、ここでまたあらたなことがわかりました。
    彼女は小学校から高校まで女子だけ、大学で初めて共学。私はその正反対で短大で初めて女子だけの学校を経験しました。
    私は短大にはいって初めて「うちの高校の男子って結構レベル高かったのね…一緒にいるときは気づかなかったわ」と思ったし、だんだんと「男とはりあうより女として生きていくほうが楽」と思って今日にいたります。
    しかし大学ではじめて共学を経験した順子さんは……。

    ところで前に『負け犬の遠吠え』を読んだとき、たしかご両親がご存命で、お兄さんは独身だったか子どもはいませんでした。でも今回三歳の姪御さんが登場し、ご両親はすでに亡くなっていました。
    同じエッセイストさんの本を繰り返し読むのは面白いですね。これからも順子さんを追っかけます。

  • 誰しもが持つ人のいや~な部分、指摘されたくない後ろ暗い感情を見事に掬い上げて文章化する酒井さん。

  • 人気エッセイストの酒井順子先生の著書。序列意識やマウンティング、差別、いじめの背景にあるのは、上から目線ではなくて人を下に見たいという欲求があるから、それが酒井順子先生の主張。酒井順子先生自身の経験談に基づく内容で、それは全て上から目線ではなくて人を下に見たいという欲求が背景にあったからというお話だったけれど、私には上から目線ではなくて人を下に見たいの違いがよくわかりませんでした。でも、私も無意識のうちに、学歴や収入、容姿なんかで他人を自分勝手に見下したりしているのかな。

  • 「負け犬」などは楽しく読めたが、こちらはだめでした。
    著者の上から見ているところや、毒舌でいじめっ子気質...というのは、いじめられっ子気質の自分は正直読んでて不愉快になり。
    後半はさっと流し読みしましたが、あまりしっくりこなかった。

  • あらゆる場面において自分が全体のなかでどの位置にいるのか気になる。
    そして自分が優位に立てると安心する。
    そういう状況が詳細に書かれていて読んでいてわかりやすかった。
    他と比べず自分は自分として生きる境地に早くたどり着きたいなぁ。

  • 酒井さんの書く文章の奥に、
    いつも仄かな『いじめっ子』臭を感じ取り
    なんとな~く苦手意識があったのだけれど、
    今回はそれを逆手に取るかのように
    自らがいじめっこであったことを懺悔しつつ
    いじめっこの立場からいじめ問題を語っています。

    『自分が下に見られたくないから、他の人を下に見る』という心理、わかったようなわからないような・・・
    でも小学生の頃から当然のように教室にはびこっていた
    グループという名のカースト制度は、
    まさに他のグループの子たちを下に見て安心感や連帯感を強めていたんだと思う。
    いじめ問題を考えるには、加害者側の声が重要という話には
    とても納得させられました。

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著者プロフィール

エッセイスト

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

酒井順子の作品

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