切り裂きジャックの告白

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  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041104408

感想・レビュー・書評

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  • 腹を切り裂かれ、体内の臓器が持ち去られた遺体が都内で発見される。その後も同様の遺体が別の場所で発見される。
    その後、捜査によって、被害者に共通点が見つかる。犯人の目的は・・・。
    英国を震撼させた切り裂きジャックが現代に蘇る。
    というあらすじです。

    中山七里さんの作品らしく最後にどんでん返しが待ち構えていました。犯人の動機に私は少し首を傾けましたが、面白かったです。

    中山七里さんは、ミステリーだけではなく、作品に正解・不正解がない問題を読者に投げかけてくるものが多い気がします。
    本作品では、脳死、移植についてでした。

    時代、国、信仰、年齢等違えば、正解・不正解は人数分あって、一つの答えなんてない。相手を尊重し、議論する事が大切だなと思いました。

  • 多方面で活躍されている中山七里さんだが、そう言えば読んだこと無かった。ということで映画にもなった犬養シリーズの1作目。医療という暗部の多い問題とミステリーが渾然一体となった感のある作品、と思って読んでいたが終盤以降はかなりエンタメに振り切った面白い作品だった。作中でも出て来るが社会派という文言自体がミスディレクションとなっているようにも思えた。サクサクとテンポが良かったのだが、難点とすれば難しい慣用句や漢字の多用が目に付いた。中山さんってどの作品もこうなのかな?題材は好きなテーマが多いから避けて欲しいなあ。

  • 臓器をすべて抜かれた死体。切り裂きジャックになぞらえて送られる犯行声明。
    途中でおとしどころや動機は、ヒポクラス的では…と思ったら、やはり。ヒポクラスの方が、よく練られていて好み。

  • 図書館で。
    シリーズ最新作をシリーズと知らずに読んだので、第一作目を読んでみようかと。個人的には扱いの面倒くさい女性の相棒よりも、埼玉の彼の方が好きかもしれない。話がこじれないので本筋から離れない感じが良い。

    結構簡単に無差別殺人ではないという事が判明してしまい、どうなんだろうなぁと思ったらそうだったのか、というオチでした。なるほどね。隠蔽だったんだ…
    でもまぁコーディネイターさんは無いな。色々な意味で。うん、無いな。
    臓器移植もIPS細胞で自分の臓器をクローン出来るような技術が進めば、こういうトラブルも過去の話になるのかなぁなんて思いました。

  • 面白くて一気読みして、犯人誰だろう、どうしてやったんだろうと考えながら最終章の前に一旦家事をしてたら、あれ?もしかして動機これじゃない?犯人この人じゃない?と、なぜか思い当たってしまった。そしてそのとおりだった。うーん、どんでん返しに驚きたかった!
    中山さんなのに、口コミの星がちょい少なめなのにも少し納得です。。

    でも、医者が仕事に懸ける思いと、ドロドロした世界であることはとてもよく描かれていたので、「え、本業医者なの?」と思った。よく考えると、弁護士を書けば「弁護士なの?」と思うし、刑事を書けば「刑事なの?」と思うし、中山さんはその仕事の使命のど真ん中をつくような一言が書けるんだなぁと改めて感じました。

    臓器移植の関係者に、「人の命がかかっているんだから情報を出してよ!」と怒る警察の気持ちもわかるけど、「人の人生がかかってる」という関係者側の気持ちもよくわかった。
    同じくらいの重さがある。

    うん、色々感想言いたいけど言ったらネタバレになる!笑

  • (2015/8/24読了)
    中山七里さんの長編は初めて。しかも、チェックしていたのは「七色の毒」。「七色の毒」は犬養隼人シリーズで、その第一弾がこちらの本ということで、先に読んでみることにしました。
    内容も何も知らずに読み始めたので、突然のグロい描写に、少し気分が悪くなり…(食事中に読み始めたのも失敗だった)
    小説を読んでいるというより、サスペンスドラマを観ている感じ。でもそれにしては話の展開が遅い。中盤からのペアを組んだ古手川とのテンポの良い掛け合いで、やっと動き出した感に。
    ドラマチックなラストもまるでサスペンスドラマで的。内容は残虐だけど、予想できる話の流れに、ハラハラ感がなかったのが残念です。

    (内容)
    東京・深川警察署の目の前で、臓器をすべてくり抜かれた若い女性の無残な死体が発見される。戸惑う捜査本部を嘲笑うかのように、「ジャック」と名乗る犯人からテレビ局に声明文が送りつけられた。マスコミが扇情的に報道し世間が動揺するなか、第二、第三の事件が発生。やがて被害者は同じドナーから臓器提供を受けていたという共通点が明らかになる。同時にそのドナーの母親が行方不明になっていた―。警視庁捜査一課の犬養隼人は、自身も臓器移植を控える娘を抱え、刑事と父親の狭間で揺れながら犯人を追い詰めていくが…。果たして「ジャック」は誰なのか?その狙いは何か?憎悪と愛情が交錯するとき、予測不能の結末が明らかになる。

  • おもしろかったのはおもしろかったのですが、よくも悪くも「普通」な印象でした。
    終盤辺りまではとてもわくわくしたのですが、終盤があっさりなのと動機の弱さ故か読み終わってみるとなんだか物足りない…。
    古手川と犬養のコンビはよかったです。

    ここで大きく取り上げられているのは、脳死についての問題です。
    脳死から臓器移植についてひととおりが描かれており、改めて人の生死とは何かを考えさせられます。
    しかしこれを最後まできれいに生かしきれていなかった点が残念に思います。

    エピローグはよかったです。

  • 見つかった被害者は内臓が取りだされていた。
    なんて残虐な。。
    臓器移植なども絡んで読み応えがあった。
    古手川さんが好きなので、出てきて嬉しかったな。

  • カエル男の作者、中山七里さんの長編ミステリー。臓器移植というのは、いい面ばかり見えていたけれど、遺族側は、とか、推進派と慎重派、とか、そこに絡む利権、とか、色々考えさせられる話だった。自分の子供がレシピエント側だったら移植してほしいだろうし、自分の子供がドナー側だったらやっぱり躊躇してしまうのでは、と思う。
    長江監督の本を読みすぎて叙述トリックを探す読み方をしてしまうのはあまり良くないかもしれない。史郎のレシピエントが5人いたはずだけど、なぜ4人で終わりなのか?まさかここに謎が…?と思ってたら何にもなかった。というかあれは史郎じゃなかったのかな…
    バディものは好きなんだけど、犬養が夫として父親としてはクソすぎてダメだった。

  • 動機に若干の違和感があるものの、読みやすいと思う。

著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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