- Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041104743
感想・レビュー・書評
-
[2013.07.29]
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
高橋是清・・・。誰もがその名を一度は耳にしたことのある財界の大物だ。
すでにまーちさんが詳細なレポを挙げられているが、是清の人生、読んだら書かずにいられない。
序章は、昭和11年2月26日の早朝の出来事から始まった。大蔵大臣高橋是清の屋敷では静かな朝を迎えていた。そこへいきなり、兵隊の足音が響き渡り…あの事件が起こった。なぜ、2・26事件はおこったのだろう。大蔵大臣だった高橋是清はどんな人物だったのだろうか。主人公への興味を持つのにふさわしいドラマチックな幕開けで、この作品はスタートした。
生まれてすぐに仙台伊達藩の足軽高橋家に養子にだされた是清は、養祖母の喜代子にかわいがられ、武家の子として厳しくしつけられながらも愛情たっぷり注がれて育った。聡明な喜代子は是清が幼少ながら才覚があるとみて、5歳頃から読み書きをならわせ、そこで知り合った若侍のすすめで、横浜へ11歳で洋学の勉学生として行かせる。是清はそこでも才覚をだし、13歳でアメリカへの留学生の一員として渡米。恵まれた運命の持ち主のみが得る幸運だった。
日本で大政奉還が行われ、政治異変のために急遽帰国した是清は、得意の英語をいかし、学校の教師や通訳など、重要な要職につきながら、自らも学問を続けていく。語学力で職にあぶれることなく、着々と新政府の要人の地位の礎を気づいていく是清。だが、酒が好きでまっすぐな気性ゆえ、時には上司と衝突し、職を転々とすることあった。
そのころの日本にはまだ発明・商標・版権といった知的財産の重要性が認識されていなかった。是清はこの発明を保護できる法律をつくるべき奔走し、ついに実現。特許局をつくり是清は特許局長に就任した。
明治23年、新事業に進出と意気込んでいたペルー銀山推進事業に失敗し、是清は負債返済のために極貧生活に陥るが、そこはまたラッキーな運がついてきた。今度是清に手を差し伸べたのは、日銀総裁だった。
こうして是清は官僚生活に別れを告げ、銀行業界へ足を踏み入れたのだが、是清はここでも事業の基礎を勉強し、より有効で能率のよい人の使い方をして、業務実績を伸ばすことに成功する。
上巻は是清が銀行家として第一歩を踏み出したところで終わっていた。
やはり、何かの使命を持ってこの世に生まれた人は
それを全うするまでは天は決して見放さないのだろう。
このあと、悲劇はどうして起こったのか。
下巻が楽しみだ。
余談だが・・・表紙の高橋是清の写真、
「ダルマさん」に似ているなと思ったら、
やはり、「ダルマ蔵相」というあだ名があったという。 -
高橋是清の前半生は、ある意味波乱万丈、ハチャメチャだ。でもそこから多くのことを実践的に学んでいることと我欲の少なさが彼を大きく成長させた要因だろう。
-
日本の近代史が財政面から、分かり易く書かれている。それでいて面白かった。日本の総理大臣がかくも短命なのは今に始まったことではないのが良く分かる。