- Amazon.co.jp ・本 (633ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041105627
感想・レビュー・書評
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もともと踊りがそんなになので
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徳川幕府7代将軍家継が世を治めていた頃、
江戸から遠く離れた琉球の国では、琉球王のもと、太陽王に相対する月の神の存在が信じられていました。
王の影ともいえる「月しろ」の存在は、舞踊が盛んだった当時の王国では、楽童子と呼ばれる踊り子から生まれていました。日が輝くためには、月は不幸を背負わなければならないという掟があるのですが、それでも太陽に匹敵する「月しろ」は、天分のある楽童子の目標でした。
琉球国最下層の出身、蘇了泉は、何をしても人目をひく少年。それは持って生まれた天分で、彼の一挙一動には人を引き付ける「華」があったのです。その天分を宮廷の天才舞踊師石羅吾はいち早く見出し、了泉に琉球舞踊を教えこみ、「月しろ」を目指そうとさせました。
「月しろ」を目指す天才児はもう一人いました。士族出身の雲胡。宮廷の重臣王城里之子の愛弟子です。野生児育ちですが、人を引き付ける魅力のある踊りをする了泉と、きっちり型どおりの舞踊で人々を魅了する雲胡。甲乙つけがたい二人の天才児は、お互いを意識し、舞踊のよきライバルとなって、琉球舞踊のますますの発展に尽くすのでした。
見処、いや読み処は、
新作舞踊の脚本にそって二人がお互いをけなし合いながらも、
一糸乱れぬ「あ」「うん」の呼吸で、演目を完成させるシーンです。
舞踊だけで観客を虜にするさまは、
やはり天才児としかいいようがないです。
その才能も、ライバルがいたからこそ、伸びて行ったのでしょう。
それにしても、人間らしい雲胡の生き方と、
地獄から這い上がり天国に行ったかと思うと、また地獄へおとされて、
苦しみもがく運命の了泉の生き方は、とても対称的です。
これも人それぞれの人生なのか、と興味深く読めました。
2段組み600ページの大作ですが、
天才琉球舞踊家了泉の波乱万丈な人生が、いきいきと描かれています。
他の登場人物たちも、おもしろおかしく魅力的。
『テンペスト』につぐ、池上さんの代表作だと思いました。 -
いやー好きだわー
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2014/4 神がかりな物語でした。
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長い…途中でちょっと飽きてきちゃったけど、最後また盛り上がった。主人公のすごい生き方についていけない感じだった(笑)。踊りの描写は好き。
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またもや評価が難しい本が・・・。
内容的にはすごくよいですよ。
でもね~、前半のもの凄い濃さからすると後半はね~。
どうなんでしょうね。
あっさりさの中に旨みを見いださなければならないのでしょうが、ちょっと残念かな。 -
とんでもなく面白かったです。男の子版「ガラスの仮面」ですよね。でも『本の旅人』(抜粋版)で大森望さんも仰ってましたがここの北島マヤ(了泉)は黒くて。絶対許されないことをちょいちょいするのだけど、なぜか憎めない少年で。
ファンタジーでもないのにナチュラルに人外の存在や異能力が出てきて違和感のない沖縄(琉球)という土地への興味がまた盛り上がります。 -
1400枚読み出しは躊躇したが、読み進むうちに虜になる。
結構時間をかけて読んだ。
琉球王国の舞の話。地獄から天国まで体験。波乱万丈の話。
読み終えてホッとした。 -
テンペストがあまりに強烈だったのでそれ以上のインパクトのある小説を期待してはいなかった。
たしかにインパクトは強くはないが、逆に沖縄の芸術を充分に調査して分析された精緻な表現に舌をまいた。
633ページ。しかも2段組みの超大作。私は就寝前にベッドで読むのを常としているが、琉球の世界に入り込みイメージが浮かび、その情景の中で眠りに良く落ちた。そのため読み始めてから結構時間がかかった。
琉球語による唄、漢詩、踊りの表現など難しく完璧な理解には、私自身がほど遠かったとは思えるが、当時小さいながらも一つの国家として自立していた琉球の奥深さを知る事が出来る。
主人公はあまりに不完全な人間ながら、最後は悟るように終末を迎える。人間の本性は身勝手で美しくないが、それでも努力をして美しく魅せる事が出来る。そしてその美しくない本性は、様々な経験を通して神への崇拝を通して浄化されていく。
そんな小説だった。 -
ガーッと読みたくなるまでに少々時間がかかり、やっと読み終わりました。映像でみてみたい。