エリザベス女王の事件簿 バッキンガム宮殿の三匹の犬 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041110201

作品紹介・あらすじ

女王陛下探偵団、結成!?
90歳の英国女王が、王室家政婦殺人事件と消えた絵画の謎に挑む!

英国でシリーズ20万部! 21カ国で翻訳!!

追悼・エリザベス女王

君塚直隆「英国王室を知り尽くした作家による究極のミステリー」(解説より)

英国Amazonレビュー1700以上 ★★★★☆4.5

英国のEU離脱で沸く2016年。バッキンガム宮殿の屋内プールで王室家政婦ミセス・ハリスが不慮の死を遂げる。最初は事故死とされていたが、「人殺し」と罵る脅迫の手紙を彼女が受けとっていたとわかり、事態は急変。女王は秘書官補ロージーとともに殺人事件の線で秘密裏に捜査に乗り出す。謎を解く鍵は、70年前に寄贈された、女王のお気に入りの悪趣味な絵画? 現実と創作が交叉(こうさ)する、世界最高齢の国王ミステリ第2弾!


【絶賛の声】
女王陛下が素人探偵として登場する、ウィットに富んだホワイダニット(グッド・ハウスキーピング誌)

完璧な殺人ミステリー(ルース・ウェア)

ウィットに富み、活気に満ちた作品(デイリー・エクスプレス紙)

王冠をかぶったミス・マープル(デイリー・ミラー紙)

絶対的な完成度!(イザベル・ブルーム)

愉快な魅力(アデル・パークス)

ピュアな砂糖菓子のようなミステリー(ニューヨーク・タイムズ紙)

チャーミング!(ガーディアン紙)

なんて面白いんだ!(サガ誌)

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第2弾の舞台はバッキンガム宮殿。エリザベス女王の信任厚い家政婦だが、偏屈で王室職員の嫌われ者ミセス・ハリスが、宮殿内の屋内プールで死んでいた。その不自然な死にかたに疑問を感じる女王。ミセス・ハリスの死の3ヶ月前、女王は秘書官補のロージーに王室から流出したお気に入り絵画の調査・返還交渉を命じていて、調査を進めるうち、大がかりな死蔵品取引の実態が浮かび上がってきた。そして、絵画流出とミセス・ハリスの死の関係も…。

    例によって、限られた腹心を使って秘密裏に調査を進める女王は、真相が見えたところで王室の三執政(サー・サイモン、サー・ジェームズ、マイク・グリーン)や警察を上手く誘導して事件を解決に導いていく。

    実務的に有能だがお堅くて融通がきかない三執政のプライドを傷つけないよう配慮することはもちろんのこと、忠誠心を高めるため彼らに惜しげもなく手柄を譲る女王の賢い操縦法は見事! まあ、もはや昇進することのない国家トップだからこそできることでもあるな。

    前作よりボリューミーだけど、本作は展開が早くて比較的読みやすかった。

  • 訳のせいなのか、読みにくくなかなか進まなかった。バッキンガム宮殿のプールサイドで発見されたハウスキーパーの遺体と、駄作と呼ばれていたが女王にとってはとても大事な絵が海軍保有となっていたこと。まるでホントにエリザベス女王が推理をしているみたいだった。日本では皇室の人物を小説に!なんて絶対無理だろう。失言王フィリップ殿下のジョークがいいスパイスだった。

  • 「エリザベス女王の事件簿」シリーズの2作目(1作目はこちら→「ウィンザー城の殺人」)。
    先ごろ亡くなった英国のエリザベス2世が、実は陰の名探偵であったという架空の設定に基づくミステリ・シリーズ。前作ではウィンザー城が舞台、本作はバッキンガム宮殿である(3作目は邦訳未刊行だが、サンドリンガム・ハウス)。舞台となる場所が1作ごとに変わるという趣向である。

    大規模修理が必要でてんやわんやのバッキンガム宮殿のプールサイドで、有能だが嫌われ者の王室家政婦(ハウスキーパー)が遺体で発見される。
    死因は足首からの大量出血。その場に残されたウイスキーグラスを片付けようとして、誤って破片で動脈を傷付け出血死した、つまり事故死と当初は見なされた。だが、本当に事故死だろうか。

    一方、女王には、お気に入りの絵が1つあった。傑作とは言えない、いや、むしろ駄作であるものの、大切な思い出のこもった絵だったのだ。それがいつからか行方知れずになっていた。ところが偶然、その絵が海軍所有になっていることがわかる。いったいなぜ?
    女王は秘書官補のロージーに、絵を取り戻すこと、そしてなぜ海軍に所有が移ったのかを調べることを命じる。

    この2つの一見、関わりがなさそうな事件が、実は深いところで絡み合っていることが徐々にわかってくる。
    女王が探偵として活動する際に、隠れた手足となって働くロージーに今回も指令が下る。そんな彼女の元に、不快な怪文書が何通か届く。どうやら死んだハウスキーパーも嫌がらせを受けていたらしい。果たしてこれも事件に関係があるのか。

    表題の「三匹の犬」は、著者あとがきによれば、古典力学の「三体問題」とシャーロック・ホームズの「パイプ三本分の問題」から来ているという。どちらかというと後者の方がより当てはまる。難題を解くときに、ホームズはいつもパイプを3本連続で吸って考える。それをもじって、犬好きのエリザベス女王が犬三匹を連れて散歩しながら考えた、というわけ。女王の犬が事件に巻き込まれて酷い目に遭うわけではないので、犬好きの方も安心してよい(ただ、高齢で亡くなる犬は登場する。これは実際、女王の犬が亡くなった時期を舞台にしているため)。

    本作の売りは、かっちりと調べられた舞台背景に、架空の事件を配していること。女王や王配、各国首脳などは実在の人物で、トランプ大統領が誕生したアメリカ大統領選や、イギリスのEU離脱(ブレグジット)など、実際の出来事も出てくる。その最中に、もしもバッキンガム宮殿で事件が起きていたら、そしてエリザベス女王が探偵さながらの洞察力で事件の捜査にあたっていたら、という「if」を楽しむシリーズである。
    犯人=黒幕に関しては、割と早い段階で予想はつく読者が多いのではないか。事件の全容はあまり後味のよいものではないのだが、女王がなぜ駄作の絵に愛着があったかを示す最後のエピソードが効いていて、読後感は悪くない。
    英王室研究者によるあとがきも舞台背景を補って秀逸。

  • シリーズ2作目。
    ミステリーともしても、イギリス王室史としても楽しめて2倍嬉しい。
    トランプ大統領など、時事ネタもあるのにいやらしくなく物語に上品さと深みがでるのは、主役が女王陛下だからなのか。
    そして女王陛下がブリタニア号の絵に固執した理由がラストにわかり、とても素敵だった。

  • 結構なボリュームのページ数だったけれど面白かった。本作はエリザベス女王が懇意にしているハウスメイドがプールサイドで死体で発見され、女王お気に入りの絵画が行方不明だと気付くところ始まる。2作目にして、いくらフィクションでも王室職員の中で殺人事件が発生し、発表時は実在していた女王陛下が推理をして展開する物語は怒られないのかな~日本の皇室じゃ無理かなとか唐突に思いながらも楽しく読んだ。陛下が、亡くなったメイドの過去の人生に心を寄せ悼む場面が良かった。やはりフィリップ殿下やロージーやサー•サイモンなどの人物設定が良い!

  • シリーズ2作目。
    英国王室を覗いている気分になれるのが良い。

  • 前作に引き続き、作者はフェミニストとしての鋭い視点を持っていると感じる。

  • フィクションとはいえ、女王の賢明さ、チャーミングさがたまらなく魅力的。エジンバラ公も面白くて好きだわ。

  • 楽しめました。ミステリーというより、イギリス王室史を読んでいるような気分になります。これまでの外交、文化の数々を知ることができて大満足。事件はかなり入り組んでいて、もう少し整理してくれても、と思いましたが、絵が絡んでるので読み応えありました。なんと言ってもラストのエピソードが素敵。素晴らしいです。ほんとにイギリス王室は絵になりますね。日本の皇室では考えられません。お二人とも既に天上にお住まい。面影をしみじみと思い出しています。

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