警視庁アウトサイダー (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041112335

作品紹介・あらすじ

警視庁桜町中央署刑事課のエース刑事・蓮見光輔は、本庁の組織犯罪対策第四課から異動してきた架川英児とコンビを組むことに。風貌も言動もまるでヤクザの架川に桜町中央署のメンバーが困惑する中、所轄内で幼稚園児の息子を持つ主婦が殺害される事件が発生。ママ友のグループの聞き込みを開始する。架川は「あの佐々木ってのが組長で、江藤が若頭で……」とグループを分析、「抗争状態にある」別のママ友グループの存在を探り当てる。結果を出してマル暴に返り咲きたい架川の型破りな捜査手法に振り回される光輔だったが、協力して事件解決にあたるうちに少しずつ打ち解けていく。
しかしそんな中、架川は、知人である兵庫県警の刑事の情報で光輔が他人になりすましているという重大な秘密を知り、「ばらされたくなければ、今後も俺がマル暴に復帰するための点数稼ぎに協力しろ」と光輔に迫る。仕方なくこれを受け入れた光輔だったが、胸中では「あんたが俺を利用するなら、俺もあんたのマル暴人脈と経験を利用してやる」と決意。こうして、一つの秘密と二つの野望を抱えた凸凹刑事バディの捜査が始まった。

感想・レビュー・書評

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  • 警視庁桜町中央署でトップの検挙率を誇るエース刑事・蓮見光輔にはある秘密があった。
    その光輔は本庁組織犯罪対策課(通称マル暴)から『訳あり』で異動してきた架川英児と組まされることになる。
    ある目的を果たしたい光輔と手柄を立ててマル暴復帰を果たしたい架川、最初はチグハグだった二人がそれぞれの目的のためにガッチリタッグを組む。

    加藤さんの作品で主人公が男性は少ないので新鮮だった。話としては<メゾン・ド・ポリス>シリーズのような、警察の暗部にも触れるような話。
    光輔の目的や秘密はプロローグでだいたい分かるのだが、そのためにかなり危なっかしいことをしている。
    一方で架川の方はザ・マル暴という感じで荒っぽい。これまでの加藤さん作品では昭和ネタがお馴染みだったが、こちらはマル暴ネタ(しかも古い?)が満載。

    作品には三つのお話が収録されているが、最初の二つの事件を解決するに従って、最初はぎこちなかったり互いを探り合っていた二人が次第に良いバディになっていくまでを描いている。
    今回の作品ではもう一人、本庁警務部監察係から異動してきた若井美波も二人の間に入って来る。彼女の目的は架川の監視だったのだが、やがて彼女の目は光輔にも向いていき、光輔の秘密も知られそうになってピンチになる。

    加藤さんらしくハラハラさせられたりクスっと笑わせられたりホッとしたりで楽しく読めた。
    ちょっと上手くいきすぎなところもあるが、そのくらいの準備がなければ光輔もこんな危ない橋は渡れないだろう。

    終盤では光輔の目的である、ある事件の真相の一角が見えてくるのだが、それは架川が所轄に左遷された理由とも繋がりが見えてきて面白くなってきた。
    というところでこの第一巻は終了。
    続編が出ているようなので、そちらも読んでみよう。

  •  訳あり、事情も持ちの刑事ばっかり(;^_^A

     やっぱりこういう話は大好きだわぁ。

  • 1年ほど前にドラマをしていたため改めて読んだ。ドラマでは序盤に登場した水木直央が全く出てこず驚いた。
    ストーリーの大筋は知っているが十分楽しむことができた。

  • 感想
    架川が全部ヤクザの組織に例えたり、隠語を使うのが妙に面白い。ママ友集まりで、誰が組長、若頭、本部長といったように。捜査の方法も暴力団と同じようなアプローチでなぜかそれが上手くハマるところも面白い。

    主人公の蓮見も湯川秀樹みたいに突然閃いて事件を解決する感じ。結局、警察上層部のゴタゴタがすべての元凶であるらしく、つい最近読んだ違う作品と構図が似通っている感じが。。。

    凸凹コンビのキャラが立っているので、楽しく読める。

    あらすじ
    所轄のエース刑事の蓮見と、なんらかの理由でマル暴から飛ばされてきた見た目がヤクザの中年刑事の架川がコンビを組んで事件を解決していく。

    初めの事件はママ友間で起こったトラブルを解決するものだったが、衝撃の事実が明らかになる。蓮見は、実は蓮見という人に成りすまして、自分の父の無罪を晴らすために情報を集めている。一方の架川は手柄を挙げてマル暴に戻ることを望んでいた。異色のコンビが様々な事件に立ち向かう。

    事件を追ううちに架川を嵌めた人物が浮かび上がる。その内情も警察幹部の出世争いだった。蓮見も、監察官に梶間のなりすましと疑われるが、実は警察内の協力者である羽村の助けで難を逃れる。

  • 連作短編集。
    警視庁桜町中央署。蓮見光輔は期待の星だ。母の介護のため1度兵庫県警を退職したが、警視庁に再就職した。組織犯罪対策部から架川が異動してくる。見た目はほぼヤクザ。派手なスーツにサングラスだ。何か不祥事を起こしたための異動と噂されている。
    蓮見は実は偽物。10年前に、長野で、刑事だった父が、ホステス殺しで逮捕された。その無実の罪をはらすために警察に入り込んだ。同じく架川も、暴力団とつながりのある警察関係者を探りだし、組織犯罪課に戻りたい。二人は仕事で実績を上げるために協力する。
    そして、蓮見、架川の案件に関わるのは上層部の有働?がとっかかりだと思われる。

    感想
    本書だけではシリーズは終わらない。二人のメインの謎は次の作品?に続く。「メゾンドポリス」と同じようなテイストを期待して読むと、もう少し歯ごたえがあって、意表をつかれる。組織内での覇権争いにページを割かれているから。あと、蓮見が若くてイケメンだけど、影があるので、作品全体の明るさは「メゾン」よりは少なめ。でも、読みやすい。普段、ミステリーの組織ものを読まない私でも構造がスッとわかる。会話や地の分で、説明してくれているし、その分量がくどくない。登場人物が多いけど、それぞれキャラ付けされているのでそれも読みやすい。架川の付けたあだ名、「桜町三兄弟」、笑ってしまった。
    二人が所轄内で担当する事件でも、組織犯罪対策課で培ったノウハウを発揮する架川。コミカル。見た目とのギャップが想像しやすく、上手いなーと思う。

  • はじめてお目にかかる著者の作品。いや、なかなか面白かったです。事件を解決していくに従い、蓮見と架川のふたりがだんだんと”コンビ”になっていくさまは良いですね。

    蓮見が抱える謎と企み、架川の野心がこの物語の軸になっていて、特に蓮見の企みはかなり危険でどすぐろいものなのですが、そのどすぐろい雰囲気が伝わりにくい印象。もっと蓮見のダークな内面が表現できていると雰囲気かわるかもしれません。

    とはいえ、ストーリーの展開は先へ先へと興味がそそられるものでした。続編もあるようですのでそちらにも期待。

  • 秘密を抱える若きエース・蓮見光輔とマル暴から飛ばされてきた問題刑事・架川英児、二人の訳あり刑事によるバディもの。ドラマが面白かったので原作も、と思って手にとったもの。ドラマ視聴済みなのでどうしても西島秀俊さんと濱田岳さんの顔が脳裏に浮かんだ。

  • キャラが好みじゃなかった

  • 光輔と架川コンビ良いですね!
    続きが気になります。

  • 【請求記号:913.6 カ】

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著者プロフィール

1966年東京都生まれ。2003年「インディゴの夜」で第10回創元推理短編賞を受賞しデビュー。同作は書籍化され大人気シリーズとなり、ドラマ化、舞台化、コミック化された。他著に「モップガール」シリーズ、「アー・ユー・テディ?」シリーズ、『チャンネルファンタズモ』『ご依頼は真昼のバーへBarホロウの事件帳』『風が吹けば』『桜田門のさくらちゃん』『学スクール園王キングダム国』『ゴールデンコンビ 婚活刑事& シンママ警察通訳人』「メゾン・ド・ポリス」シリーズ、『警視庁レッドリスト』などがある。

「2023年 『警視庁アウトサイダー The second act 3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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