紙屋ふじさき記念館 春霞の小箱 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041114193

作品紹介・あらすじ

現記念館の閉館まであと半年と少し。大学卒業後の進路も見えてくる中で、百花は一成のもとで和紙の仕事をしたいと強く心に思う。記念館存続のためにも活動を続ける百花だったが、予想外の事態が起きて……。

感想・レビュー・書評

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  • [1]墨流し、物語ペーパーの書籍化、和紙体験、閉館に向けた記念イベント。
    [2]ああ、新型コロナを絡めてくるのかぁと。ストーリーの中としてはマイナスでもなくちょうどいい加減のインターバルを取れるかもしれへんなあ。
    [3]いずれ記念館は川越に移転するんじゃないかと(おそらくは誰もが)思っているやろうけどそういう方向に流れていってるかも。

    【第一話 ぴっかり千両】小川町の和紙体験学習センターと東秩父和紙の里への遠足。新たな人脈小川町の和紙体験学習センター出身で襖紙の工房に勤めつつ料紙を作っている岡本さん。
    【第二話 墨流しと民藝】岡本さんがやってきて料紙談義の後百花がよくわからなかった墨流しを実演してくれた。ぼくらの世代やったら? 子どもでもわりと普通に遊んでた技術なんやけど。/吉野雪彦ファンだというライターの浜本との話で物語ペーパー各章ごとでも全文を出版する話が浮かび上がりどうせなら和紙で活版でとなり三日月堂に挨拶に行く百花と藤崎。
    【第三話 春霞の小箱】記念館閉館に向けたイベントや企画をこなしていく百花や藤崎。実績づくりの甲斐あって記念館で行っていたワークショップは本社の会議室で続けられることになった。所属は書籍用紙を扱う第二営業部の和紙部門となった。/岡本から連絡を受けて楮かしき(かすかしき)体験をすることになったら薫子さんと秘書の朝子さんとついでに藤崎の母、有名声楽家のめぐみまでついてくることになった。偶然、弓子と天野も参加していて女子会が始まる。/最後の二か月続きのワークショップ「春霞の小箱」。しかし新型コロナの足音が近づいてきていた。

  • こちまで和紙への思いが強まっていく。
    墨流しいいなあ。
    ラストではついにコロナ禍に突入。
    多分いい方に話は展開するとは思うが、ますます目が離せなくなってくる。

  • 最初に4作目を読んだので、ようやくその続きの5作目。今回は和紙の世界にどっぷりと。小川町は通ったことあるけど、見どころもあるんだ。そして最後に現実とリンクの2020年3月・・・

  • さらっと閉館イベして終わるんだろうな、と思ってたらなんと!未知の感染症流行!ぐっと引き込まれました。つらい思いしている人を助けてくれる本だと思います

  • 大好きなシリーズで、新しい話を読む度に、ものづくりや紙の良さを感じます。この作品はその当時の様子であったり、町の様子がきれいに丁寧に描写されていて、読むと頭の中にその風景が広がっていくのが素敵だなと思います。その場所に行ってみたくなるし、紙漉きや墨流しをやってみたくなりました。今まで知らなかったことを小説を通して知り、興味を持ち、世界が広がっていくのは、本の魅力だと改めて感じました。

  • 今回は、記念館の物語というより、和紙が作成されるまでの工程や、加工の深掘り、という印象。
    なんとなく想像出来て面白かったし、読後改めて動画や画像で見てみた。
    まさに手仕事。
    どうしても想像出来なかった「西本願寺三十六人家集」を画像検索で見てみると、成程、圧巻の美。
    これが全て手作業とは。しかも時は平安時代。
    素晴らしい。
    岡本さんの、自然をそのまま写し取ったような、という墨流しも見てみたい。

    ラストはいきなり現実とリンクして、不安に駆られた。
    どうなってしまうんだろう。

  • 記念館閉館に向かっての怒涛の展開。それから小川町あたりの和紙の歴史を振り返り、墨流しの技法を教わり…と進み、いざ最後のワークショップってところで作中にもウィルスの影響が…。そういうの無い世界観なのかなと思ってずっと読んできたけど急に現実味が出てきた展開に驚きです。

  • 「ぴっかり千両」
    和紙を特集にするため。
    目の前に資料でしか見たことのない機械が展示されていたら、興奮から本物だと声に出してしまうのも分からなくないかもしれないな。

    「墨流しの民藝」
    物語は読者の心の中に。
    一度読んでみると続きが気になるような部分を抜粋しているのは流石としか言いようがないが、そんな文章を書けるのも才能だろうな。

    「春霞の小箱」
    最後のワークショップ。
    計画していた行事が全て出来なくなっただけでなく、閉館まで早まってしまうだなんて誰もが考えもしなかった寂しい終わりだよな。

  • 紙は奥深いっ!!今回はサークルのメンバーと小川町へ紙漉き体験に。墨流しのところでは民藝も出てきてテンションが上がる。物語ペーパーも見てみたいし、『東京散歩』も読んでみたいな。
    記念館の閉館がコロナ禍の後ろに隠れていたなんて。何年後かに読み返したら、懐かしく感じるだろうな。
    閉館後の記念館の続きを知りたい。

  • 【収録作品】ぴっかり千両/墨流しと民藝/春霞の小箱

    三日月堂とのつながりもより深まって……と思った矢先の新型コロナ騒動。現実にもリンクして……逃げずに書くんだな。どんな状況でも、人は生き続けるしかない。
     

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著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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