- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041117316
感想・レビュー・書評
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2話までは「世にも奇妙な物語」にありそうな話だな、要くんカッコいいね~、などと思いながら読み、3話を読んで、あれ?ちょっと待て待て、とようやく物語のつながりに気づき慌てる。
とにかく読んでて不愉快。
さすが心理描写が緻密な辻村深月。これでもかと根掘り葉掘り心の闇を突き付けてきて、もう勘弁してと思う。
「距離感がおかしく、一方的に自分の都合や事情、思いを押しつける」p92のが所謂ハラスメントで、「神原家」によって引き起こされるのが「闇ハラ」なのだ。もう絶対お近づきになりたくない。
「自分の正義を疑わず、相手にもその理論が通じると信じきる」p258
「正しいからだ。正しすぎるから」p306
あれ?悪いのは私の方?と、いつの間にか洗脳される。
「優しさは、弱さかもしれないけれど、それをなくしてしまうなら、弱いままでいい。」p94
自分を自分のまま、肯定できれば、闇に惑わされることはないんだろう。
分かっちゃいるけど、私は心が弱いから真っ先に神原家に取り込まれそう(笑)というか、すでに知らず知らずのうちに闇ハラをしてそう。周りの皆さんスミマセン。
ちなみに、栞。
黒い。そして太い(笑)怖い(笑) -
登場人物に対する印象が最初と最後では正反対。
近くにもいそうな人たちで怖い。
最近の世の中、自分の身の回りもこんな「闇」があるのではと思うとかなり怖い。もしかしたら、自分も... -
辻村深月が描く初のホラー作品!
辻村さんらしいミステリーの要素もガンガンあって面白い!少しずつ闇に取り込まれていって気づけば真っ暗闇みたいな感じの人の闇を祓う物語!
身近にある名前のない悪意や微妙な距離感、一方的な関係性が恐怖へと変わっていく感じがさすが辻村深月さんの作品って感じでどんどん物語に引き込まれて闇祓に夢中になってしまった。
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恐怖というより、こんな感覚を味わったことがあると思ってしまった。引きずり込まれないように気をつけて。
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〝闇ハラ〟で人の心が蝕まれていく過程に戦慄。途中感じたのは映画「CURE」に似た怖さだった。章を追う毎につながる人名と深まる謎にページをめくる手が止められなくなるが、最終章は唐突感があって消化不良。良くも悪くも辻村さんらしいホラーミステリーだった。
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いちばん好きなのはスロウハイツシリーズだけど、作者を知るきっかけになったのが『ナベちゃんのヨメ』という短編だったから、こういうダークな小説こそ辻村さんの真骨頂だなあと思う。人間の醜さというか、人はどこまで醜悪になれるのかを書かせたら、きっと右に出る人はいないんじゃないか。
闇ハラはどこにでもある。思いやりのフリをして相手を責めていたり、親切のつもりで馴れ馴れしくしていたり、嫉妬心からマウントをとってしまったり……。作中にも書かれているように、使っているのはあくまでも言葉と行動。闇というのは決してメタファーではなく、現実に存在する力だ。だって知ってるでしょ? そうやって人が死ぬのを。だからこそこの小説は怖い。