海の教場

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 439
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041126080

感想・レビュー・書評

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  • 極めて特異な設定なので共感する場面はないはずなのに、テンポも良く、説明臭くもなく、すぐに没入出来ます。
    タイムリミットのある状況で、一刻も待ってくれないことに突き上げられていく緊張感、この主人公ならどんな言葉でどんな舵取りをしていくのだろうと、手が止まらずにあっという間に読了。
    最後が呆気なかったのでもう少し人間臭く終わって欲しかった。
    面白かったです。

  • いや〜良かったです。感動しました。
    「国境も知らずに陸からつべこべ言う奴らごと、国を守る覚悟を持つこと。それだけだ」にはグッと来ました。周りから色々言われても、信念持ち、教える姿がかっこいい。
    ひたむきで熱い気持ちで恋人や学生に向き合う男はいつの時代もかっこいい。学生達も素敵な若者だった、楽しくてバカで真っ直ぐで。
    フォローさせて貰ってる方の本棚に高評価で入ってて出会った本。良いアプリですね、これ。これからも皆さんの意見を参考に自分の範囲を広げていきたい。ありがとうございました。
    作者の吉川さん、女性だったのですね、それもびっくり。

  • 愛する人に寄り添うため霞が関から舞鶴の海保学校の教官になった百地。
    青春、恋愛、涙。
    笑って泣いて感動できる一冊。
    最高でした‼︎

  • 最高の学校と仲間が、生き方を教えてくれた。海上保安学校が舞台の教場物語

    桃地政念(ももち・まさむね)は、海上保安官の中でも調理・経理・庶務などを担当する縁の下の力持ち部門「主計」の専門官。海上保安官といえど、海猿でもヒーローでもなく、小柄でメタボが気になる独身彼女ナシの中年だ。
    霞が関勤務の彼がある日、学生時代のマドンナ・高浜彩子から呼び出された。彩子は女性ヘリ操縦士の草分け的存在で、桃地とはある因縁を持つ。
    ドキドキしながら向かった待ち合わせ先で告げられたのは「肝臓がんで余命一年」。京都府舞鶴市の病院に入院するという。シングルマザーの彩子は、息子の悠希が春から舞鶴の海上保安学校に入る予定で、そのそばで過ごすためのようだった。
    彼女のために現地への異動を企てた桃地は同校の教官として赴任することに。船舶運航システム課程主計コース3組の担任となったが、腐れ縁の校長・比内から、ある事情がクラスに重い影を落としていることを聞かされ……。

    全体通じて良い話だった。これを読んで国を守ってくれる人増えると良い。
    しかし・・移植・・・治療が遅すぎるんじゃ無いか?
    沖縄のおねえちゃん・・・アホすぎて・・・一緒にならなくて良かったよ。

  • 勢いがあった。青春だなぁ。
    舞鶴の海上保安学校のお話。人を育てることの喜びが伝わってくる。

  • 海上保安庁の主計管理課の専門官 桃地は、メタボな中年男。
    そんな桃地が、大切な女性の余命を知り、少しでも近くで支えたいと、その近くの舞鶴海上保安学校の教官となり、学生たちと触れ合う日々。

    とても読みやすく、話の中にどんどん入っていけた。
    海上保安官を目指す学生たちの揺れや迷い苦しみにも感情移入し、また肝臓がんの生体肝移植など、色々知りながら読み進めた。

    若い人にも読んでもらいたくなるような、良い作品だと思う。

  • 2024/5/3読了。

    このブクログでたくさんの方達が高く評価していらしたので、私も、と手に取った本。
    今時珍しく、心の優しい人たちしか登場しない、心温まる作品で、うるっとしてしまったことも数えられない。

    いわゆるお偉いさんたちも皆さん、ユーモアがあって、話が通じるところも良い。
    主人公の「桃ちゃん」だけでなく、登場する全員に幸せになってほしい、と心から思った。
    それだけ、それぞれのキャラクターがしっかり書き込まれてるのだと思う。

    海上保安学校や海上保安庁という、普段あまり馴染みのない世界も垣間見ることができたのも良かった。
    吉川英梨さんの作品、また読みたい。

  • 感想
    海保学校の熱血物語。主人公の桃地はちょっと頼りないところがあるものの決める時は決める姿がかっこよかった。

    あらすじ
    桃地は海上保安庁の主計に勤めて、20年、独身だ。ある日同期のマドンナでヘリの操縦士の高浜彩子が訪ねてきた。彩子は肝臓がんで余命1年だという。桃地は居ても立っても居られなず、彩子の入院する舞鶴に異動願いを出す。

    赴任した桃地は自殺者が出たクラスの担任をすることになる。学生の1人から彩子の病気を治す方法として生体肝移植を知らされる。家族が肝臓を提供できるため、桃地はダイエットして脂肪肝を治すことと、彩子にプロポーズを受け入れてもらうため努力する。また、彩子の息子が海保学校に入る予定だったが、母親のために断念するというところを桃地が説得して入学を果たす。

    彩子と無事結婚して、肝臓の適合を調べるも、桃地とは不適合であり、移植を諦める。残された道は息子から肝臓をもらうことであったが、息子の身体を傷つけたくないと彩子は頑なに受け入れないのであった。

    桃地はクラスの学生が卒業出来るように導きつつ、彩子が生きられる道を模索する。

  • 皆さんのレビューを見て読んでみたくなりました。
    海上保安官ながら今や中年メタボで主に事務系の職務につく冴えない桃地と、海上保安学校時代の憧れのマドンナでその後颯爽と救難ヘリを操り女性海上保安官の道を切り拓いて来たシングルマザーの彩子、その息子の悠希。彩子が余命1年との告白を受けて桃地が舞鶴の保安学校の教官になるところからの、彼等と桃地の教え子、同僚達との波瀾万丈な中でも濃密な人間関係が紡がれていく1年間の物語。
    其々悩みを抱え理解し合えずに苦しみながらも、最後は自分を曝け出すところから解決の糸口が見つかり信頼関係が築かれて行く様は、清々しく感動的でした。
    桃地の相手に一歩踏み込んだ思い遣りっぷり、第五分隊五班メンバー(望月、金城、平牧、成瀬)達の「バカでアホですぐに裸になるやんちゃ坊主たち」っぷりが爽快だった。

  • よかったー 感動したなぁ

    前評判どおりのいい作品でした。ドラマにしてほしい

    病気を患った愛する女性のそばにいるために、自ら異動を申し込み舞鶴の海上保安学校の教官に赴任した桃地こと桃ちゃん。担当した生徒、息子、愛する女性との物語。

    桃ちゃん、熱いし真っ直ぐだし良いキャラだったなぁ。

    学祭の目玉「私の主張」での桃ちゃんの自殺した学生臼井や殉職した同期の当真へ対する清算と懺悔、彩子さんへのプロポーズは泣けた。

    同僚教官の鐵先生が妊娠、
    鐵は「出産、育児でキャリアを棒に振るわけにはいかない。もっと上を目指してこのあと海保を目指してくる女性のため道をつくってあげなければいけない」と子供を断念せざるを得ない苦悩を吐露。

    桃地は「それなら後輩たちは君と同じような決断をしなくてはいけない。迷惑極まりない、そんな道だれが選ぶんだ。目一杯育児休暇とってでっかい顔して普通に復帰して、あれどうやるんですか?これどうやるんですか?って周りに迷惑かけろ!それを普通のこと。組織の当たり前にすること。あんたがすべきはそっちの努力だ!」
    と鐵先生を叱咤するシーンを胸をうたれた。

    桃地のような考え方があたり前になる社会がこの日本に必要なんだよなぁと。
     
    ガンに冒され日に日に痩せて衰弱していく彩子さん。自己犠牲が強く真が強く、生肝体移植を頑なに拒んでいた彩子さんが、学生がつくったブランコに桃地と乗りながら、「死にたくない、死ぬのが怖いと」とこぼすシーンを泣けた。

    主計士補という職業があるのをしらなかった。
    巡視船での料理を担当したりと。
    いい勉強になった。

    全体を通して胸を熱くさせてくれたこの作品。最高でした。オススメです。

    吉川英梨さんの他の作品も是非読んでみたいと思った。

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著者プロフィール

『私の結婚に関する予言38』(宝島社文庫)にて第3回日本ラブストーリー大賞のエンタテインメント特別賞を受賞し、2008年デビュー。近著に『ブラッド・ロンダリング』(河出文庫)。そのほか、「原麻希」シリーズ(宝島社)、「新東京水上警察」シリーズ、「海蝶」シリーズ(ともに講談社)、「十三階」シリーズ(双葉社)、「警視庁53教場」シリーズ(KADOKAWA)、「感染捜査」シリーズ(光文社)など著書多数。

「2023年 『警視庁捜査一課八係 警部補・原麻希 グリーン・ファントム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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