海の教場

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041126080

感想・レビュー・書評

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  •  海上保安官の桃地は憧れのマドンナ、彩子さんが肝臓癌で余命一年ということを知る。

     桃地は彩子の入院する京都の舞鶴へ移動希望を出し、海上保安学校の教官職に空きがあり、東京から京都へと向かった。

     初めての教官職に悪戦苦闘しながらも、学生との絆を深めていく桃地。気がかりは彩子の病気の進行だ。

     桃地は医師から生体肝移植なら治る見込みがあることを聞く。ただ、移植ができるのは親族者のみ。息子の肝臓を拒否し続ける彩子に桃地が取った決断は。

     全体的にお涙頂戴を狙っている感がアリアリに感じてしまうところや、言い回しというか、ちょっと臭い感じがして入り込めなかったかな。

  • ブク友さんたちの評価が高かったので
    読んでみたいと思っていた一冊。

    私の中では海上保安官といえば海猿。
    あぁ~、何も知らなかった自分が恐ろしい。
    本の中で尖閣諸島を双眼鏡から見た学生が
    「竹島はわが国固有の領土です」
    「双眼鏡で見るだけなんてー。なぜこちら側が遠慮しなければならないのですか」と。
    それに対して教官の桃地は
    「それは遠慮とはいわない。対立回避という」と答える。
    そして「俺達海上保安官の気持ちひとつで、戦争なんて簡単に始まるんだ」
    「戦争にならないから、国民は知る機会がない。知る必要がないんだ」
    「日本国民が知らないでいることを誇りに思え。
    我々海上保安庁がきっちり日本の海の平和を守っているということだ」と。

    平和が当たり前なわけはないのに
    生まれた時から平和は当たり前だった。
    でも、私たちが平和だと思えるために
    日々努力してくれている人たちがいることを
    きちんと知らなければならない。
    今更ながらそう思った。

    海上保安官を目指した若者たちのその動機は様々だが
    それぞれ明るい未来を想像していただろう。
    だが、実際に海上保安学校の門をくぐってみると
    厳しい訓練、理想と現実のはざまでくじけそうになる。
    そんな学生たちを支える桃地教官の姿が胸を打つ。
    自分の人生をかけて守りたい女性への桃地の献身。
    そんな桃地にも乗り越えられずにいた過去があって…

    『海の教場』には桃地の愛が溢れている。
    小柄でメタボの桃地教官が
    私の中で海猿の伊藤英明に代わっていった。
    そして、ラストでは涙していた。
    素敵な本に出会ったわ~!

  • 皆さんが絶賛高評価しているので読んでみた。

    ちょっと事前にハードルを上げ過ぎたからかもしれない。
    決して面白くないわけではない。ある程度、感動的な話に仕上がっているんだろうなと思う。
    でも、残念ながら私にはあまり刺さらなかったようだ。
    巻末の参考文献を見ても、作者がいかに海上保安庁、保安学校や肝移植についてじっくり調査した上で、この青春群像を描いたことは伝わってくる。
    入学式その他の各イベントを舞台にさまざまなエピソードが描かれるが、どうも私には全体的に「海上保安庁の紹介」的な印象が感じられてしまい、物語に入りきれないというか。
    内容も、海保の偉い人たちが、こんなくだけた人達なわけないし、みんなすぐに桃ちゃんに心酔するのがちょっと興醒めな部分もあったかな。
    私自身、すぐ涙腺崩壊するタイプだが、本書で泣けることは無く、鼻の奥がツンとすることもなかった。主人公の桃ちゃんもとてもお茶目で魅力的といえばそうなんだけど。
    期待していた感動を得ることはできなかった…。

    皆さんの感動に水を差すようでとても心苦しいのですが、正直な感想として書き込んでおきます。

  • タイトルの「教場」からシリアスなイメージを想像してたのが、のっけから、あれ?なんか雰囲気が。。
    気持ちをリセットし、見た目ちょっとさえないけど性格良さそうな桃地教官の物語を楽しむことに。

    海上保安学校を舞台に、教官と生徒の厳しくもあたたかな絆が深まる過程が良かった。

    一方で、余命宣告された元同期の愛する女性とのやり取りにもグッと来るものがあった。
    海保を志望し、働く者の特性として、自己犠牲の精神が挙げられていたけれど、この女性にもそういう資質があり、生きることより愛する者を優先させようとするところがなんとももどかしかった。

    この本を読んだことで、普段気にすることのないこういった職業や、国境での緊迫した状況に気持ちを向けさせてもらえた。

  • 私がフォローしている方の評価が高かったので読んでみました。
    1人の海上保安官とかつて思いを寄せ余命宣告された同期の女性、残りの期間を近くで過ごそうとなかなかの行動にでます。
    海上保安学校の登場人物のエピソードそれぞれで、ちょちょいうるうるさせてくれる。
    最後もそっちなのって、感動しました。

  • 一途。

    メタボな中年桃地と、海上保安庁の学生たちが共鳴する、教官・学生の立場を超えた、それぞれの青春物語。

    こうしたい、こうありたい。

    成就しても、その途中で挫折したとしても、その姿はとても美しく羨ましく尊い。

    大切な人を何年も思い続ける気持ち、世の中や、人の役に立ちたいという信念から職業を志すということ。

    とても眩しくて、これぞ、小説が存在する意義なのだ、と感じ、2回続けて読み返してしまった。

    読みたい、と思わせてくれた、フォロワーさんたちのレビューに、改めて感謝したい。

    • bmakiさん
      こんばんは!
      2回続けて読んでしまいましたか!
      でもそのくらい面白い小説でしたよねo(^▽^)o

      続編出てくれるといいなぁと思える...
      こんばんは!
      2回続けて読んでしまいましたか!
      でもそのくらい面白い小説でしたよねo(^▽^)o

      続編出てくれるといいなぁと思えるほど素敵な作品でした╰(*´︶`*)╯
      2024/04/19
    • shukawabestさん
      bmakiさん
      ありがとうございます。本当にいい小説です。読み返してみると、162ページで、恋人に海保の存在を否定され、進路を迷う学生金城に...
      bmakiさん
      ありがとうございます。本当にいい小説です。読み返してみると、162ページで、恋人に海保の存在を否定され、進路を迷う学生金城に対して桃地が、「国境も知らずに陸からつべこべ言うやつらごと、国を守る覚悟を持つこと」と、海保の使命を説きます。こんなセリフまで改めてクローズアップされて来ました。
      僕が読むきっかけとなるステキなレビュー、ありがとうございました。
      2024/04/20
  • 青春物。読んでいて清々しい程のストーリー。桃地みたいな指導者がいたら楽しいだろうな。
    青春ものと、命のあり方を考えさせられる本

  • ブクログで、良く目にするので気になって読んでみました❗素敵な本に出会えて ブクログ に感謝です。

    シリアスな内容で、何度も何度も涙が溢れるんだけど登場人物皆、愛おしいキャラクターばかり。
    泣いたり、クスッと笑ったり忙しかったです!
    あと、日本の海を守っている海上保安庁のお仕事の内容を知ることが出来て良かったです。

  • 皆さんの評価が良かったので手に取った、初めましての作家さん。
    海上保安官の養成校での教官と生徒の青春ストーリー。1人1人のキャラクターが本当に目に浮かぶようで。みんなそれぞれ抱えているものがあって、人を思いやる力があって、人間臭くて憎めない。ただひたすらに爽やかではなく、海上保安官という仕事上避けては通れない人の生死についても1人1人が向き合って成長していく。
    自然と涙がほろほろ出てきてしまいました。
    でもそれは辛いとか悲しいとかそうゆう種類だけでなく、前を向く力になるそんな気持ちのいい涙を流す事ができました。
    皆さんの評価を見てなかったら手に取ることはなかったかもしれないなぁと思うと、本当出会いに感謝な1冊です。

  • 45歳メタボ中年男の桃地政念は、肝臓がんで余命一年を宣告された女性ヘリ操縦士のシングルマザー彩子を追って、舞鶴にある海上保安学校の教官に。
    命と向き合いながら、彩子や学生たちに寄り添う日々、熱くて真っ直ぐな桃ちゃんに何度も涙してしまった。五森祭での桃ちゃんの『私の主張』は、圧巻! 彩子の夫だった当真の死、罪悪感、そして死者に対する決別と彩子へのプロポーズ。彩子も悠希も後悔することなくてよかった。
    涙だけでなく笑いも随所にある良書だった。

    • bmakiさん
      こんばんはo(^▽^)o

      この本、本当に素敵ですよね!
      涙あり、笑いあり、今年に入って一番の良書です(*^▽^*)

      続編出ない...
      こんばんはo(^▽^)o

      この本、本当に素敵ですよね!
      涙あり、笑いあり、今年に入って一番の良書です(*^▽^*)

      続編出ないかなぁ。。。
      2024/04/08
    • nori-kokkosanさん
      こんばんは! コメントありがとうございます(*^ー^)ノ♪
      実は、本書「海の教場」と「もう別れてもいいですか」はbmakiさんのレビューを...
      こんばんは! コメントありがとうございます(*^ー^)ノ♪
      実は、本書「海の教場」と「もう別れてもいいですか」はbmakiさんのレビューを読んで借りたものでした。あっ「正体」もそうだった!
      いつも楽しみに読ませてもらっています
      (〃´ω`〃)
      2024/04/08
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著者プロフィール

『私の結婚に関する予言38』(宝島社文庫)にて第3回日本ラブストーリー大賞のエンタテインメント特別賞を受賞し、2008年デビュー。近著に『ブラッド・ロンダリング』(河出文庫)。そのほか、「原麻希」シリーズ(宝島社)、「新東京水上警察」シリーズ、「海蝶」シリーズ(ともに講談社)、「十三階」シリーズ(双葉社)、「警視庁53教場」シリーズ(KADOKAWA)、「感染捜査」シリーズ(光文社)など著書多数。

「2023年 『警視庁捜査一課八係 警部補・原麻希 グリーン・ファントム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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