白と黒 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304136

感想・レビュー・書評

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  • 平和な新興団地を騒がしている怪文書事件。銀座の街でたまたま出会した順子に連れられ問題の団地へ向かった金田一耕助。順子のところに送られて来た怪文書は、以前働いていたラウンジでの話と愛人のことが記されていた。そして、まだ開発中の団地で事件は起こる。タールに頭を突っ込んだ状態で商店街で仕立て屋を営むママが死んでいた。そして、行方不明のままの順子の夫。怪文書は誰がなんの目的でばら撒いたのか。


    昔の団地ってかんじでよかった。もう怪文書の謎とママの謎が最後まで分からなかったし、怪しい人いっぱいいるしで面白かった。だけど、ちょっと長かったなぁ。読みのに時間がかかってしまった。


    2021.4.7 読了

  • 新しくできたマンモス団地に横行する怪文書、そのうちに殺人事件が起きてしまう。最初の被害者は顔がわからないように火傷していた。それはなぜ?被害者は誰なのか。
    時代的には、団地という住まい方が新しかった時。本書では、他人と接したくない人にはこの密集した住まい方は辛いともいうし、扉をしめてしまえば自分たちだけの世界であるとも相反することを登場人物たちが言っているが、人の秘密をあばく中傷や噂がどんどん広がっていったこと、その一方、真実は誰にもわからないということがこの物語から感じ取れる。今にも通ずることかもしれない。
    前回のもだけど、意外な、殺人容疑者から無意識にはずしてしまうような人が犯人だった。あと犯人ということをわかって改めて本人の言動を考えると…滅茶苦茶性格わりー!って思った。

    それと、文庫の最後の方にはいつも、今日の人権擁護の観点から照らして不適切な表現が…とあるが、この時代は同性愛者は頭おかしい人扱いなのね。忌まわしい、とか、悪い癖が、という表現。これがそこまで遠くない昭和の話なんだけど、随分時代は変わったなぁと思った。

    あと金田一が歳をとったせいか、女性に対してや性的なものに対して赤面したりオロオロとまどう描写がなくなったのところが、シリーズの時間経過を感じさせるな。

  • それぞれの思惑が入り乱れ、怪文書と殺人と死体偽装と事件は偶然か運命か複雑になる。
    登場人物か結構多いのも混乱してくる。
    そういうわざと複雑に見せてるのはずるい手かもしれないが、個人的には十分に楽しめた。
    順子の夫はかわいそう…
    結局どの殺人も怪文書が原因なので、怪文書犯人の罪は重いぞ…怪文書の動機は陳腐なのに…。
    どん栗ころころお前かーい。

  • 今回の舞台は団地です。
    横行する怪文書、団地のダストシュートから黒タールまみれで発見された死体・・・。
    金田一さんといえば、地方の閉鎖的な村で、旧家と因習の中での事件に挑むのがお似合いな印象なので(「金田一耕助事件ファイル」を読んでいくと、都会が舞台の事件もかなり多いのですが、やはりイメージが・・。)、“金田一さんと団地”という組み合わせが新鮮な感じがして、これはこれで楽しめました。
    タイトルの「白と黒」の意味について、金田一さんが色々な人に質問しているのですが、終盤でその意味が明らかになると、何だか恥ずかしい質問を皆にしまくっていた事になるのかも・・。と勝手に思った次第です。

  • 団地、核家族、ヒロポン…昭和感満載のテーマが散りばめられた、東京で起きた事件。さらっと読みやすく、 清張ほど暗さはない。おどろおどろしい猟奇殺人ではなく、それもまた新鮮な感じがした。

  • 横溝正史といえば離島や山奥が舞台と思っていたら、団地が舞台の小説を発見。それも驚きだげど小説の中にs.y先生が出てきてさらに驚いた。団地というこれまでの日本とは桁違いの人口密集。そこに生まれる人間関係。
    たんぽぽのマダムが逆さまに顔を焼かれた状態で発見されるところから話は始まるんだけど、それは麻薬中毒者が幻覚の中でしたことっていうのがいまいち。なぜ一緒に池の中に沈めなかったのか。

  • 久しぶりの『ひとり横溝正史フェア』。
    今回は長編。期待してしまう。

    金田一耕助は昔馴染みの女、順子と偶然再会し、話があると言われ、順子の暮らす団地へ行く。順子から話を聞いていると外が騒がしい。何事かと思うと、建設途中の団地のダスターシュートから顔の判別の出来ない女の遺体が発見される。

    横溝正史の描く物語には欠かせない“閉鎖された村”という設定ではなく、団地が舞台。
    いつも同じじゃつまらない、読者に飽きられてしまうと横溝正史が思ったかどうか知らないけれど、いつもの横溝正史じゃない。
    これは期待出来る。
    そう思ったのだけれど、結論から言うと、普通。

    団地を舞台にしてみたけれど、団地も村もよく考えたらどっちも同じくらい閉鎖された空間かもしれない。
    ということで、特に団地だから何だということもなく、いつもの横溝正史らしくドロリといやらしい物語。
    ということで普通。勝手に期待したのがいけないのだけれど。

    タイトルの「白と黒」。
    何のことなのか。
    これを気にして読んでいくと、なるほどねという感じ。
    タイトルにするだけの理由はついていた。

    時間をあけて、ちょっと期待して読んだ横溝正史だけれど、もう一息という感じだ。かなり斜め上な感想になってしまった。
    また日にちをあけて、『ひとり横溝正史フェア』を楽しもう。

  • 金田一耕助シリーズの長編で読みごたえがありましたね。殺人事件の容疑者が二転三転する展開で、事件の真相は一体なんなのか?ということが終盤になるまで、はっきりしないスリリングな展開でした。でも「白と黒」の意味が判明するにあたり事件は解決します。未読の金田一耕助シリーズもあとわずかになってきたので、ラストスパートです!

  • つごう4時間半かけて読了。
    中身は……
    すっごいふしだらすっごい不健全!
    トリックのすべてを見抜くことは出来なかったものの、大方早い段階で犯人の目星をつけることが出来た私にとって記念すべき作品。

  • 60年頃の新聞連載で、単行本になったのが1974年。
    先生、58歳くらいの作品。

    長い。
    とにかく長くて、盛り上がりに欠けるのもあって、読むのが苦痛だった。
    タイトルの意味は最後の方で種明かしされるんだけど、もう、どうでもいいや~って感じ。

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著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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