- Amazon.co.jp ・本 (530ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043620029
感想・レビュー・書評
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怪異譚を集めて旅する山岡百介が出会った奇妙な者たち。小股潜りの又市とその一派。シリーズ第一弾。最も面白いのは百介が又市たちと出会う第一話「小豆洗い」。又市たちの正体が知れぬだけにかなり効果的だ。2話目以降はこれが通用しないのが痛い。骨格は必殺仕事人なのだがこのように描くといい味が出る。
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ハードカバーからの再読。以前ハードカバーで読んだときは初の京極夏彦で、旧字体や京極夏彦独特の文体に、読むのに時間を要したが、再読までの間の時間に、いくつか京極さんの本を読んだおかげか、比較的すらすら読むことができた。妖怪話をもとに、人間の住まう『現実』を明らかにする、御行又市とその仲間たちご一行の活躍には目を見張るものがある。そしてこの作品を読んで一言。「やはり一番怖ろしいものは人間である」。
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"妖怪"を用いて現実の事件を解決するという、百鬼夜行シリーズとは対照的な作品。と言ってもどう説明しても何のことやらわかりづらいので、実際に読んでみるのが早いだろう。同時に読み進めていた『豆腐小僧双六道中ふりだし』と共通の妖怪が多く出てくるのも面白い。『豆腐小僧』の方が妖怪に関する説明は詳しいので、こちらを読んでからの方が楽しめるかもしれない。連作ながらも1話完結の短編集形式だが、次作以降へと繋がりそうなラストが気になるところ。
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2003(平成15)年発行、角川書店の角川文庫。7編。解説は大塚英志。単行本で一度読んでいる。結構記憶に残っていた。『舞首』が登場人物が追加されていくこともあってややこしく、理解が追いつかないのを除けば、他の編は筋を追うのも単純。どういう仕掛けなのかというのは明かされず、なんとなく読めるような気にはなってもはっきりとは分からないだろう、たいていは伏線もないし。でも、それが面白い。ただ怪奇的なものはそのままおいといて種明かししない方がいい人もいるだろう。理に勝過ぎるのはこの人の特徴ではある。
収録作:『小豆洗い』、『白蔵主』、『舞首』、『芝右衛門狸』、『塩の長司』、『柳女』、『帷子辻』、他:1999(平成11)年、角川書店より刊行された単行本の文庫化。 -
久しぶりに読んだ、京極夏彦氏の妖怪もの。以前読んだ魍魎の匣はとても面白かった。
本書は少し趣がちがう。短編に分かれているが、登場人物は一部固定で、いつもながら京極氏本人のような物書きの青年が出てくる。江戸時代の京都や江戸で起きた奇怪な事件や現象のなぞ解きを読者と共にしていく展開である。
妖怪系第一人者の京極氏の力作、どれもとてもよく練られていて、どんでん返しというか、読み始めた時に想像しない結末が待っている。
京極氏の教養の深さにはいつもながら舌を巻く。当時の文化や言葉遣いや漢字などもよく調べてあり、慣れないとやや読み下しにくい面はあるが、流石、の一言である。 -
京極先生の作品は百鬼夜行シリーズしか読んでなかったため、どんな感じかな〜?と思ったけど短編集のため百鬼夜行シリーズより読みやすかった。
又市や百介、お銀、治兵とキャラクターのそれぞれの役割もはっきりしているし、次はどんな手で騙してくるのか?と読んでいてワクワクした。
エンタメ色が強いため京極作品を初めて読む人にはオススメだと思った -
読了
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戯作者志望の青年、山岡百介が、雨宿り先で偶然出会った
謎の3人組。
闇に葬られる事件をヒソカに決着させる裏世界の仕置き人。
騙るは妖し。業への制裁
時間をかけて仕組んでいくカラクリ世界のようで
読んでいてわくわく。シリーズ読んでみます -
魅力的なキャラクターと各話のバックグラウンドにある妖怪譚に惹き込まれる。言葉遣いは古臭いもののとても読み易く、時代物の入門編としても良さそう。
『嗤う伊右衛門』を先に読んでいたことで、特に最終話は又市の心中に抱える翳りが手に取るように分かった。