巷説百物語 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 5183
感想 : 464
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  • Amazon.co.jp ・本 (530ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043620029

作品紹介・あらすじ

怪異譚を蒐集するため諸国を巡る戯作者志望の青年・山岡百介は、雨宿りに寄った越後の山小屋で不思議な者たちと出会う。御行姿の男、垢抜けた女、初老の商人、そして、なにやら顔色の悪い僧-。長雨の一夜を、江戸で流行りの百物語で明かすことになったのだが…。闇に葬られる事件の決着を金で請け負う御行一味。その裏世界に、百介は足を踏み入れてゆく。小豆洗い、舞首、柳女-彼らが操るあやかしの姿は、人間の深き業への裁きか、弔いか-。世の理と、人の情がやるせない、物語の奇術師が放つ、妖怪時代小説、シリーズ第一弾。

感想・レビュー・書評

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  • やはり、良いよねぇ。
    又さんかっこいい。

    読み返すのは
    “小豆洗い”
    「この先はおやめなせぇ」

    江戸っ子訛りがうつりそうです。
    あんなにかっこよく話せたら気持ちよいでしょう。

    今年、最終巻が出ます。

  • ツイッターにて。小豆洗い編から読めと。

  • 巷説百物語シリーズの始まり、やはり御大は面白い…。

    『妖怪の宴 妖怪の匣』とかで顕著なんだけど、御大は妖怪の存在自体を信じてはいない。いない側の立ち位置なんだけど、いないのに巷説で語られてきたことにむしろ強く興味を持っている(もちろん、神秘否定というわけではなく、道理が成り立たないからいないとしているに過ぎないのが御大の面白い部分なんだけど)。
    つまり妖怪が成り立つ理屈というか、何故そんなものが受け入れられたのか?ということに主題がある。

    だから本書は一貫して”妖怪の実在を肯定していない”。けれど、妖怪の仕業とした方が収まりが良いように構成されている。芝右衛門狸なんて特にそうだし、柳女は加害者がその仕組みを利用した形だな。
    冥界も妖怪も無いけれど、それを突き詰めていけば破滅しかない。
    兎角渡世は生き辛く、故に妖怪/冥界(ブラックボックス)が必要とされる。説明されないことが救いになることもあるってことだな。

    御大の妖怪観に馴染んでいると3倍くらい楽しい。思わずシリーズ全館買ってしまった。オススメです

  • 一見、不可解な事件を、小悪党の御行一味があやかしに見立てて鮮やかに決着させる。変幻自在な語り口で物語を紡ぐ著者の筆が冴え渡っています。

     江戸時代末期の天保年間。怪異譚を蒐集するため諸国を巡る戯作者志望の青年・山岡百介は、雨宿りに寄った越後の山小屋で不思議な者たちと出会う。御行姿の男・小股潜りの又市、垢抜けた女・山猫廻しのおぎん、初老の商人・事触れの治平、そして、何やら顔色の悪い僧・円海。長雨の一夜を、江戸で流行りの百物語で明かすことになったのだが…。闇に葬られる事件の決着を金で請け負う御行一味。その裏世界に、百介は足を踏み入れていく…。

     「小豆洗い/白蔵主/舞首/芝右衛門狸/塩の長司/柳女/帷子辻」の七編から成る時代小説。血腥い事件とあやかしを結び付けて着地させるだけでも凄いのですが、そこから妄執や情念、果ては人間の業まで立ち昇らせる著者の手腕に唸らせられっぱなしです。また、怪談とは言っても、単なる絵空事ではなく、それを生み出す人間の想像力を介して現実を映し出している作品でもあります。「必殺仕事人」を彷彿とさせるキャラ立ちした登場人物たちの手際の良さも堪能でき、シリーズ化も納得の著者渾身の一作です。

  • 再読。

    改めて巷説百物語シリーズを「遠巷説百物語」まで揃えたので、第一巻の本作から読み始める。

    物怪話しにからめて、世の悪人悪事をバッサバッサと切っていくその手際がまことに鮮やか。又一はじめおぎん、治平がなんとも魅力的で引き込まれる。
    どういうふうに落とし前をつけるのだろうという話もあるが、又一達に絡め取られる悪人とおなじように、自分も見事に絡め取られて話の落とし所に納得してしまう。

    切ない話も多いのだが基本的に悪事は裁かれるので読後感は悪くない。

  • 先生のファッション好きっすよ!

  • 今まで避けていた作家、京極夏彦さん。
    そのわけは、
    どの作品も分厚いから。
    分厚い本や段組が多い本、文字の小さい本は嫌い。
    それなのに今回手に取って読んで見たわけは、又吉さんの「第二図書館係補佐」の中で紹介されていて面白そうに思えたから。
    結果、読んでよかったと思いました。
    世に広まっている怪談に沿って犯罪を暴いていくそのストーリーの手の込んだところには感嘆せざるを得なかった。
    最終章「帷子辻」にあっては生と死に対する思想とも言える内容でとても重く響いた。

  • ああ~~~そうそう京極夏彦ってこういう…と懐かしくなった

  • 何度でも読み返したい。学生時代、時間を忘れて読み耽った青春の一冊です。巷説百物語シリーズがここから始まります。

  • 巷に伝わる伝承をアレンジした時代小説。(と、思います)市井の悪党を妖怪の仕業と見せかけて、恨みを晴らしてくれる、又市一行必殺仕事人グループ。そこに、不可思議なお話を蒐集したい百介が絡む。
    読み始めは、話の流れを掴めなくて、というか流れが見事で、夢か現か幻か?悪党さん達と一緒に騙されて、すっかり妖怪のお話だと思ってしまった。
    それにしても、京極さんの知識がすごい。作中に出てくる古書の類は全部読破されているんでしょう。
    しかも、妖怪大好きなのに、妖怪の仕業にはしない。
    古今東西、世の中の解決できない納得できない事象を上手く妖怪の物語に仕立ててきたんでしょうね。

    • おびのりさん
      土瓶さん、情報ありがとうございます。
      みんみんさん、怖いって、楽しみだねえ。
      土瓶さん、情報ありがとうございます。
      みんみんさん、怖いって、楽しみだねえ。
      2022/12/21
    • みんみんさん
      おびさんと一緒で
      怖いものないんだけど〜笑
      おびさんと一緒で
      怖いものないんだけど〜笑
      2022/12/21
    • 土瓶さん
      ブグログやってる女史は肝がぶっとい説あるね(笑)

      怖くて哀しいから楽しめると思うよ。
      ブグログやってる女史は肝がぶっとい説あるね(笑)

      怖くて哀しいから楽しめると思うよ。
      2022/12/21
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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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