サンネンイチゴ (角川文庫 さ 43-3)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (161ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043790036

感想・レビュー・書評

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  • ヤングアダルト!本当に薄いしすぐ読める。14歳の中学生の頃っていつもこんな感情でいたかもしれない。ふとそんな昔の自分を振り返りたくなるような……(反面、恥ずかしいことは思い出したくなくて、照れくさくなるような)そんな気持ちにさせてくれる。きっとこの本を14歳の頃に読んでいたら、主人公のナオミに感情移入して、どっぷり浸っていたかもしれない。
    中学生の、男の子よりも女の子におすすめの1冊。

  • 『オタクっぽい地味な中2女子』、うちの娘にそっくりだと思いチョイス。
    家庭環境がまるで違う3人のちょっとハラハラを含んだ日々のお話。
    親目線でいうとサボリに深夜の外出、犯罪者を追いかけるなど絶っ対にNGだけれども、主人公のように自分の殻を破れる日が来るといいなとは思った。
    これを読んで本人に響くものがあるのか気になるところ。

  • 昔、途中まで読んでた気がする。
    他の2作と比べてしまうと、ちょっと面白味に欠けるかな。男だからかな。

  • 笹生さんの小説は面白い。読みやすい。

    中2女子が主人公。
    心の中では、正義感にあふれ、大人にも言いたいことを言えるスーパー少女なのだが、
    現実は、ごくごく平凡なおとなしい子。
    そんなふつーの子が、
    いつの間にか、自分の殻、周りの殻を打ち破って、自分のコアな部分を自分でつくっていきます。

    笹生さんの小説のテーマは、心の成長ですかね。

    2013/04/30

  • 「お年玉」に本をやる(盆の頃にも本をやる)同居人の弟のとこの子も、上は春には中学生になる。この正月は、小6が出てくる話はどうかなと笹生陽子の『きのう、火星へに行った』を選んでみたら(下の3年生には、暮れの収穫『かさぶたってどんなぶた』)、その母から「今にぴったりで、すごいセレクトでした」とメールがきた。

    私も久しぶりに笹生陽子が読みたくなって、まだ読んでないのあったっけなーと、文庫の『サンネンイチゴ』を借りてきて読む。

    主人公は中学2年のナオミ。担任は、体育会系の理科教師。体育会系のノリ、つまりはやたらに元気、やたらに単純、声がでかくて命令好きな南センセが、ほんまにうざい。勝手な思い込みで、生徒をいたぶったり、教室を支配したり。そして生徒のほうも、柴咲アサミをのぞいては、心にわだかまろうとも、表だってはほとんど何もできず。

    文芸部員で、詩をこねくりまわしたりするナオミは、妄想の中では勢いよく挙手して、先生をたしなめる発言をしてみたりするのだが、現実は「センセの恨みを買っちゃあ、まずいもの。ここはひとまず穏便に」路線。

    そう、南センセに「なにやってるわけ? さっきから。そこに立たれるとじゃまなんだけど」などとタメ口で文句言えるなんて、柴咲アサミくらいだ。さすが天下無敵のバトルマスター、おそるべし、とはナオミの心の中の声。

    ナオミが、わざわざ関わるつもりのなかったアサミと話すようになったのは、ある日古本屋へふらりと入ったほんのわずかな時間のあいだに、自転車の前かごに入れていたサブバッグを盗まれたせいだ。しかも、最初にたすけてくれたのは、文芸部長の野々村さんの噂によれば"アサミと付き合っている"という隣のクラスの手塚くん=ヅカちん。

    そんなこんなで、アサミやヅカちんと話すようになったナオミは、わざと問題から目をそらす自分を、思い出さずにいられない。3年前、小学5年のときに起こったある騒動のことも、忘れたふりをしていたけど、ふりなだけで、決して忘れたわけじゃない。

    「納得できないことをするのは死んでもいやだ」そう思って、ナオミはあのとき罰のランニングを拒絶した。球技大会の練習時にダブルブッキングしていた体育館のコート使用で不公平な裁定をした音楽教師の授業を、クラスの女子で集団ボイコットした。その教師は学年主任を連れてもどり、ボイコットに加わった女子たちは「やってていいことと悪いことがあるだろう」の説教をかまされた上に、罰に校庭のランニングを命じられた。

    「みんなといっしょにやってはいけないことをしたのは事実だけれど、だからといって一方的に責められたんじゃかなわない。十一歳の小学生にとっては、あれが精一杯。体育館での一件でどれほど不快な思いをしたか、理路整然と訴えることができればとっくにそうしてた。」(p.74)

    ランニングせずに帰ったナオミは、翌日には職員室に呼び出されてシメられ、反省文を書かされた。さらには親まで呼び出されて面談された。「あんたみたいなことしたの、クラスでたっったの一人でしょ? はずかしいったらありゃしない」と母親に言われて、ナオミは自分の立ち位置を思い知り、自分への希望を失った。

    自分はひとりだ、と思っていたナオミ。でも、そのナオミの行動を、アサミはずっと見ていたのだという。3年前のあのとき、アサミもランニングせずに帰ったのだ。けれどアサミの父が地元の名士の資産家だからか、あるいはアサミが大人に対して強く出られる子どもだったからか、ナオミひとりが先生にシメられ、自分にはなんのおとがめもなかったことを知ったとき、アサミは大人のずるさにがっかりして、そしてナオミの行動にほれていたのだった。

    アサミやヅカちんとつきあうようになって、自分をみつめるナオミ。思ったことはなかなか言えないままではあっても、同級生との関係も、先生に対する態度も、親や弟とのあいだも、すこしずつ変わっていく。14歳なりの浅はかさもあるけど、そうやって失敗もして、こわい思いもして、それでたぶんナオミは自分のことがちょっとずつ好きになっていったと思う。書く詩も、変わっていく。

    言いたいけど言えない、うまく表現できないもやもやがうずまく14歳の、内言と行動が、なつかしいような感じだった。

    (1/27了)

  • うーん、主人公があまり好きになれませんでした。
    アサミや手塚くんはいいキャラです。

  • やっぱり中学生向けかなー
    でも私は笹生陽子の
    書き方とても好きです!

  • 笹生さんの本好きだ~
    読みやすいし、この主人公のもだもだうだうだした感じか思春期~ってかんじするよねえ

    なんかパッとしない、良い子なんだけどうまくいかない主人公ナオミが、ひょんなことから学校のトラブルメーカーアサミと、その友達のヅカちんと仲良くなって、事件を通して変わっていく話。

    なんかこれ、事件なんだったんだって感じするよね!!笑
    すごい短い話だから、もう1冊くらい続きとかで、この3人の話が読みたいなあ~と思います。

  • 七五調の独特の文体で、アサミとナオミ、ヅカちんが、紆余曲折を経て確かな友情を築いていく様を描いています。
    会話による説明ばかりでストーリーが進んでいくのが、お手軽な感じがして、ちょっと不満です。

  • なんで自分は思ったようにできないのか。
    なんで人は自分のことを理解してくれないのか。
    そう思って自分や他の人のことを嫌いになってしまう時期って誰にでもあると思う。
    そんな中で生じてしまった誤解を解くのはかなり難しい。
    1歩を踏み出すのは、勇気もいる。
    でも流されているだけでなく、自分がしたいことを決めて行動に移せたからナオは変われたのだと思う。
    すごいと思うことは人によって違うし、できることも違う。
    「違う」から合わない。一緒にはいられない。
    それは違うと思うし、そう思いたくない。
    違うからこそ、一緒にいて意味があることもあるっていうことに気づくことができた。

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著者プロフィール

東京都生まれ。慶應義塾大学文学部人間科学専攻卒業。1995年『ジャンボジェットの飛ぶ街で』が講談社児童文学新人賞佳作となる。1996年『ぼくらのサイテーの夏』でデビュー。同作品で第30回日本児童文学者協会新人賞、第26回児童文芸新人賞を受賞。2003年『楽園のつくりかた』で第50回産経児童出版文化賞を受賞。その他の著作に『世界がぼくを笑っても』『バラ色の怪物』などがある。

「2015年 『楽園のつくりかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

笹生陽子の作品

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