万能鑑定士Qの事件簿III (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043836444

感想・レビュー・書評

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  • 今回は音を使ったトリック。音だけでなく、散りばめられた色んな場面での洞察力と知識にワクワク。ラストも暴かれるだけでなく、響さんが救われた気がしてよかった。

  • 小室哲哉

  • 不審電話の予告どおり、お店の売り上げが減少する案件は、雑学あり、警察とのコミカルなやり取りありで、おもしろかった。
    テンポもよく楽しいけれど、西園寺メインになってからは、ややもの足りない。
    鑑定行為が少なく、もっとうんちくや雑学にもとづく、鋭い思考を読んでみたかった。
    固有名詞を使ったり、モデルが明らかにわかる描写だったりで、イメージしやすいシリーズ。

  • 人気ショップの売り上げ低迷と女子高生の成績急上昇。一見無関係の現象に一昔前の音楽プロデューサーが関わっていた。音楽プロデューサーのモデルはあの人かな。浮き沈みの激しい世界で過去の栄光にすがった悲しい姿にも思える。

  • かつて一世を風靡した音楽プロデューサーの西園寺響。彼が企てた疑いのある「音を使った詐欺」を追う莉子。有名ショップの売上を落とし、劣等生の英語ヒアリングのテストを満点にする。彼の狙いは。
    西園寺さんの奥さんがとてもかわいそうで切なくなった。最後の終わり方いささかあっさりだった感じ。

  • 人気ファッションショップで、ある日突然、売り上げが落ちてしまう。いつも英語は赤点の女子高生が、東大入試レベルのヒアリング問題で満点を取る。この奇妙な事象をともに陰で操っていたのは、かつてミリオンセラーを連発した有名音楽プロデューサー・西園寺響だった。借金地獄に堕ちた彼は、音を利用した前代未聞の詐欺を繰り返していた。凛田莉子は鑑定眼と機知の限りを尽くして西園寺に挑む。

  • 読書録「万能鑑定士Qの事件簿3」3

    著者 松岡圭祐
    出版 角川文庫

    p144より引用
    “ プロデューサーがアーティストを育てる
    といえば聞こえはいいが、実際にはスターに
    なりそうな逸材をいち早く見つけ、囲いこん
    で、人気がでてから作詞作曲による印税で儲
    けることが目的だ。”

    目次から抜粋引用
    “ボイスチェンジャー
     同一人物
     分析結果
     石打ち刑
     百舌”

     多方面に対する膨大な知識を駆使する美人
    鑑定家を主人公とした、長編ミステリ小説。
     波に乗りつつある商業施設の中でも、良い
    立地でオリジナルブランドショップを経営す
    る店主の元に、胡散臭い電話がかかってきた
    …。

     上記の引用は、大物プロデューサーのとこ
    ろでのオーティションを見た、雑誌記者・小
    笠原の胸の内。
    音楽業界では、歌手よりも曲を作る側のほう
    が収入を得やすいようですね。大勢のアイド
    ルグループ等を見ていると、あの人達自身は
    あまりいい思いをしていないのかも知れない
    なと感じます。
     登場する元売れっ子有名音楽プロデュー
    サーの書かれ方を読んでいると、あまりにも
    よく似た現実の人物がいて、その時代を知っ
    ている世代の人には面白さが大きいのではな
    いでしょうか。モデルとなったであろう人物
    の作る曲が好きだった人は、少し寂しい思い
    を持ってしまうかもしれませんが。

    ーーーーー

  • 音楽プロデューサー西園寺は、音を利用して詐欺を繰り返していた。莉子は鑑定眼と機知を尽くして西園寺に挑む。

  • 目次:ボイスチェンジャー、ストアシック、編集部、万能鑑定士、レジカウンター、同一人物、プライバシー、ヒアリング、進路、HQ、分析結果、サウンドコンシエルジュ、セカンドライフ、過去の遺物、イベント、オーディション…他

  • 〇 概要
     人気ブランドショップ「ラブラドール」の売り上げが急に4割も落ちる。赤点の少女が,英語のヒアリングの追試で満点を取る。これらの事件に関わっているのは,かつての人気音楽プロデューサー西園寺響だった。西園寺響が,音楽を利用して行う数々の詐欺行為に,莉子が挑む。シリーズ第3弾。

    〇 総合評価
     シリーズ3作目。とはいえ,1と2は実質的に同じエピソードなので,話としてはこれが2作目。1の2のエピソードは結構大掛かりだったが,3作目のエピソードはこじんまりとしている。音楽を利用した数々の詐欺行為という感じ。
     このシリーズは,「犯人役」となる相手が存在する作品が多い。3作目の犯人役は西園寺響という音楽プロデューサー。ダンスミュージックで一世を風靡したという設定で,小室哲哉をモデルにしていると思われる。
     音楽を利用した詐欺行為,ハース効果を利用したブランドショップへの脅迫行為や,モスキート音を利用したカンニングなどは,小ネタとしてはなかなか。その後は,ねずみ講などのありがちなネタをはさんで,ノロウイルスを利用したレンタルCD・中古CDを狙った犯罪行為。これが結構ページ数を割いているわりに,せこい。成功しても,西園寺響のCDの売り上げにつながるとも思えない。西園寺がますますバカに見えてしまう犯罪行為。インパクトはあるのだが,バカミスっぽく思えてしまう。
     最後の莉子と西園寺の心理的な駆け引きはそれなりに面白いのだが,莉子が一方的に勝ってしまい味気ない。そもそも,西園寺では,莉子の相手になりえていない。
     作品の出来としては,中の下くらい。シリーズものなので,さくっと読めるが,敵役が明らかに莉子より格下で,対決として,盛り上がりに欠けるのが最大の難点。おまけの★3。

    〇 サプライズ ★☆☆☆☆
     犯人が「西園寺響」であることが分かっている倒叙モノなので,サプライズはあまりない。

    〇 熱中度 ★★★☆☆
     ラブラドールの売り上げを落としたハース効果を使った詐欺,英語のヒアリングテストで満点を取るためのモスキート音を利用した詐欺など,数々の詐欺行為と真相解明がテンポよく描かれ,読み進めることができる。3分の1くらいを経過したところで,今回の犯人役である西園寺響の存在が明らかになり,そこからは西園寺響対凜田莉子の対決というイメージ。ノロウイルスを利用した犯罪行為や,信者を利用した詐欺行為などがあり,最後は,莉子と西園寺の一騎打ち。ただし,いずれも莉子の圧勝という感じ。西園寺では莉子の相手にならない。よって,読んでいてもハラハラ感はあまりない。熱中度はそこそこ。
      
    インパクト ★★★★☆
     音楽を利用した詐欺行為はそれなりにインパクトがある。ノロウイルスを利用した犯罪行為は,「いやいや,いくらなんでもそんなことせんやろう」と突っ込みどころ満載の犯罪行為。レンタルCDや中古CDにノロウイルスを散布して,レンタルCDや中古CDを下火にして,新作のCDを売ろうとするとか…。ちょっとバカミスっぽいインパクト。最後の,莉子を毒殺しようとしたと誤認させ,警察に誤認させようとするトリックは,インパクトは薄いがよくできている。トータルで見るとインパクトは,そこそこある。

    〇 読後感 ★★★☆☆
     西園寺が改心するラストの読後感は悪くない。ただし,結局,西園寺に騙されていた人は騙されっぱなし。西園寺も捕まるわけだし,彩乃も救われないっぽい。まぁ,そこそこの読後感か。

    〇 キャラクター ★★☆☆☆
     莉子,小笠原,氷室といったあたりは1,2と同様の存在感。キャラクターが深まっているわけでもない。今回の犯人役の西園寺響は,莉子にやられっぱなしという印象。そこまでキャラクターとして魅力的ではない。

    〇 希少価値 ☆☆☆☆☆
     人気シリーズ。希少価値はない。

    〇 メモ
    〇 星合結衣が経営するオリジナルブランドショップ「ラブラドール」に,電話により脅迫がされる。来月以降,売り上げが4割低下するという。
    〇 ラブラドールの売り上げが実際に低下する。星合は,捜査二課に相談に行くが,葉山警部補は相手にしない。
    〇 星合は,「ストアシック」の特集をしていた週刊角川編集部に相談に行く。週刊角川の編集員,小笠原は,万能鑑定士の凜田莉子を紹介する。
    〇 星合と小笠原はが,万能鑑定士Qの事務所を訪れる。そのとき,莉子は,飛鳥という男から,ブランド物の鑑定の依頼を受け,偽物と鑑定する。
    〇 莉子がラブラドールの売り上げ減の原因を突き止める。原因は,ハース効果により,咳やくしゃみがあるように錯覚させていることだった。
    〇 ブランドの鑑定を依頼された飛鳥という男の相談を受ける。飛鳥の娘は,高校で英語のヒアリングの追試を受けるが,難問も含む問題だったのに,満点を取る。
    〇 英語のヒアリングテストは,モスキート音を利用したカンニングだった。氷室の科学調査により裏付けを取る。
    〇 ラブラドールの事件について防犯カメラの調査をしたところ,容疑者として音楽プロデューサーの西園寺響があがる。
    〇 西園寺響は,バーチャルシティなどの詐欺を行っている。捜査のために,小笠原はインタビューを依頼するが,なかなかインタビューができない。莉子はオーディションを利用し,「4分33秒」を完璧に演奏(何もしない)をし,直接話す機会を得る。
    〇 莉子は西園寺響と話す。その後,カンツォネッタという音楽会社の社長に拉致同然の方法で会う。
    〇 西園寺の妻である如月彩乃が週刊角川編集部を訪れる。彩乃の依頼を受け,莉子と小笠原はインドネシアに向かう。
    〇 西園寺はインドネシアのアチェで,ノロウイルスに苦しむ人々への援助をしていた。
    〇 西園寺は,レンタルCD,中古CDにノロウイルスを散布するという方法で,レンタルと中古を利用させないようにしようとしていた。莉子は,この計画を失敗させる。
    〇 西園寺は,信者といえるファンの預金を不正に引き出す方法に出る。
    〇 西園寺は,莉子を食事に誘い,罠を仕掛ける。莉子を毒殺しようとしていると報道させようとした。莉子はそのことを見抜き,計画を失敗させる。
    〇 西園寺は,莉子に負けたことを認め,自ら警察に電話をし,自首をする。

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著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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