- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043853014
作品紹介・あらすじ
時は1899年。トルコの首都スタンブールに留学中の村田君は、毎日下宿の仲間と議論したり、拾った鸚鵡に翻弄されたり、神様同士の喧嘩に巻き込まれたり…それは、かけがえのない時間だった。だがある日、村田君に突然の帰還命令が。そして緊迫する政情と続いて起きた第一次世界大戦に友たちの運命は引き裂かれてゆく…爽やかな笑いと真摯な祈りに満ちた、永遠の名作青春文学。
感想・レビュー・書評
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本書の不思議な表題は、くだけた表現だと『村田君のトルコ滞在記』となるでしょうか。エフェンディは現地語で学者等の尊称とか。滞土録の「土」は土耳古(トルコ)の「土」です。
時は1899年、洋の東西を結び異文化が融合するイスタンブールに留学した村田君の見聞録です。
下宿先の女主人、使用人、同居する友人たちとの交流が、生き生きと描かれています。異文化、多宗教が混在する複雑さや歴史も感じますが、不思議と懐かしさが漂う独特な印象をもちました。第一次世界大戦前の青春小説もなかなかないですね。
大学の要請を受け、村田君は帰国しますが、懐かしくも哀しい知らせが届きます。時代・歴史は、育んだ友情や輝かしい日々を引き裂いてしまうのでした。言いようのない気持ちにさせられます。
村田君や友人たちは「風の人」で、外目線で「土の人」が気付かない良さを見出しながら、互いに認め尊重し合っていたはずなのに、それを簡単に切り裂いていく「国」とは何なのでしょうか? 著者の問いが、未だに戦争・紛争が絶えない世の中、読み手に突き刺さります。
鸚鵡(おうむ)の悟ったような言動が、時代と歴史の証言者でもあり、癒しの存在でもある気がしました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『さてさての眠りを覚ます大音量、たった5回で寝坊も出来ず』。イスラム教の国に行かれたことがある方は、夜明け前の早朝から、モスクの尖塔に付けられたスピーカーが発する大音量の人の声にビックリして起こされた経験のある方も多いと思います。一日5回、最初は夜明け前から始まるこの人の声。イスラムの礼拝が始まることを呼びかける『エザン』と呼ばれる合図です。前夜遅くにイスタンブールに入って3時前にようやく眠りにつけた私、お陰様で寝坊も出来ずに日の出前に目覚めさせていただきました。今では世界に色んな人々が暮らし、色んな文化があり、そして色んな宗教があることがその国に出かける前に簡単に知ることができます。私が驚いたのは事前の情報収集が足りなかったためでしたが、時代を遡ればどうだったのでしょうか。『泰平の眠りを覚ます上喜撰、たった四杯で夜も寝られず』。そんな言葉から明治の世が開け、この国が少しづつ世界にその存在を知られていった時代、そんな時代に異国の地に旅立つことになったなら…。この作品は、そんな時代に土耳古(トルコ)へ留学した一人の日本人の物語です。
『私は名を村田という。土耳古皇帝からの招きで、この地の歴史文化研究に来た』という留学生の村田。1890年に起こった『土耳古皇帝から日本国天皇への親書を託した使者を乗せたフリゲート艦、エルトゥールル号』の遭難救助のお礼に始まった招聘制度により研究員として最長四年の任期でトルコに滞在します。『エフェンディ』とは『おもに学問を修めた人物に対する一種の敬称』この敬称でも呼ばれる村田。『この国の婦女は宗教上の戒律からひどく自由を束縛せられている』と感じ、家族が英国に帰った後も下宿屋を営むディクソン夫人の元に滞在することになります。『隣の部屋の住人』で学者でもあるオットーや、回教徒のムハンマドなど、多くの友人と交流を深めていく村田。そんな時、『通りで鸚鵡(おうむ)を拾った。鸚鵡に出会ったのは、アルラッハの神の思し召だというわけだ』とムハンマドが鸚鵡を連れてきます。この後の村田の歩む物語の色んな場面で、村田の人生を彩ることになる鸚鵡との出会い。そして、村田のトルコのゆっくりとした時間の中で、でもそれでいてやがて時代に翻弄されてゆく人々の日常が淡々と描かれていきます。
この作品では、第一次世界大戦後のトルコ革命に至る波乱の時代の土耳古の人々の暮らし、当たり前の日常を丁寧に、そして梨木さんらしく独自の視点から描いていきます。異国の地の文化との数々の出会い。『此の地と日本の、明らかに異なる点は、その宗教の特異な行動様式であろう』と村田はまず綴ります。『今はもう馴れたがやはり最初のうちは、エザンという町中に響き渡る経典朗誦の声に度肝を抜かれた』というエザンの響き。今の世であっても眠りを覚ますこの合図に、明治の世の村田の驚きが目に浮かぶようです。一方で、こんな見方があるんだと感心したのが『町に体臭があるとすれば、ありとあらゆるものが混ざり込んだようなこの臭気こそ、この町独自の体臭に他ならなかった』という、『町の臭い』に焦点を当てた箇所です。村田は『日本にいるときは、町に体臭があるなどと考えたこともなかった』と答えます。それに対して山田は『それが母国というものさ。自分では自分の体臭は分からぬものだ。たとえあっても気にならないのだ』と返します。海外に赴いた際に似たような思いに囚われたことがありましたが、この山田の返しにとても納得できるものを感じました。
『私は人間である。およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない』。友人であったディミィトリスが村田に教えてくれた古代羅馬(ローマ)の劇作品に出てくるというこの言葉。『帰国してからも、私は永くこの言葉を忘れない』というこの言葉が村田の胸に去来するあの国、あの日々、そしてあの人々との出会いは一方で『国とは、一体何なのだろう、と思う』という命題を村田に与え続けます。だからこそ、『ディスケ・ガウデーレ(楽しむことを学べ)』という鸚鵡から教わったこのラテン語の響きにとても心を打たれます。そして、予定より早く帰国することになった村田に『貴方の望む研究が十分に成されたのならいいのですが』と慮るハムディベー氏に、『十分、と思えるときは多分、一生来ないでしょう。しかしここで学べたことは私の一生の宝になるでしょう』とこたえる村田。その貴重な経験は帰国後の村田の中で大きな意味を持って村田の人生に息づいていきました。決して飾らない木訥とした村田の言葉の数々も含め、最後まで新鮮さを失わない村田の生き方、考え方にもとても魅了されました。
後半ではあの「家守綺譚」に不思議な繋がりを見せるこの作品。でも作品の印象が全く異なるために本来的には繋げるのは難しいはずのこれら両作品。にも関わらず、あまりに自然に繋がっていく様は、まるで長年に渡って閉じていたこの国が、世界に門戸を広げ、外から入ってきた文化をまるでこの国に根差していた物であるかのように貪欲に取り込んできたその大らかさ、懐の深さにも繋がるものがあるような印象も受けました。
そう、この作品は「家守綺譚」のあの世界をこよなく愛する方には是非とも読んでいただきたい作品。梨木さんの逸品だと思いました。-
さてさてさん
こんばんわ。
すっごく素敵なレビューに、もう夜中なのに興奮してしまいました。
さてさてさんのレビューは、丁寧なのになんだか...さてさてさん
こんばんわ。
すっごく素敵なレビューに、もう夜中なのに興奮してしまいました。
さてさてさんのレビューは、丁寧なのになんだか不思議な勢いというか、落語の名調子みたいな感じで一気に読んでしまいますね。
私は今まで訪れた国の中でもトルコは大好きなので、この作品まったく知らなかったのですが、すごく読みたくなりました。
そして、作者がまさか梨木さんとは。私の中の梨木さんのイメージと勝手ながら少し違ったのでびっくりです。
教えてくださってありがとうございます。2020/05/21 -
hotaruさん、コメントありがとうございます。
私のこの感想を起点に『読みたい』に登録いただいたとすると頑張って書いた甲斐があります。あ...hotaruさん、コメントありがとうございます。
私のこの感想を起点に『読みたい』に登録いただいたとすると頑張って書いた甲斐があります。ありがとうございます。
もし、お読みになるなら、私も読んだ後に結果論で知ったのですが、梨木さんの「家守綺譚」という作品にリンクする部分があり、そちらを先に読んでいるとおおおっと感激します。なので先にそちらを読まれるのをおすすめします。「家守綺譚」は梨木さんの絶品ということもあります。
今後ともよろしくお願いします。2020/05/21
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異国の風、匂い、喧騒。
祈り、神、信仰。
そういう本来目には見えないはずのものが、五感を通じて伝わってきます。ちゃんと「ここ」に「ある」のですよと、私に語りかけます。
行ったことのない国、時代なのに、どうしてこんなに懐かしいような気持ちになるのだろう。
ああ。そうなのか。
「もう既に最初から繋がっているのだ」
忘れないでいてくれたまえ
そう言った、きみの気持ちが今ならわかる気がします。
もう二度と戻ることの出来ない土耳古での青春の日々。大切な友とのかけがえのない時間。
時は無情で。あれほど記憶に深く刻み込んだはずの思い出も、まるで夢の中の出来事だったように輪郭がぼやけていきます。
だけど、遥かな海を渡り、彼のもとにたどり着いた鸚鵡。歴史の荒波を乗り越えた籠の中の鳥。
─友よ。
その甲高い叫びが、彼に再び輪郭を与えたのでしょう。土耳古での日々を、異国の友人たちを。
ちゃんと彼の中に「ある」ことを。-
mofuさん、こちらこそいつも「いいね」ありがとうございます(*^^*)
そして、コメントありがとうございます!
最後のシーン、私も泣き...mofuさん、こちらこそいつも「いいね」ありがとうございます(*^^*)
そして、コメントありがとうございます!
最後のシーン、私も泣きました。
このような結末を迎えるとは、全く想像していませんでした。
思い出すたびに、胸が締め付けられる……
そんな心に残る物語となりました。2019/10/12 -
地球っこさん、はじめまして
いつもありがとうございます。
地球っこさんが書かれていらっしゃるとおり、私も『異国の風、匂い、喧騒』をとても感...地球っこさん、はじめまして
いつもありがとうございます。
地球っこさんが書かれていらっしゃるとおり、私も『異国の風、匂い、喧騒』をとても感じた作品でした。100年も前の異国の地がどう見えるのか、我々以上に驚きに満ち溢れた日々だったのだと思います。村田のかけがえのない時間がとてもよく伝わってきました。まさかの「家守綺譚」への繋がり含めとてもよく出来たお話、地球っこさん書かれている通り、心に残るお話でした。
今後ともよろしくお願いします。2020/05/20 -
さてさてさん、おはようございます。
コメントありがとうございます。
『村田エフェンディ滞土録 』をはじめ、
『家守綺譚』『冬虫夏草...さてさてさん、おはようございます。
コメントありがとうございます。
『村田エフェンディ滞土録 』をはじめ、
『家守綺譚』『冬虫夏草』とても大好きな物語です。
どのお話も何か懐かしいものを感じます。
目には見えなくても「ここ」に「ある」もの。大切にしていきたいです。
さてさてさんのレビュー、いつも楽しみにしています。
毎日レビューを書かれているんですね。
とても驚きです。すごいですね(*^^*)
こちらこそよろしくお願いします。
ありがとうございました!2020/05/20
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梨木香歩 著
以前、読んだ 梨木香歩さんの「家守綺譚」が、あまりに素晴らしく気に入った本だったので、その作品の中に登場する人物にさえ、愛おしさを感じてしまう(笑)
だから、「家守綺譚」に登場した綿貫の友人、土耳古に行った考古学者の村田の話だと
勝手に親近感を持って、そこに繋がる話のようにワクワクしながら読みました。
「村田エフェンディ滞土録」タイトルにも惹かれて 土耳古という異国の地で、色んな異国の友人に巡り合い 自分の生きている位置や、それぞれに違った国の歴史を背負う人々の軌跡の中に息づく気質を感じながら、交流してゆく。
ディクソン夫人、ムハンマド、ディミィトリス、オットー…個性的な人々と交わりながら、村田の土耳古での滞土録を描く。
個人的にディミィトリスは知的でクールな印象が好きだな(笑)
何だか、遠い地に降り立ったような不思議な感覚なのに、妙にしっくりくるのだ。
きっと、それぞれの個性の中で、ぶつかり合うものがあっても…お互いを認め合ってることがクールで、相手を気遣う思慮深いところが、とても、心地よく感じられた。
それに…そっか、綿貫に似通った感覚を持つ村田自身が 綿貫同様、淡々としているが、むやみに決めつけた態度でなく、自然に物事を受け入れ、自分の価値観と相手の価値観を照らし合わすという二人の人間性に、より魅了されてしまうのだと思う。
日本に戻って、綿貫の家に(元々は高堂の家)に下宿を決めて帰ってくる 綿貫に会う前に、同じく旧友の高堂と顔合わせするのだが、綿貫と同じように懐かしい思いの方が勝っており、躊躇なく自然に語り合っているところには、本当に笑えた(^^)
やはり、綿貫と村田の気質は似ており…驚くが、受け入れてしまうという二人の思慮深き人間性に、和んでしまった。
日本に帰国した村田に綿貫は云う
「おまえは向こうで最先端の方法論のような
ものを身につけてきたかも知れないが、
歴史というのは物に籠る気配や思いの集積
なのだよ、結局のところ。」
ーいや、俺はそのことに異を唱えるつもり
なぞ全くないさ。
お互いの心持ちを、すぐに理解できる友人である関係性が、ストンとこちらの心に落ちる
私の心に落ちた言葉は、
勿論、こればかりではない
常に含蓄ある言葉を村田に発するディミィトリスもまた、、
ーテレンティウスという古代羅馬の劇作家に
出てくる言葉、セネカがこれを引用して
こう言っている。
「我々は、自然の命ずる声に従って、助けの
必要な者に手を差し出そうではないか。
この一句を常に心に刻み、
声にだそうではないか。
『私は人間である。およそ人間に関わる
ことで私に無縁なことは一つもない』」
この言葉が、村田同様…心におちたことは言うまでもない そして忘れずに心に留めおきたい。
私達の生きる世界は進化し
日々、変化し続けている、あまりの進歩の速さに戸惑いながらも、追いついていこうとしてるのか?ただたんに、静観しているだけのような気もする
はたまた、進歩し続けることが、スキルアップしているように感じ、錯覚してるだけで、
実際には、何も変わってないのかもしれない
と、ハタッと立ち止まってしまう感覚に襲われる。
梨木香歩さんの作品を読んでいると、その根本的な切実さを改めて、胸に刻む思いがする
歴史は、ただの過ぎ去りし思い出ではない。
今の、自分たちの人生の真実に立ち返り、それを、改めて見極めようとする物語だと思う
ディクソン夫人が親愛なるムラタに宛てた手紙には、涙が溢れ、泣けてしまった。
そして、ムラタのもとに、はるばる異国から届けられた鸚鵡
ラテン語の「ディスケ.ガウデーレ」とともに…
“楽しむことを学べ。”
ー友よ。
我にかえったように、ハッとした!
生きることは、辛いことばかりじゃない
楽しむことを学ぼう 自分の魂の声を聞き逃さないように…頑張ろうと小さく拳を握りしめた。-
hiromidaさん、
家盛奇譚の異国版的な要素で、最後に伏線として描写させているところがワクワクですよー。コメントを拝見して、思わず「そ...hiromidaさん、
家盛奇譚の異国版的な要素で、最後に伏線として描写させているところがワクワクですよー。コメントを拝見して、思わず「そうそう」とか頷きました。
私は表紙の絵にら惹かれ文庫で読んだのですが、途中の挿絵も可愛くて、ついつい読書雑記帳(笑)に、その絵を真似て書いていました 笑
でも、戦争の話しが絡むので、最後の方はちょっと胸が苦しくなりました。
家盛奇譚の続編、「冬虫夏草」も本棚登録ができていないのですが、面白かったです!2021/02/22 -
Kurumicookies さん こんにちは!
コメントありがとうございます♪
同じように、ワクワクして読まれたこと、嬉しく思います。Kur...Kurumicookies さん こんにちは!
コメントありがとうございます♪
同じように、ワクワクして読まれたこと、嬉しく思います。Kurumicookies さんのレビューに詳しく丁寧な文に感激(^。^)読後にまた読ませもらえたら、より一層深く味わえます。
絵も水墨画のような素敵な挿絵でしたよね(表紙もいい!) 美術好きなKurumicookiesさん 流石です(^.^)絵を真似て読書雑記帳に描くなんて♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪
戦争で命をおとす描写は、あまりに悲しいけど、どの時代に於いても、何処であっても、戦争を風刺する物語として、心に留めておきたいですね。
「冬虫夏草」も読まれたのですね 何だか嬉しい(^.^)
心が穏やかに緩和される物語でしたね。2021/02/22 -
「裏庭」は、確か梨木香歩ですよね。
それだけ読んだことがあります。
「家守綺譚」は文庫で出た時、読もう読もうと思って、まだ手が出てない本...「裏庭」は、確か梨木香歩ですよね。
それだけ読んだことがあります。
「家守綺譚」は文庫で出た時、読もう読もうと思って、まだ手が出てない本ですね。
「歴史というのは物に籠る気配や思いの集積
なのだよ」
「およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない」
がちょっと引っかかったので、読んでみようと思いました。
>実際には、何も変わってないのかもしれない
昔、「YOU」って番組が教育テレビ(今のEテレ)でやっていて。その100回記念の回(だったかな?)の再放送をこの間やっていたのを見たんですけど。
ちなみに、それって、1984年の6月に放送したものらしいんですよ。
でも、そこで語られていることが、「今(当時)は流行らしい流行がなくなって、個人個人が発信するようになった」等々、現在とかぶることが多くって。
ケータイだ、PCだ、ネットだ、スマホだ、SNSだと世の中は無茶苦茶変わっているんだけど。でも、人はそんなに変わってない、というか、そうそう変わらないものなんだろうなーなんて思いました(^^ゞ2021/03/09
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1899年 スタンブール
土耳古帝国からの招きで、この地の歴史文化研究に来た村田。
同じ屋敷に住むのは、ディクソン夫人と、家事を努めるムハンマド。
遺跡を発掘している独逸人のオットー、考古学者の希臘人ディミィトリス。
そして、ムハンマドが通りで拾った鸚鵡。
驢馬を連れた行商人の爺さんや、ヘジャウ”-を纏った女性たち。異国の地にもかかわらず、どこか懐かしい感じがする。
異界との不思議な交流もあり、日本への帰国後、村田が寄宿することになった綿貫の家でも面白い仕掛けが待っていた。
「家守奇譚」としっかり繋がっていて、梨木香歩さんのファンタジーの世界にすっかり魅せられてしまった。
「友よ」と甲高く叫ぶ鸚鵡の声。楽しむことを学べ。
友人たちと過ごしたかけがえのない、村田の輝かしい青春の日々を思うと、目頭が熱くなる。 -
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Reyさんへ はじめまして。
おはようございます!
いいね と、フォローのお返しを、ありがとうございます。
とても、嬉しかったです。
梨木香...Reyさんへ はじめまして。
おはようございます!
いいね と、フォローのお返しを、ありがとうございます。
とても、嬉しかったです。
梨木香歩さんのこの本、私も、気になっていたので、明日にでも、書店注文、しようと思っています♪
これからどうぞ、宜しくお願いいたします。
りまの2022/03/10 -
りまのさん
おはようございます。こちらこそ、いいねとフォローありがとうございます!
りまのさんのお名前をブク友さんのタイムラインで時々お見...りまのさん
おはようございます。こちらこそ、いいねとフォローありがとうございます!
りまのさんのお名前をブク友さんのタイムラインで時々お見かけしてたので、フォローのご縁ができて嬉しいです。
この本は、hiromida2さんのご紹介で登録しました(^^)皆さまの影響で読書の幅が広がり、日々勉強になっています。
こちらこそ、どうぞ宜しくお願い致します!
Rey2022/03/10
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昼休みに注文したランチを待ちながらラストを読んでたのですが、胸がいっぱいになって、あやうく泣いてしまうところでした。悲しいけれど、愛おしくて。
この本を教えてくれたブク友さん、ありがとうございます。
第一次世界大戦の時代。欧米列強の脅威と革命の萌芽に揺らいでいたトルコへ留学した村田青年の現地での生活と、その後を描いています。
村田の下宿のオーナーはイギリス人でキリスト教徒の老婦人ディクソン夫人で。
回教徒で小間使いの奴隷ムハンマドがいて。
村田以外の下宿人はドイツ人のオットーとギリシア人のディミィトリスで。
いろいろな言葉を覚えて喚く元気な鸚鵡がいて。
しかも、色んな宗教の色んな神様が色々な怪異現象をもたらしたり!?
異なる文化的背景と、それ以上に異なる個人の特性を、互いに尊重したり議論したり(人によっては無頓着)しながら、一つ屋根の下の生活は豊かかつ鮮やかに過ぎていく。
あの時の生活と友人たちの記憶は、帰国しても村田の心からは消えなかったのに。むしろ、あくせくする疲弊した日々の支えになる程大切な思い出だったのに。
第一次世界大戦と革命の激動はトルコに残る友人たちの人生に大きな影響を与えて…。
本当に悲しくも愛おしい。
ただただそう繰り返すしかないくらい、語彙を探すよりも胸に迫ります。
ディミィトリスが村田に言った「およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない」。
この言葉の意味は、何気ないようで、重い。
トルコは今まで私が行った約20か国の中で一番好きな国。
ISやシリア問題、テロの気配など微塵もなかった約10年前は、とても平和で治安もよかったのです。
イスタンブールが国一番の観光地(特にドイツなどヨーロッパの客が多い)だからというのもあったのだろうけど、街中の割とどこでもトルコリラだけでなく、ユーロやアメリカドルが平然と使えて(当然レートはそれなりだったけど。トルコの人って結構したたかかも)。
トルコ人と一言で言っても、アラブ系っぽい顔立ちの人もいれば、ヨーロッパ系、アジア系、それらが混じり合った顔立ちの人もいて。
ずっと昔から、西欧と亜細亜の文明の十字路であった歴史的背景をなんだか強く噛み締めたものです。
とはいえ…いえ、だからこそ、融合や共存だけでなく、目を覆いたくなるような対立や殺し合い、奪い合いが幾度もあり。
梨木さんは多くの作品で、異質(自分と異なる部分を持つもの)な人やものとの共存や孤独を描いてきた人でしたが、歴史的事例を素材に書いたものの中では本作が一番好きかもしれない。
そして、あの懐かしき日々の象徴となった鸚鵡を使ったラストよ…それこそが、一層この物語に強い余韻を残しています。
ちなみにこのお話は、梨木さんの別作「家守綺譚」と少なからず繋がっているため、ブク友さんが先にそちらから読むように助言くださいました。助言どおりに順番に読んで、確かに「おお!」となりました。
教えてくださって、本当にありがとうございます。
梨木さんファンにも、そうじゃない人にも、おすすめしたい作品。-
hotaruさん、こんにちは!
この作品、本当にトルコの良さをとても感じられる雰囲気感に溢れた物語だと思いました。私もトルコ、イスタンブー...hotaruさん、こんにちは!
この作品、本当にトルコの良さをとても感じられる雰囲気感に溢れた物語だと思いました。私もトルコ、イスタンブールを旅したことがありますが、その情景が重なる部分を感じました。そして何よりも「家守奇譚」が絶妙に効いてきますよね。その先の「冬虫夏草」にはまだ到達できないでいますが、梨木さんの世界観はとても好きです。
またこの世界に浸りたい、そう思いました。2020/10/15 -
さてさてさん、こんにちは!
さてさてさんの素敵レビューのおかげて大好きになる本に出会えて本当に良かったです。
梨木さんの本はそんなにたくさん...さてさてさん、こんにちは!
さてさてさんの素敵レビューのおかげて大好きになる本に出会えて本当に良かったです。
梨木さんの本はそんなにたくさん読んでいるわけではないのですが、また色々読みたくなりました。2020/10/16
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エルトゥールル号海難事件が機縁でトルコに考古学の留学をする村田くんは英国人のディクソン夫人の屋敷に下宿します。そこには、オットー(独逸人)、ディミトリス(希臘人)や使用人のムハンマドがいて会話が国際色豊かです。また、19世紀末のスタンブールの雰囲気も活写されます。村田くんがこうした環境で生活する日常が青春小説らしく明るさがあります。ときおり挟むファンタジーは梨木テイストです。時代がきな臭くなって、迎えるラストが切ない。村田くんの帰国先が「家守綺譚」の梨木ワールドに繋がっているなんて!