ホルモー六景 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043939022

作品紹介・あらすじ

このごろ都にはやるもの。恋文、凡ちゃん、二人静。四神見える学舎の、威信を賭けます若人ら、負けて雄叫びなるものかと、今日も京にて狂になり、励むは御存知、是れ「ホルモー」。負けたら御存知、其れ「ホルモー」。このごろ都にはやるもの。元カレ、合コン、古長持。祇園祭の宵山に、浴衣で駆けます若人ら、オニと戯れ空騒ぎ、友と戯れ阿呆踊り。四神見える王城の他に、今宵も干戈の響きあり。挑むは御存知、是れ「ホルモー」。負けたら御存知、其れ「ホルモー」。古今東西入り乱れ、神出鬼没の法螺試合、若者たちは恋歌い、魑魅魍魎は天翔る。京都の街に咲き誇る、百花繚乱恋模様。都大路に鳴り渡る、伝説復古の大号令。変幻自在の第二幕、その名も堂々『ホルモー六景』、ここに推参。

感想・レビュー・書評

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  • 確かにこれは「鴨川ホルモー」のスピンオフで、ホルモー本編を読んだ人ならぜひとも読んでほしい短編集で、ホルモー本編を読んでいない人には少し理解がしづらいものかもしれませんが、それにしたって、素晴らしい短編集ではございませんか。再読ですが、初読みの時よりさらにそう感じます。その壮大な奇想天外さの割には本編では少し物足りなく感じたホルモーを、もっともっと深く感じられます。本編では、主人公安部視点で、安部の身の回りのことがほとんどだったので、安部の知らないところでこんなことがあっていたのね、と、よりホルモーを軸とした背景が過去に現在に広がります。しかししかし、こういう本を読むと自分の歴史の知識のなさに愕然とします。「サツマ」という言葉から「さつま芋」しか連想できず、シンガポールからの留学生に「薩摩藩」のことではないかと指摘された巴を笑うことは、私にはできません。どうにかこうにか目の前のテストを乗り切ることだけを考えて一夜漬けのように勉強し(たつもりになり)、長く知識を保てるようなちゃんとした勉強をしてこなかったことを後悔するのはやはり読書の時ですね。余談は続きますが、大人になってから、「あぁ、今なら、日本史・世界史・地理、いや数学でさえ大変な興味をもって授業を受けられるのに・・・」と思うことはありませんか?(余談終わり)

    本書に収められているのは以下の六景。
    ・鴨川小ホルモー
    ・ローマ風の休日
    ・もっちゃん
    ・同志社大学黄竜陣
    ・丸の内サミット
    ・長持の恋

    みなさんのレビューにザーと目を通したところ、「ローマ風の休日」と「長持の恋」が人気のようですが、私が好きだったのもやはりその二つでした。あぁ、でもどれも本当にいいのですよ。
    本書を読みながら思い起こすと、私も遠い昔、京都の私大に行く可能性があったのですが、結局関東の大学を選んだのは他でもなく自分だったのに、なぜあの時、京都に住むということを選択しなかったのか、と大学に行くという最大にして最優先の目的を忘れて、ほんのちょっと後悔することがたまにあります。あの日あの時あの場所で、京都に住む選択をしていたら私もホルモーをしていたかもしれない。(実際にホルモーをやってみたいかと言われれば、結構過酷そうなので微妙ですが。「ホルモー」と叫びたくないし。)人生に「たられば」がないことはわかっていてもそう考えずにはいられません。と言いつつ、「丸の内サミット」では、関東でもどうやらホルモーが行われているという事実が判明し、私の「もしも京都に住んでいたならば」の考えは、一瞬にして泡のように消え去りました。というか、この短編「丸の内サミット」自体は面白いですが、ホルモーはやっぱ京都でしょ、と思ってしまったりもします。「はいはい、さすが京都ですね」と言われないための作品だったのか、万人に夢(?)を見てもらうための作品だったのか。

    ホルモー本編を読んでから本書を読んだ方が良いというのは絶対ですが、「こっちの方が好き!」と言えそうなほどこのスピンオフは良かったです。いやぁ、凡ちゃんの良さがわかる少年、いいなぁ。芦屋、ホントにダメ男だなぁ。ホルモー、めっちゃ歴史あるなぁ。そして、ラストの「長持の恋」はもう全然ホルモー関係なしに、素晴らしかったです。泣きました。(え、なべ丸、実在の人物なんですか。)

    ひとつひとつがいとおしい、可愛い作品です。

  • この物語は「鴨川ホルモー」の"外伝"です。京大青竜会の安倍くんたちの怒涛の活躍を描いた前作が"正伝"。
    続編ではなく、『安倍くんたちの見えないところで、こんな事がありました』というお話になっている所がミソ。

    第1話「鴨川(小)ホルモー」
    主人公は京都産業大学玄武組のエース、『二人静』。その名も"定子"(さだこ)と"彰子"(しょうこ)。式神を呼び出して対戦する『ホルモー』の遣い手は一様にヘンな人ばかり。この二人の美女も御多分に漏れずやっぱりヘンです。何しろ"車懸りの陣"の様に繰り出す攻撃に"夢想花アタッキング"とネーミングするセンスでは、そりゃあ男も引くわ(笑)

    第2話「ローマ風の休日」
    京大青竜会で安倍くんが思い煩っていた時期に、凡ちゃん(髪型とメガネが大木凡人似)こと楠木ふみが初めてのデートをする物語。
    同じレストランでアルバイトをしている少年に一目置かれる存在になった楠木さん。数学の宿題を解く為に少年に同行する。その途中、六道珍皇寺の井戸に少年が腕を挿し入れる場面があって、そこがタイトルの由来です。本の表紙絵もそのパロディ。
    (どれだけの人がわかるんだ?)

    第3話「もっちゃん」
    この話だけちょっとヒネリ方が他と違う。
    安倍くんの下宿の隣人が「もっちゃん」。安倍くんは京大青竜会に所属してホルモーをやっている。もっちゃんが恋をした。ラブレターを書く材料を買いに行った本屋で、直前に買ったレモンを棚に置く…辺りで?となった。もっちゃんは英語に堪能で楽譜を読めて…え?どこかで聞いたような…。正伝をきちんと読んでいれば、納得のいくオチがちゃんとついてます。

    第4話「同志社大学黄竜陣」
    主人公、山吹巴は高校からの恋人と共に同志社大を受験する。だが失敗。その恋人にとって同志社大は滑り止めで、京大に進学する。男は大学サークルで別の娘と付き合い始め、巴は振られた。恋人の名は芦屋満という(京大青竜会のエースにして安倍くんの天敵)そんな巴が同志社大で、廃止されていた"黄竜陣"の遺物を見つけてしまったことから、芦屋くんに天罰が下る事になる。

    第5話「丸の内サミット」
    この話には青竜会メンバーは一切出てこない。しかし、ホルモーの新たな側面も垣間見える話です。
    中心になるのは京都産業大学玄武組OBの榊原くんと龍谷大学OBの井伊さん。二人は東京の同僚主催の合コンで再会する。二人はそれぞれの大学でリーダーだった為に面識があった。その二人が、合コン終了後に丸の内で異様なものを目撃する。二人の同僚は、それぞれ一橋大とお茶の水女子大出身だけど、もしかして…。

    第6話「長持の恋」
    立命館大学白虎隊リーダーの細川珠実は超貧乏。それなのに運転免許がほしくなって教習所通いを始める。教習所で会ったのが京大青竜会の高村くん。(何とこの男はちょんまげを結っている)バイト代稼ぎで始めたのは料理旅館の仲居。蔵から旅館の物品出しの最中に見つけた長持に、不思議な性質がある事に珠実は気付く…。

    どの話もよく出来ていて、前作との整合性もきちんと取れていて心地よい。物語同士の関連性もあって、それに気付いた時はニンマリしてしまいました。ただ、それだけに前作をしっかりと読み込んだ"上級者向け"とも言えるでしょう。
    青春グラフィティであり、ちょっとヘンなファンタジーでもある。
    若いって、いいなぁ。好き(笑)

    • 青格子さん
      "外伝“www、スピンオフですね。うん、若いっていいな、という世代ですものね。
      "外伝“www、スピンオフですね。うん、若いっていいな、という世代ですものね。
      2024/04/16
  • 『鴨川ホルモー』再読後の『ホルモー六景』

    『鴨川ホルモー』の後日譚かと思ってたが、スピンオフ。

    京都産業大学玄武組の『二人静』定子と彰子が争う『鴨川(小)ホルモー』。
    圧倒的な強さを誇っていた玄武組が、京都大学青龍会に負けた原因がこれだったとは…
    デートしている相手が横で、訳の分からない鬼語を突然話し出すと…
    去っていくよな…
    定子と彰子の恋はどうなったのか…

    凡ちゃんこと、楠木ふみに淡い恋心を寄せる『少年』の『ローマ風の休日』。
    凡ちゃんの背中を押して、安倍に告白させたのが、『少年』だったとは…
    凡ちゃんと安倍の恋はどうなったんだろう。

    あの書店に果物を置いてくる短篇の舞台裏『もっちゃん』。安倍は安倍でも… 安倍の友だち『もっちゃん』。何か、違和感が…
    時代が違っていたとは…
    時代が違っても、安倍は女性の身体の一部に執着するのは変わらないなんて。
    安倍の先祖だったんだろうか…
    巡り巡って、もっちゃんの懐中時計が現代に…

    ホルモーと文明開化期の謎を追う『同志社大学黄竜陣』。
    プラス10人はこれか…
    薩摩からさつま芋しか…
    ISINから明治維新がでてこないとは…
    新島襄にクラーク博士もホルモーに絡んでいたなんて。
    芦屋の元カノ・巴。なかなかの個性の持ち主。
    同志社大学黄竜陣とのホルモー、見てみたい。
    『鴨川(小)ホルモー』とニアミス。

    東京でも⁇『丸の内サミット』。
    京都産業大学玄武組・元会長・榊原康と龍谷大学朱雀団・元会長・井伊直子が、3年半ぶりに丸の内で再会。そこで見たものは…
    東京でも『ホルモオオオォォォーッ!!』が響いていたとは。

    本能寺の変にまつわる時代を超えた恋愛『長持の恋』。
    立命館大学白虎隊・第500代会長となった細川珠実。『孤のは』の蔵の長持を通して、柏原大鍋と時代を超えて…
    ここから高原の恋に繋がるのか。

    『鴨川ホルモー』のスピンオフ。
    にもかかわらず、面白さは『鴨川ホルモー』以上。

    『鴨川ホルモー』続編。期待してしまう。

  • 「鴨川ホルモー」のスピンオフ。

    「鴨川(小)ホルモー」
    京都産業大学玄武組、二人静の話。
    定子と彰子という登場人物の名前を知って、一気に好きになってしまった。
    そんな二人に挟まれる男は、もちろん一条くんである。いいね。

    女同士の決戦は、男同士のそれよりも、宿命的なものを背負っていないことが多くて、それが魅力的だなと思う。
    世界を背負う前に、自分の本音で戦う彼女たちだから、好きになるのだろうな。

    「ローマ風の休日」
    凡ちゃん推しなら、この一話に深く感動するに違いない。と勝手に断言させてもらう。
    なぜ彼女が、ホルモー本編で驚異的な力を振るったかがよく分かる。
    個人的には、ホルモーの終盤でヒロインの座を掻っ攫っていく、凡ちゃんが好きだ。

    全然関係ないけど、ある程度のキャパシティを持つホールの采配出来る人ってかっこいいよねー。

  • 鴨川ホルモーのスピンオフ小説だと思う。
    だけど私は鴨川ホルモーよりホルモー六景の方が好きだと思った。
    なんかウルっとしそうになる箇所が幾つもあった。
    歴史が絡むストーリーも好き。

  • ホルモーの裏話的な短編六つ。

    「長持の恋」はよかった。
    時空を超えたロマンス!
    ありがちなのに、よめる展開なのに、うるると泣けてしまった。

    個人的に、梶井基次郎の「檸檬」がとても好きなので、オマージュというかそういうのはちょっと複雑。

  • 「鴨川ホルモー」のスピンオフ作品。本編に脇役として登場した人物や、はたまた「ホルモー」をかつて経験した人たちのエピソードを絡めた6作品。

    「鴨川ホルモー」のスピンオフということで、愛すべきキャラクターたちにまた会えたという喜びに加えて、元々、史実や実在する場所などを織り込んで作られたフィクションが大好きなので、この短編集はツボにはまった。

    どれも良かったけれど、楠木の知られざるデート秘話「ローマ風の休日」と、本編「鴨川ホルモー」の巻末であっさり高村と付き合い始めていた細川嬢のエピソード「長持の恋」の二つが特に好きだった。
    「鴨川ホルモー」を読みながら「なんで同志社はこのホルモー4大学に選ばれなかったんだろうなぁ?地理的な理由かなぁ?(私は京都の大学分布図が全く分かりません…)」と思っていたら、めでたく同志社も次回からは参加できそうな雰囲気なので、またぜひ続編を作ってもらいたい。

    巻末の解説は有栖川有栖。この一連のホルモー物語群を「ホラ話」とバッサリ斬っていて(といっても、べつに批判してるのではなく、むしろ褒めている)、この作品を表す良い表現だと思った。

  • スピンオフだったから500代目のメンバーがどうなってるのか気になりました。
    でも長持の恋はキュンときたし、そこからの高村なのかな〜と。
    他の作品も繋がるところあって面白かったです。
    二人静は結局何だったんだ?

  • 鴨川ホルモーを最近読んで、面白かったな〜と思っていたところ、他の方の本棚で「ホルモー六景」を見つけ、早速図書館で借りました!

    「鴨川ホルモー」のそれぞれの人の恋愛模様と、歴史の絡みが面白かったです。
    どの話も面白かったけど、私のお気に入りは「ローマ風の休日」と「丸の内サミット」。

    ぼんちゃんの能力の高さと自分に足りないことを克服しようとまっすぐに努力する姿が素敵だなと思いました。

    東京での合コンで集まった4人がみんなホルモーに関わる人だったというオチに笑ってしまった。
    あんなに隠してたのに…笑

  • 鴨川ホルモー登場人物を別な視点から、面白く奇怪に繋がり合わせて語っている…
    万城目さんらしいユニークな展開!!
    鴨川ホルモーの裏話的なところは面白かったが、新たな展開があるのかと期待していたが、続編が出るという内容ではなさそうだ…

  • 前作に負けじ劣らじでした。
    六話とも一人称は変わりますが、同じ関係者が出てきたり繋がりを感じたこと、ちょっと涙腺に触れる場面もありよかったです。

  • ホルモーの世界の奥行を感じさせてくれる。また他の万城目作品との繋がりもよい。『ホルモー』を読んだらこちらも必ず読みたい。続編にして、世界観の輪郭を示すという意味で必須のコマ。

  • あぁ読み終わってしまった!とにかくとにかくとにかく面白かった‼ 鴨川ホルモーのスピンオフだと思っていたので、高村や安倍、楠木さんが出てきて嬉しかったし、東京でのホルモーや昔のホルモー、芦屋の元カノなどほんとに楽しかった‼ 中でも長持の恋ですよ☆泣いた泣いた!切なくて笑えてほんとにもう… ぜひまだ読んでないかた、万城目作品を読んでほしい‼ 鹿男⇒鴨川ホルモー⇒ホルモー六景の順番で☆これはもうオススメだなぁ‼

  • 鴨川ホルモーの番外編というか、裏話というか、そういった感じの短編集。短いけれど万城目エッセンスがギュッと詰まっている。

    二人静の話は男性から見ると怖い2人だろうけど、女の友情話と考えるといいなぁと思う。特に定子の一本筋が通った対応が好きだ。何だかんだけんかしながらも長続きする友人関係だろうなぁ。羨ましい。

    もっちゃんの話は一本取られた!と思った。安部と言われるとどうしても500代目の安部だと思ってしまう。

    芦屋の彼女の話は、芦屋も芦屋だけど、彼女も彼女だよなぁという感じで、一番裏話感があった。所で芦屋のホルモーペナルティは何だったんだろうか。

    一番好きなのは最後の「長持の恋」。高村は文句なくいい奴だし、おたまも可愛い。鍋丸とのやり取りが切なくて、6篇の中では一番応援したくなる二人だった。しかし高村がちょんまげになったのにはそんなわけが…。ホルモー恐るべし。

  • 「鴨川ホルモー」を読んだ時にも思ったが、有りもしない事を、
    よくもまあここまで具体的かつ真に迫る描写が出来るものだと只々感服。

    全編通して爽やかでかわいいお話だが、
    「もっちゃん」と「長持ちの恋」は切なさが溢れていて秀逸。

    特に過去の人との一風変わった文通という、
    歴史ミステリー的な要素も織り交ぜられた「長持ちの恋」は極上のラブストーリーだ。
    ハラハラしながら食い入る様に読んだ。

  • その名の通り短編集6作品です。
    個人的には「ローマ風の休日」がお勧めです。
    素直じゃないし、無愛想だけど可愛らしい・・・楠木さんの恋心が素敵でした。
    何より、京都在住なので、知っている地名もたくさん出てきて、親近感わきまくりでした(^∇^)

  • 凡ちゃんの知られざる日常、鴨川ホルモーの過去、なにより時間を超えてやり取りをした話などが語られていた。特に、長持の恋は心に深く沁みるものがあった。

  • 鴨川ホルモーを読んだ人向けの短編集。
    短くあっさりした話が多いが、最後の「長持の恋」は最後までどんな結末になるのか緊張感があって良かった。

  • スピンオフとして良い。とにかく京都に行きたい欲だけ高まる。

  • 2023.1.24 読了。
    「鴨川ホルモー」を軸とした舞台で描く短編6作収録。

    まず、直木賞おめでとうございます!と言いたい。
    6作がホルモーとどこかで関係を持ちつつも様々な短編で構成されていて面白かった。「鴨川ホルモー」とも6作の短編の中でも何かが繋がっているが1作1作単独で読んでも成立しているという凄い技術で描かれていた。
    6作が恋愛小説ぽかったりSFチックだったり、時代小説とも言えそうなものもあったりで著者の知識と手腕に脱帽した。6作それぞれに違う魅力があり充実の一冊だった。
    「もっちゃん」を読んでいる時は進んでいく中でニヤッとしてしまったし「長持の恋」ではとても切ない気持ちになった。
    京都が舞台になっている故、歴史と巧みに絡めてパラレルワールドと言ってもよい作品もあった。
    フィクションなのだけど「実はホルモーは脈々と続いている」世界をちょっと期待してしまう自分がいる。

  • 鴨川ホルモーの続きかと期待したらスピンオフでがっかり。。
    が、それぞれの小話が良すぎる!
    けっこう泣いてしまった。。
    もっちゃんもヤバかったけど、長持の恋、ヤバすぎる。涙止まらない。。

    もともと信長好き。戦国好き。本能寺の変関連好き。明智いまいちだけど気になる。

    本能寺に付き従っていたお小姓たちの最後まで殿を守った逸話はよくあるが、なべ丸とのやり取り、せつない。

    このせつなさが高村くんのチョンマゲにつながり、頭頂部に印をつけるなんて!しかも琵琶湖!笑いながら泣けた。

    私も本能寺に行ったことないから、ぜひ行って石碑を見たい。

    丸の内サミットは、ぜひあってほしい^^
    ホルモーシリーズはもう書いてくれないのだろうか。
    同志社大学の復活、東京バージョン、ぜひ執筆して欲しい〜!

  • 鴨川ホルモーのスピンオフ。恋愛編。
    万城目学のスピンオフは純粋なスピンオフというわけにもいかず。

    京都て繰り広げられていたホルモーの東京への横展開に留まらず、いよいよ時代をも超えたホルモーへ。

    絶妙に全「景」が繋がっていて、
    何度も読み返したくなってしまう。おもしろくて切なくて何ともホルモー!(青春最高!)と叫びたくなる。

    同志社大学もホルモー復活しちゃって、
    鍋丸の生まれ変わりが高村くん(何がどうしたことか、鴨川ホルモーでミョウチクリンな高村くんが優男になっているではないか)になっちゃって、
    本当どうなるんだい、という具合に続きが気になり過ぎる最後である。
    ホルモーーーー

  • もっちゃんが指す人物に気づいた瞬間の、伏線回収の感覚といったらもう。そして懐中時計を通じてもっちゃんの存在が未だ感じられホルモー。こんな仕掛けがされていたとは……。
    さらには梶井基次郎が、京都を描く森見氏と万城目氏の大先的存在だと知りさらに世界が広がった。こうして私は京都への憧れを持ち続けその世界にさらにのめり込むのだろうな

    はぁ読了。最後はページを捲る手が止まらず読み切った……。伏線大好きマンなので読んでいてめちゃ楽しかったし、最後の恋は泣いた、そして歓喜。物語の結末につながっていて本当に感動した嬉しい

    最後の解説読むのも好きなんだけど、有栖川有栖さんがあそこまで阿呆と褒め称えていて、ホラ話とまとめていてとても良かった。鴨川等間隔カップルはやはり認知されているものだったんだな、さすが……。

    これはあくまでフィクションだということを忘れるほどのめり込んだな。最後の言葉、最高だったので言いたい。

    ホラMORE!

  • 話題作「鴨川ホルモー」の続編というか外伝。
    前作の登場人物たちの面白くもせつない(?)恋愛模様。

    僕は大抵、本編よりもスピンオフ作品のほうが好きなので、これはかなり面白かった。
    (どの作品も無理に続編を作るよりは、スピンオフとか外伝の方が圧倒的に出来が良いと思うんだけど、みんな新しいものを書きたいのかな)

    前作が少しでも楽しめた人にはオススメです。

  • 鴨川ホルモーの短編集。裏話的な。
    二人静。芦屋の元カノはあの時なにをしていたか。同志社大学はなぜホルモー参加してなかったのか(地理的理由ではなかったようだ)。ホルモー後の社会人。長持ちの恋はタイムトラベル。続編ほしいなぁ・・・

  • 「鴨川ホルモー」に関わった若者たちの後日談を集めたスピンオフ短編集。
    鴨川ホルモーのわけのわからない空気をベースにしつつ、爽やかでほろ苦なドストレート青春恋愛風味となっています。
    青春だなあ。

  • 『鴨川ホルモー』のスピンオフ的続編。ホルモーに関わる者たちの恋愛短編集と言ったところかな。「ローマ風の休日」の楠木さんは鴨川ホルモーに続き良い感じでした。「もっちゃん」の正体とはまさかの…。第四景では芦屋くんの元カノが登場したり、第五景では東京でもオニが現れたり。そして、何と言っても時空を超えた恋物語「長持の恋」が最高でした。アンソロジー本で既読でしたが、何度読んでも切なくてキュンとしてしまう。いつか本能寺を訪れ、かの人の名を探してみよう。

  • 鴨川ホルモーのスピンオフ6作品からなる短編集。

    無論鴨川ホルモー読了後手に取るべき作品ではあるが、
    鴨川ホルモーを読む前にこちらを読んでいたらどういう感想を抱いただろうか。
    やっぱり「ちょっとよくわかんない」で終わったんだろうか。

    過去に戻れるのなら、ホルモー六景を先に読んで
    「ちょっとよくわかんない」状態で鴨川ホルモーを手に取り
    「あ、あぁ〜!」ってなってから再度こちらを読んでみたい。

    あと歴史の勉強はもっとよくしておくべきだった。


    第一景「鴨川(小)ホルモー」
    二人静と呼ばれる定子と翔子のお話。
    彼女らの不器用さや生きにくさの表現は、
    西加奈子の描く登場人物にも通じるところがあるなという印象。
    世に馴染むことが下手で、それでも強い我が邪魔にもなり希望にもなり前に進んでいく感じ。
    ホルモーを通じてわかり合っていく二人の友情。
    決闘てやってもいいの?


    第二景「ローマ風の休日」
    楠木さんと少年のある数学の問題を解くために巡るデートの話。
    暗く、陰鬱な印象だったバイトの新人楠木さんだが、
    鴨川ホルモーで見せた彼女の手腕がバイト先でも発揮されていく痛快な展開に
    少年が徐々に魅力を感じていく流れが自然でキュンと来て愛おしい。
    凡ちゃんなんて呼ばれているけど普通に可愛いんだろうな。
    美人は髪とメガネだけじゃ隠せないはずだ(笑)


    第三景「もっちゃん」
    時代背景をよく理解せぬまま「安倍」があの「安倍」だと思い込みながら読み進めていく途中
    安倍が文具屋で芥川龍之介の「鼻」であろう本を見つけたとき、
    現代作家として書かれているあたりでやっと気がついた。
    「檸檬」の生まれたきっかけを鴨川ホルモー風に創作したものだけど
    鴨川ホルモーを通ってきた読者にはノンフィクションかのような錯覚をしてしまうのがおもしろい。
    そして現代に橋渡されて安倍がカラオケで歌う締め方にもフフフとおもわず笑みが溢れる


    第4景「同志社大学黄竜陣」
    序盤でこいつもしや芦屋の彼女では?と気が付いた。
    他作品もそうだけどこれ、もしや○○では?というヒントが全編通して散りばめられていて
    宝探しをしている気分。
    全て解明できてる読者はどのくらいいるんだろう。
    己の知識の足りなさが歯がゆい。
    物語は巴が図らずもうひとつのホルモー軍団を復活させてしまうんじゃないか?
    っていう話なんだけど、5つ目が出てきたら東西南北のどこにも入る隙きがないのでありえないでしょ
    なんてまるでホルモーが実在するかのような感想を抱く。
    第三条が達成できたのかどうなのかが曖昧だった印象。
    面白いけど少しこじつけっぽくなってしまったんじゃないかとも。


    第5景「丸の内サミット」
    社会人になって合コンしたらホルモーのライバルに会ったよっていう話。
    二人が出会うまでの直子パートと康パートが交互に展開されていく、
    よくある描写なんだけど、出会うまで、出会ってから、その後、ラスト、と
    短い中でテンポよく流れていきながら、新事実の発覚もあるという
    中身がぎゅうぎゅうに詰められたおにぎりみたいな話。
    鴨川ホルモーのときから登場人物の名前にも一興あるが、
    日本史が苦手だったためなんとなくしかわからないのが悔しい。


    第六景「長持の恋」
    立命館白虎隊細川珠美と織田信長の家臣が時空を越えて文通するSF話。
    普通免許の講習に行く珠美を見て、
    鴨川ホルモーエピローグにて高村に教習所で知り合った彼女ができた話がすぐ頭に浮かんだ。
    ああ、この人と高村が付き合うんだなくらいに思いながら読み進めていくと
    なべ丸に好意を寄せ始める珠美の恋心は、叶わぬものと知り
    その想いを吹っ切るために高村と付き合うのかななんて予想していたがとても気持ちよく裏切られた。
    高村がなべ丸の生まれ変わりなのかどうかはわからないが
    いつか本能寺へ赴いたあかつきにはなべ丸の名前を探してしまいそうだ。

  • 続編かと思ったらスピンオフ的な感じで、楽しく読めました。

  • 何としても恋人たちの聖地「鴨川デルタ」に行きたくなった!久しぶりの万城目さん。新たなホルモー展開かと思いきや、前作の後の話で、織田信長まで広範囲に及ぶ。前作の4大学にはそれぞれドラマがあった。登場人物全員が真面目にホルモーゲームに向き合っていたことに嬉しく思う。私の中で不思議ちゃんの凡ちゃんが超クールに再登場。やっぱり可愛い。一橋大学、お茶の水女子大学の2大学は前作にでてきたっけ?とそこは謎(度忘れ?)でした。今回はあまり激しい展開ではなったのですが、楽しめました。2月の学会中、抜け出さないと!

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著者プロフィール

万城目学(まきめ・まなぶ)
1976年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部卒。
2006年、『鴨川ホルモー』(第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞)でデビュー。主な作品に『鹿男あをによし』、『プリンセス・トヨトミ』、『偉大なる、しゅららぼん』などがあり、いずれも文学賞ノミネート、映像化等など、大きな話題を呼ぶ。また、エッセイ集に『ザ・万歩計』、『ザ・万遊記』、対談本に『ぼくらの近代建築デラックス!』がある。

「2013年 『ザ・万字固め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

万城目学の作品

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