自閉症の僕が跳びはねる理由 (2) (角川文庫)
- KADOKAWA/角川学芸出版 (2016年6月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044001513
感想・レビュー・書評
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自分で自分を奮い立たせるってことある。
最後の文中にもある。13歳の時に書いた前作よりも、ひとつひとつの文章が長くなった。それは、自分自身を励ますため。胸の内をありのままに語ることで、明日を生きるために、自分を奮い立たせたかったからです、と。
誰かに聞いてほしい時ってある。答えがほしいわけではなく、共感、慰めでなく、話す相手がほしい時。ありのまま話せばどこかで心繋がった、と思う嬉しい勇気が出る瞬間。
そんな一筋の訴えを感じました。
文章の所々、心に残る表現があります。
・この社会は、たくさんの人々で構成されています。その中で自閉症の人も生きているのです。
・もし、みんなが自閉症の僕たちのことを、かわいそうな人たちとだけ思うなら、僕たちは何のために生きているのかわからない。
・家族が僕のために頑張ってくれている姿を見て、僕も自分にできることを探して生きていかねばならない、と思うようになった。
(自分にできることを探す、私も未だに考えています)
限られた表現の術のなか、その中から外の世界を見る視点は感性が研ぎ澄まされていると思いました。
春色のリボン
春色のリボンをきれいに結ぼう
少しおめかしして でも恥ずかしがらずに
色は空色がいい どこまでもすみきったライトブルー
僕の心は 春の草原 かわいらしい花々が咲き誇る
誰かに贈れなくても
リボンがうまく結べなくても構わない
自分のためにリボンを結んだら 僕はもう 春の蝶詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前著から3年...16歳になった著者の成長記録。対処スタイルが少しずつ身についていく様に感動。と同時に自身に問いかける。差別、蔑視する考えがちょっとでもないか?自信を持って“YES”と言える自分であるか...。まだまだ定期的なメンテナンスが必要なのが現実。それでも良いと言える社会の寛容さが共生社会を実現するはじめの一歩であるし、最終的にはそんな言葉が不要な社会になることが求められているように実感した一冊。
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自分でもよく分からない、記憶できない、前例のないこころのゆらぎを、よく言葉にできたなぁと感心する。しかしながら、私の想像を遥かに超える困難さなのだろう。
前作に比べ語彙は豊富になり、実感した言葉を顕しているように感じた。
繰り返し出てくる「僕の場合は」という単語。著者は自閉症にもいろいろなケースを把握し、その中で社会の一員として生きている実感を得ているのではないだろうか。
なんというか、圧倒された。
気持ちを言葉にすることに、伝えることに難しさを感じる人に薦めたい。 -
東田直樹さんの自身の紹介。自閉症のことを理解することができる。ただ、自閉症の全てではないし、人によって違うことを考えておくことは大切。
学校ではよく「視覚支援をすることがいい」とされているが、それが全てで、それだけではいけない。東田さんも視覚支援だけを求めてはおらず、愛情を求めている。 -
自閉症の男性が書いた彼の世界の見え方を紹介する本。
福祉施設で働いていて、自閉症の方もいらっしゃるので勉強になった。
自分で自分をコントロールできないことに対してそんなに自尊心を損ねていることを初めて知った。
さまざまな描写が利用者さんと重なって同じような気持ちだったのかなぁと想像した。人それぞれな部分もあるが、どのように関わっていくかを考えさせられた。
コミニュケーションが上手く取れない自閉症の方にやきもきすることもあったけど、もっとおおらかに構えて不安や恐怖を与えない環境づくりをするべきかもしれない。それから、成功体験がたくさん積める場を作りたい。
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前作よりも文章がさらに分かりやすく、言葉を大切にしてこられたのが伝わってくる。どういう時にどういう気持ちなのか、自分にとっての記憶はどういうものなのか。自分の基準がいかに狭い視野に押し込められていたかを自覚した。
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会話ができない自閉症の高校生が書いた本。
側から見ると謎の多い自閉症、頭の中ではいったいどんなことが起きているのか。
そして自分の頭の中で、もしかしたら同じようなことが起きているような、気がする。そんな本。
とても簡素な言葉で綴られていた。一気に読んだ。 -
遺伝子や脳のささいな違いで
様々な障害や病気があって、
だけどそれぞれ同じような症状なんだから
それを正常に戻すこと、
出来そうなのに。 -
2018年08月26日読了。