感染症の世界史 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044003678

感想・レビュー・書評

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  • 様々な感染症の起源、感染様式、感染経路などの話に、歴史や環境の話が交わり、とても内容の厚い本でした。

    自分の持っている知識と照合しながら読んでいたら時間がかかってしまいました。

    「コロンブス大航海は未開の地を切り開くとともに感染症の伝播拡大にも貢献した」
    「戦争は人と人との戦いだけではなく人と感染症との戦いでもあった」
    「ウイルスの起源を遡ることは人類の起源を遡ることにも通じる」など、なるほどそういう見方もあるのだなと思わされることがたくさんありました。

    歴史の教科書の中でさらりと登場する「疫病」が、あの病気だったのかとつながる楽しさもありました。(もともと歴史が苦手なのでよく知りませんでした。)

    今後の感染症の激戦地として中国とアフリカが挙げられていましたが、やはりという感じですね。


    印象深かったのは「最も進化した人類と最も原始的な微生物との死闘」という表現でした。

    人間はとても強く、とても弱い。
    今回のコロナ騒動で強く感じました。

  • 過去、一番の死者を出したのは、戦争ではなく感染症だ。
    昔から感染症に人間は悩ませられていた。世界史を語るときに感染症は必須だと思う。
    今回、新型コロナウィルスの関係で、感染症の恐ろしさを感じているが、昔から感染症の危険は広がっていた。今回のような流行は、また起きるはず。
    そして昔から大流行するのは、人口密集地。
    これから人間は、ITを活用し、もっと進んだ新しい生活様式を模索する必要がある。

  • COVID19が世界中で猛威を振るう中、これを機に感染症について知っておきたいと思って購入。

    人類を1番殺めてきた自然災害が「感染症」だということにハッとさせられた。エボラ、デング熱、エイズ、インフルエンザ、結核…名前は聞いたことがあっても、それらがどのような経路でどのように発症し、どのように人々を苦しめてきたのかなど、知らないことが多すぎた。
    今回のCOVID19もこれまでパンデミックを起こしてきた感染症の周期に則って流行していることが分かった。
    また、原因は公衆衛生が整っていない中国、アフリカに多いというのも残念ながら納得せざるを得ない。そして、高齢化、人口爆発…感染症の温床となっている現代社会ではCOVID19が終息を迎えても、また新たなウイルスは必ずやってくる。
    だからこそ、正しい知識を持って正しく恐れることを意識しながら日常から身体の衛生を保つことを怠らないようにしよう。

    個人的には猫を宿主とするトキソプラズマ原虫が興味深かった。ドーパミンの分泌を促し、行動を変えてしまうという。猫を飼うことで愛情深くなるのはもしかすると、トキソプラズマにマインドコントロールされているのかもしれない…。

    人間とウイルス(微生物)の闘いが終わることはきっと無いのだろう。

  • 仕事のために読んだ一冊。

    ウイルスや細菌は、人類が生まれる遥か大昔から地球上で生存してきた。地球上で最も成功した種であると言っても過言ではない。

    小ささや遺伝子の少なさゆえに、変異は早く、人間がワクチンを開発しても、それに対する耐性を短期間で身につけてしまうことも少なくない。

    人類史で最も人が死ぬ原因となっているのは、災害や戦争でもなく、感染症による。今話題のCOVID-19も例外ではない。

    人間や動物に寄生して行動パターンを変えてしまうものだっているとか。そして、白血病の発症要因にもウイルスが関係している事実を知って驚いた。

    「病死」となんとなく片付けてしまっている死因は、実はウイルスや細菌由来だったなんてことは少ないことだろう。

    どんなに金や時間をかけても突然変異でその網をすり抜ける。人間が感染によって身につけた抗体でさえも、だ。
    人類とウイルスや細菌との死闘は、人類が地球上に存在し続ける限りつづいていくことだろう。

  • 2020年5月
    エボラ出血熱、SARS、デング熱…新型コロナ以外にも用心すべき感染症はあったということを思い出した。
    終章では世界の抱えているリスクについて言及している。
    中国とアフリカは新しい感染症の出現するリスクが高く、しかも中国は春節の大移動が、感染症を広げる下地になっている、と。
    中国!春節!新型コロナじゃん!…って思ったけど、考えてみればそれは間違いだ。新型コロナが収束しても、次の感染症が、爆発的に広まる下地がある。

  • 2020/5/6 読了
    感染症の入門書。タイトルの通り、ウイルスがどこで生まれ、どう伝達され、どのように形を変えていったかが説明されている。同じ名前のウイルスでも、いくつかの型があり、同じワクチンは効かない。今回のコロナウイルスもその一つ。

  • 人間は、ずっと細菌やウイルスと共に生きてきたけれど、彼らをどんどん変異させ、拡散してきたのは人間ね、と思わされた。感染症は生物災害。気象災害・地質災害と共に、自然災害の1種。歴史は、変化しながらも繰り返す・・・。

  • 新型コロナウィルスが猛威を振るう今こそ読むべき良書。
    初版当時に流行したデング熱やエボラ出血熱から始まり、2009年の新型インフルエンザ辺りまでの感染症の歴史が綴られている。どの感染症にも言えるのが人の移動だ。もともと細菌やウィルスの宿主は蚊やネズミなどの動物であり、これらは渡り鳥でない限り長距離は移動しない。だが、人間は文明の進歩に伴い長距離を簡単に移動する。現在のパンデミックもまさに人の移動が原因だ。また高齢者施設の集団感染も指摘されており、現に多発している。
    新型コロナの一刻も早い終息を望む。

  • <目次>
    まえがき~「幸運な先祖」の子孫たち
    序章   エボラ出血熱とデング熱~突発的流行の衝撃
    第1部  二十万年の地球環境史と感染症
     第1章  人類と病気の果てしない軍拡競争史
     第2章  環境変化が招いた感染症  
     第3章  人類の移動と病気の拡散
    第2部  人類と共存するウイルスと細菌
     第4章  ピロリ菌は敵か味方か~胃がんの原因をめぐって
     第5章  寄生虫が人を操る?~猫とトキソプラズマ原虫
     第6章  性交渉とウイルスの関係~セックスががんの原因となる?
     第7章  八種類あるヘルペスウイルス~感染者は世界で一億人
     第8章  世界で増殖するインフルエンザ~過密社会に適応したウイルス
     第9章  エイズ感染は100年前から~増え続ける日本での患者数
    第3部  日本列島史と感染症の現状
     第10章  ハシカを侮る後進国・日本
     第11章  風疹の流行を止められない日本
     第12章  縄文人が持ち込んだ成人T細胞白血病
     第13章  弥生人が持ち込んだ結核
    終章   今後、感染症との激戦が予想される地域は?
    あとがき~病気の環境史への挑戦

    <内容>
    現本は2014年の洋泉社から。現在のコロナ禍を踏まえて読破。第8章が参考になる。20世紀初めのスペイン風邪(スペイン発症ではない)から始まり、近年の鳥インフルエンザや2009年の新型インフルエンザ、いずれも感染者をゼロにした訳ではない。免疫ができたり、対処薬ができたりして、その患者・死者数が減っただけだ。ウェブサイトで見たが、最近のインフルエンザは、2009年のインフルエンザだそうで、それを今は誰も噂にすらしない(数年前私も罹りました)。今回の新型コロナも、その流れが予想される。今年の冬や来春も、同じように流行しているだろうが、どれくらいの人が気にするのかな?という感じ。ウイルスや細菌もどんどん進化(いわゆる遺伝子変異)していくので、数年後には違うタイプの「新型」コロナになっているだろうし…。グローバル化に対するツケかもしれない。そういうことが十分に読み取れる本でした。 

  • 流し読みしたけど普通に面白かった
    交わりにつきますね

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著者プロフィール

1940年東京都生まれ。東京大学卒業後、朝日新聞入社。ニューヨーク特派員、編集委員などを経て退社。国連環境計画上級顧問。96年より東京大学大学院教授、ザンビア特命全権大使、北海道大学大学院教授、東京農業大学教授を歴任。この間、国際協力事業団参与、東中欧環境センター理事などを兼務。国連ボーマ賞、国連グローバル500賞、毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。主な著書に『感染症の世界史』『鉄条網の世界史』(角川ソフィア文庫)、『環境再興史』(角川新書)、『地球環境報告』(岩波新書)など多数。

「2022年 『噴火と寒冷化の災害史 「火山の冬」がやってくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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