少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044281052

感想・レビュー・書評

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  • 平凡とは何か、美しいとは何か、愛とは何か、終始考える本。白でも黒でもなく、灰色の感じ。

  • 桜庭一樹さん 3冊目。
    七竈のキャラ好き。
    文体や、セリフ
    とても好きでした。
    美少女を想像するのは
    楽しい

  • この度再読。

    雪風が語り手となりサンボマスターの「さよならベイビー」と共に七竈を想う章「機関銃のように黒々と」が切ない。そして美しい。

    桜庭一樹さんは「私の男」がとても印象的なんだけど、北海道という凍てつく土地の舞台にしてることで物語に「最果て」感と、雪国の静けさ、寂しさを作品の背後に据えていると感じる。だからいつも閉塞感と寂しさがつきまとって胸が苦しくなる。それが良い。

    あと著者は「女」というもの(言い換えるなら女という「性」)をとても意識的に取り上げ描いていると感じる。
    ''可愛そうな大人''である七竈の母、雪風の母、田中教諭の奥さんはとても「女」を背負わされている。
    わかっていても自分でもどうすることもできない「女」を。

    ''弱さについてわたしは考えた。
    自分という女の、とてつもない、弱さと、あさましさ。男たちの衝動。''

    大人になる前の、言い換えるなら「女」になる前の七竈。青春と表すれば陳腐だけど、読み終えてみるとこの作品は七竈の青春の終わりで幕を閉じる形になっている。相容れなかった母との別れ、初恋の終わり。
    読み終えてみると自らを異形と言い続けた彼女の、普遍的な青春の物語であったのかもしれないと思った。
    (2016.2.20)

  • 綺麗で切ない。
    終わりはいつも通りすごいハッピーエンドじゃないのになんだかストンとして、報われた気もしてる。
    なんでだろうなー。
    桜庭さんってすごいなー…

  • 七竈が主人公なのだけれど、スポットは周りの大人達と言う感じかな。
    はかなさとかジレンマとか、苦悩とか表現したい物が色々な感情となって伝わってくるけど、その正体はぼんやりしてる感じがとても印象深い。
    まあ、僕がちゃんと読めてないだけと言う話もあるけど。
    そう言えば桜庭一樹ってこう言う作品書くんだったなあと思い出させてくれた感じでもありました。
    GOSICKも並行して読んでたので、それを強く感じたのかもしれません。

  • 淡々としだ独特の(美しい?)語り口に段々と慣れてくる。
    後半の七竃の成長や母親の人間的な心情が吐露されてから、一気に感情移入できた。
    みすず後輩がとても愛くるしい。
    「私、七竃の実にはなりません。私は熟して、食され、わたしを食って羽ばたいた鳥の、やわらかな糞とともにどこか遠い地に種を落として、また姿を変えて芽吹く。そういう女になろうと思います。」

  • 面白かったけど、ここまで美を嫌悪するのはやりすぎだと思うけどなあ。
    比類なき面貌と知性を併せ持つと、色々と思い悩んでしまうのだろう。
    天に二物を与えられた人間もそれはそれで大変なのね。

  • 本作の中で一番好きなのが『辻斬り』。淫乱って言われればそれまでなんだけど、なんとなく彼女の気持ちがわかる。衝動的な気持ちに駆られると言いますか。七竃可愛い。雪風との絡みも好き。

  • 辻斬りのように男遊びをしたいと思った平凡な白っぽい丸、な母親から産まれた、少女七竈の物語。七竈は、「大変遺憾ながら、美しく生まれてしまった。」それを体現するかのような整った文体で、多方向の視点から七竈は描かれる。整然とした少女に、大人たちは抱えきれないものを置いていく。哀しくもはかなく散るように、こうしてみんな、大人になってしまうのだ。

  • 七竃と雪風、大人と子供の狭間の物語。
    共感出来る部分もあれば、私には理解できない部分も。
    全体的に古めかしい文体で、少し辞書が欲しくなる時もありました。

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著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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