せんせいのお人形 1 (comico)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 195
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046041128

作品紹介・あらすじ

「俺は教育するよ 君を」 育児放棄されていた少女の魂の再生を描く感動作が、ついに書籍化。

親から育児放棄され、基本的な生活習慣すら身につかないまま育ってきた、女子高生スミカ。
親戚の間をたらいまわしにされた末、教師をしている昭明に引き取られる。

これまで大人になにもしてもらってないから、自分はなにもできないんだ、と慟哭するスミカに、昭明は宣言する。

「――気が変わった。
俺は教育するよ 君を。
このまま全部人のせいにして流されるように生きたいか?
自分で自分の手綱をとるか?
俺にはその手助けができる。
どうする」

人は、なんのために学ぶのか。なんのために生きるのか。
スミカの再生の物語が、いま、はじまる。

感想・レビュー・書評

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  • (2022年2月)
    『独学大全』の読書猿がおすすめしていたマンガなのでいつか読もうと思っていた。購入して読み。

    全部カラーページやん。
    読んだ印象としては『マイ・フェア・レディ』か『ドラゴン桜』か。
    学習、教育、生活習慣の構築などの、一生上り続ける階段のごく最初の段で躓いてしまったすみか。
    最初のころの段は家庭が子供の手を取って一緒に上らせてあげる必要があるのだが、家庭環境に恵まれなかったのだ。家庭の役割って大事だなあ、と今更ながら思ったり。

    (2023年7月)
    12歳児Fが手に取って読んでいて、私も久しぶりに1-2巻を手に取って読んだ次第。
    12歳がちょうど一学期末テストで、手伝いと言うか、学習支援のようなことをしていた。
    昭明さんとスミカがお互いの距離や考えを探りながら、進んでいく様子が勇気をくれるなあ。(最近子どもたちとの距離を測りかねているので)
    あいさつすること、身だしなみ、名前を呼んで呼ばれること、食事入浴歯みがき片付けなどの生活習慣、全部教育なんだよな。
    相手に連絡を取って心配させないようにすること、文字と音を結びつけて活字の海を渡っていくこと、博物館や科学館の雰囲気や展示物を目に入れること。全部はつながっていく。

    シスターに教育とは何か、と昭明が尋ねて帰ってきた返事が心に残る。
    子どもはお庭のようなもの。色んな植物が植わっていて、毎日少しずつ手入れをして、見守るしかないときもある。おとなになればそのお庭を本人が手入れしていく。そのときのために手入れの方法を伝えるのが私たちの仕事、と言うような内容(p24)

  • おじさんが少女を育てる系統、私が「女の子育てる系」と呼んでいるジャンルの作品。
    親族間で押し付け合いをされているネグレクトの少女スミカを、女子高教師の昭明さんが「教育」するお話。

    最初、スミカには何もありません。
    家族、友達、愛、生きていていい場所、好きなこと、何かを好きだと思うこと……それだけにとどまらず、礼儀や毎日風呂に入るという習慣も、常識すらない。
    ゼロどころかマイナスの世界に生きている。

    ひょんなことからスミカを引き取ることになった昭明は、そんな彼女に「自分で生きる」ということを学ばせようとします。
    まさしく、「教」えて「育」む、読んで字のごとく「教育」します。
    昭明は物静かで一見冷たい男に見えますが、スミカにまっすぐ向き合う、それがスミカにとっては救いになる。
    私は女の子育てる系に「完璧ではないけど暖かな家庭」を描くイメージがありましたが、本作はまた違った趣で興味深いです。

    本作の雰囲気がとても好きなんですが、読んでいて特に良いなと思ったところが2点あります。
    ひとつは、スミカというキャラクター。
    私が見てきたこの系統の作品では、保護される女の子は真っすぐでなんというか凄く真っ当な子が多かったんですね。
    あるいは、わかりやすくグレているとか。
    最初から「この子には幸せになってほしい」と思わせるものがあった。
    スミカは、どちらでもない、というか、前述したように何もないんですよ。
    何も持っていない、諦めていて自分から何かをしようという気持ちや動機、すなわち内発性すらない。(アイデンティティや内発性を失った子供、「輪るピングドラム」風に言えば、「透明な存在」ですね)
    今まで見た作品とスタート地点が異なるわけです。
    ついでに言うとゴールも「自分の生き方を決められる」という本当の意味での「自立」であり、観念的で今まで見たことが無い作品です。
    この作品がどこに辿り着くのか、非常に興味深いです。

    もうひとつは、博物館でのスミカ。
    彼女が感じた「嫌」な気持ち、単に「自分の心の変質への恐怖」「また何もないところへ戻ってしまうんじゃないかという不安」だけでないところが、質感があって非常に良かった。
    自分でも知らない気持ち、制御できないもの、言語化できない何か。
    あの場面でそういったものへの向き合い方を知ることができたからこそ、それ以後の彼女の成長があったのかなと思います。

    若干気になる点として、悪役っぽいキャラ(親族)があまりに露悪的で……。
    まぁネグレクト自体「本当にそんなことする人いるの?」ってレベルの事例が現実にあるわけで、このくらいのさじ加減で間違ってないのかもしれないけど。

    これまで読んだ中にないタイプの作品で、雰囲気も好きだし、今後の展開が凄く気になる作品です。

  • ヤンデル先生がお勧めしてたのでwebでちょっと読み、悩んで3巻までまとめて購入して、しばらく放置。やっと読んだけど、2巻辺りからの勉学に目覚める展開が素晴らしい。そして、身中に巣食う黒い感情の描き方と、るいとの友情も。本当の友情はちゃんと叱ってくれるんだよなぁ。それにきちんと応えるスミカもとてもよい。完結したらしいので早く続き出してほしいー。

  • 初めて博物館に行ったときと、その後のスミカの慟哭に思わず号泣し、昭明さんを初めとした周りの人の教育観に、「これが人を育てるということか」と感銘を受けました!
    学ぶということは自分の世界を広げる事なんだとハッとさせられる名作だと思います。

  • ※全話読んだ感想
    読書猿さんがTwitterで進めていたのを見て読んだ。
    面白くはないし、上手くもないラブコメ(?)だった。
    全てが薄くあっさりしている。ドロドロのドラマを求めているわけではないし、淡白な筆致で淡々と物語をすすめるのが効果的な場合も知っているが、「せんせいのお人形」は単にリアリティがなく演出に乏しいというだけな気がする。人間の成長物語なのに、登場人物の心情や葛藤は説明的なセリフと回想で語られるため、全体的な人格が描けておらず、繊細な機微も見えない。プロットや台本など未完成な作品を見せられているようだった。読後感は進研ゼミなどの勧誘マンガに似ている。
    環境やまわりの人間に左右され何もできない「子ども」から、考え行動し自分すらも変えていく力を持つ「大人」への変化がテーマなようだが、登場人物たちの虐待を含む複雑な育成歴が大変にあっさり克服されるため、進研ゼミ感が出る。
    人間的な成長を遂げる過程や自らを律し克服する力をつける過程ではなく、問題解決の方法に主眼が置かれているので、ハウツーの紹介漫画といえる。ハウツーのコミカライズとしなら面白い部類だと思う。
    また、最終話はああでない方がテーマをよく表現できたと思う。普遍的な人間賛歌になり得たのに、作者サイドの技術が不足しているばかりに、お説教のにおいのするラブコメになってしまった漫画に思えた。

  • すごくすごく良かった。浄化された

  • す、好きすぎる、、、

  • みんなが自然と大人に教わり成長していく事を教わってこれなかった女の子と、教育していく教師の話。
    淡々と進んでいきますが、主人公の意識、お互いの心の距離感などが変わっていく様が大変面白かったです。

  • 読了日 2019/05/27

    読書猿氏が紹介していて、comicoでよんでそのままマンガも買った。
    何一つ自分で選べてこなかった子供・スミカが、教師・昭明の手により再生する話。
    再生ってより、道を見つける方法を学ぶってかんじなのかな

  •  高校教師がひとりの女の子を
     学ぶということ、生きるということが、ヒロインのスミカの成長で見せてくれる。とりあえず、スミカかわいいんですよ。スミカが。

     フルカラーだけれども、落ち着いた色合いで読みやすい。
     モノクロでも読んでみたい気もする。

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著者プロフィール

2016年マンガアプリcomicoに『せんせいのお人形』を連載開始。高い物語構成力と繊細な心理描写で、多くの読者から支持を受ける。「WEBマンガ総選挙2019」にて、WEB上で発表されたすべてのマンガ作品の中から、読者投票で6位に選ばれる。

「2020年 『せんせいのお人形 3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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