- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784046211033
感想・レビュー・書評
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佐藤優が雑誌コラムで投稿した記事をまとめた著作。
様々な外交上の出来事に対する著者の見立てが書かれている。
全体で感じることは日本外務省の致命的な無能力・不作為による国益の損失だ。これは深刻だ。スクール制度の弊害、出世至上主義、ここまでくると恐ろしい。
プーチン大統領の思惑、上海総領事館員自殺における日本政府の不作為、日中間の領土問題について、北朝鮮との駆け引き、竹島問題、バチカンのインテリジェンス能力の高さ、化学兵器遺棄の新事実、ロシアとの連携、東郷和彦氏の靖国神社参拝モラトリアム低減、英国のインテリジェンス能力、三党返還論の懸念、蕩々、盛りだくさんだ。
最後のイラン問題の重要性は理解しておく必要があるだろう。アメリカは万が一の時は北朝鮮問題よりも、イラン問題を優先する。それが大惨事世界大戦を防ぐことになるからだ。そのため北朝鮮問題に関しては、日本はアメリカを頼ることは出来ない。ロシアとの連携を重視して対応する必要があるという。また、イラン政府に甘い日本政府の対応にも苦言を呈す。同じ価値を持つイスラエルとの連携を強化することにより、日本の立場を主張する方がメリットがあるのだという。さらにイスラエルの情報機関との連携には多大なメリットもあるという。
いずれにしてもニュースで流れている内容から外交上のいろいろな思考はできる。興味をもって聞くことだ。それから外務省をどうにかできないか。そうした重いと強く持つようになった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
佐藤 優 著「地球を斬る」を読了した。
彼の現状部分析は、以下である。
冷戦終結に伴う、「ナショナリズムの昂揚」が最大の問題であると
すなわち米ソ・東西冷戦時代にはそれぞれ、自陣営の団結を堅持する必要があり陣営内の自己主張を抑えあっていた。
冷戦終結後、平和で安定した国際秩序が現れるというのは、幻想であった。
東西の二項対立図式が崩壊した後、世界は19世紀末から20世紀初めの帝國主義の時代が再来した。ここでいう帝國主義とは、「商品の輸出」のみではなく、「資本の輸出」が主流となった資本主義である。各国が自らの利害・関心を提示して折り合いをつける勢力均衡外交が行われるようになったと、それ故に各国独自のインテリジェンスが必要であるという論である。
特に「ビジネスとしての自爆テロ」は考えさせられた。
高騰するオイル価格が、自爆テロをした人の遺族の生活保障を支えている現実・・・。
産業もない地域の人々の、「命を懸けたビジネス」となっている現実・・・。
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佐藤さんがフジサンケイ ビジネスアイの掲載記事を集約した書です。
国際情勢のことが掲載されており、記事の振り返りやキーワード解説も付加されていて、ちょっとした教科書の様な構成です。 -
なぜか 最近は 佐藤優にはまっている。
ふしぎと おもしろいのだ。
佐藤優の とんがり方が。
外務省に ケンカを売っているのが
ドンキホーテのようで おもしろい。
だったら、国会議員になって 外務省をたたけばいいと思う。
その方が 負け犬の遠吠え にならない。
インテリジェンスという言葉の重みを知らなかった。
確かに 情報 と訳していたが
どうも、国家におけるインテリジェンスは 違うようだ。
視点・視座を変えてみる
というのは、必要だなと思う。
当事者 と 客観的な見方。
この二つは 重要だ。
そのことで、情報に 立体感が出る。
ロシア、イスラエル、北朝鮮。
その切り口が 斬新で たしかに 地球を 全部見ることが
できていないことを 痛感した。 -
外交官の分析は興味深い。
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ロシア、北朝鮮、中東。
これらを中心に世界のつながりが暴かれていく
すべてがつながっている、その裏には、「情報」という戦いがある
激動の中でどのように国の地位を確立するのか。
新聞でよく目にする条約、議定書の意義がわかる -
答えは全てここにある!
尖閣諸島問題、北方領土問題。
外交力の浮沈はこの人から学べ。全てはそこから解決の糸口に繋がる。 -
インテリジェンス(情報)のお話
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3月5日読了。佐藤優氏がフジサンケイ ビジネスアイに週刊連載した、日本/ロシアの外交情勢を中心としたインテリジェンスに関するコラムをまとめ、単行本化時のコメントと語句の解説を付与したもの。外交の場で出されるコメントに込められた「シグナル」の読み解き方と、それを読み解けない日本の外務省のダメダメさ。後半部では主に北朝鮮の戦略とそれへの対応について述べられる。単行本発売が2007年、内容も小泉~安倍総理時代の話なので最新とも言えないが古典として突き放してみることもできない、中途半端な鮮度な気もする。(これは筆者のせいではないが・・・)各国がゲームのルールに従ったやり方で国益を追求することが、地球の益につながるのだろうか。