決断力 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047100084

感想・レビュー・書評

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  • 読了。内容は少し物足りなさを感じたが、私の謙虚さが足りないせいでもある。
    仕事や私生活などにも活きることが書かれている。

    将棋ってかっこええやん......

    将棋ルールは知っている。小学生の頃は、名ばかりの将棋クラブに、1年間だけ所属していた。全くのド素人で、NHKで放送されてる将棋を見続ける気力もない私だ。
    そんな私だが、若いころから、羽生さんに妙な憧れや、尊敬の念がある。

    「才能とは、継続できる情熱である」
    まさに、この言葉に集約されている。

    本書では、プロ棋士として将棋への向き合い方を通して、羽生さん自身の考え方が述べられている。変化していくことへの、前向きな姿勢などは、とても真似できそうもないが、見習うべき姿そのものだ。
    欠点は、長所となり得るという部分は、使い古された言葉ではあるのだが、羽生さんが言うとやはり考えさせられる。言葉ではなく自身で感じなければ本当の意味は理解できないだろう。それはやはり実践から得る以外にない。
    研究を重ね、感覚を磨き、知識を知恵に変えることで大局観が出来上がっていく。
    その積み重ねが、ここぞという場面で決断を下す為の役割を果たす。
    又、他のプロ棋士の話もよく出てくる。多くの棋士を尊敬し、学ぶべき相手であると、書かれている。当然のことの様に感じられるが、実践できるのはごくわずかであろう。勝負の世界なのだから。

    最後に、将棋のグローバル化を望んでいるとの話も出てきた。相撲や柔道に見られるグローバル化は将棋をより深いものにする為に必要だろう。
    又、日本人が誇る、知恵や文化を世界に示すこともできると書かれている。

    ※2020年現在もプロとして活躍されているし、何よりまだ49歳なんだ!と驚いた。

  • しばらく羽生さんブームが続きます。

    次に何を読もうかな、羽生さんが書いた本がいいなと思い『決断力』と『大局観』のセットを購入。
    昨日読んだ本のように、危うい羽生さんは見られないのが残念。

    将棋は日進月歩の世界だから、同じ所に留まっていること、すなわち成長を止めることが自分の身を危うくする。

    経験が、見えるものを助けることもあるけれど、経験がまた迷いや心配、恐怖を生むこともあって、必ずしも正しい判断に繋がるわけではない。

    この二つの言葉を、結構噛み締めてしまう。
    成長し続けることは大切だろうけど、でも、人間そう前進ばかりしていられるわけじゃない。
    けれど立ち止まれば、それだけ不利になると分かっている、そんな世界で新しい局面を追究し続けることの、凄さよ……。

    経験知の話についても然り。
    そこが若手との差になるはずだけど、それがあることで邪魔をする時もある。

    でも、そんな人間の姿が面白くて、そこを含めて見ていきたいという羽生さんは格好いい。
    そして、そんな人間が向き合う場としての将棋も、やっぱりいいなと思うのです。

  • 自己啓発、ビジネス書を読まれている方には「読んだ事ある内容だな」と、思われるかもしれません。言い換えれば、自己啓発系の書籍としても参考になります。

    失敗を恐れず、挑戦を続ける事。努力を続ける事。その場の流れに乗る事。
    孫子兵法でもたしか、最高の兵法は無形、水の如しと説いていたような覚えがありますが、流れを読みつつ適した判断をするというのが、勝負の世界では共通なのですね。

  • 大事なのは
    ・決断とリストはワンセット
    ・欠点は裏返すと長所でもある
    ・早い段階で定跡や前例から離れる
    ・直感の七割は正しい
    ・事前研究が三、四割っを占める
    ・ミスには面白い法則がある
    ことです

  • ★欠点は裏返すと長所でもある
    →不利な状況を喜べる人間と、喜べない人間
    ★決断は強くても前に進もうと言う勇気が試される
    ★才能とは、同じ情熱、気力、モチベーションを持続することである

  • 将棋AIが台頭する前に書かれた書籍かと思われるが、将棋を通して身近な生活の考え方に役立つ体験が書かれていました。

  • 自分の決断力や判断力のなさ、切り替えの悪さに嫌気がさして読む。当たり前だけど、決断力は一朝一夕では身につかない。羽生さんは常に学び続けているからこそ強い決断ができる、将棋の筋を読むことができる…、才能とは持続させることができる力、努力せねば、と思った。

  • 菓子屋のせがれだったころ、
    工場長の西原さんという人が、将棋を教えてくれた。
    それで、仕事が終わると、毎日教えてもらった。
    ところが、いつも、私が負ける。
    くやしくて、よく泣いたものだった。
    しかし、勝てないことで将棋というモノの意味を教えてくれた
    ような気がする。

    羽生善治は、言葉が選りすぐられ、全くアーティストだ。
    なにか、ゾクゾクした。

    「人間にはふた通りあると思っている。
     不利な状況を喜べる人間と、喜べない人間だ。」

    たしかに、うまく行っている人でも、不利な状況になるときがある。
    それをどう切り抜けるかであり、
    ずっと、不利な状況にあるときもある。
    その状況の中で、知恵を出して突破していく人。
    つまり、いまの状態で言えば、知恵が出し切れていないから故に
    不利な状況をかえることができない。
    いうならば、そういう状況を楽しみ、突破していくものだけが、
    次の新しい不利な状況を作り出すことができるのかもしれない。

    羽生さんは言う
    「未知の世界に踏み込み、自分で考え、
     新しいルートを探し求める気迫こそ
     未来を切り開く力になる。」

    勝負師として持続するには、あくまでもその強い意志なんだろうね。

    「自分がさした瞬間には、自分の力は消えて、他力になってしまう。
     そうなったら、自分ではもうどうすることもできない。
     相手の選択に「自由にしてください」と身を委ねることになる。」

    これは、将棋だけではない。
    ビジネスの分野も同じことがいえる。
    メールなどを送るときに、一体どんな返事を期待するのか?
    そして、自分の考えているような返事がくるのか。
    全く、見えない表情の中で、やりとりするときに、
    相手の行間を読み、ビジネスをすすめていく。
    相手の自由にしてもらう余裕が、
    ないと、自分で結論づけてしまうことがある。
    そういうときは、広がりがなくなる。

    「大山康晴先生は、『相手に手をわたす』のが上手で、・・・」
    ということが、この厳しいつばぜり合いの中で、
    相手のチカラをもかりて闘う。
    ふーむ。奥行きがあるし、その静かな語り口には、
    相手を圧倒するモノさえある・・。

    「じっと見ていてもすぐには何も変わりません。
     しかし、間違いなく腐ります。どうしてか?
     時の経過が状況を変えてしまうからです。
     だからいまは最高だけど、それは今の時点であって、
     今はすでに過去なのです。」

    瞬間瞬間に変わっていく状況。
    将棋のおかれているのは、1手づつしか変わらないが、
    刻々と変化していく中で、つねに最善を尽くす。
    流れを読みながら、空気をつかみながら、
    とぎすました眼で見ていくことの大切さを痛感させる。

    「全体を判断する目とは、大局観である。
     一つの場面で、今はどういう状況で、
     これから先どうしたらいいのか、そういう状況判断ができる力だ。
     本質を見抜く力といってもいい。
     その思考の基礎になるのが、勘つまり直感力だ。
     直感力の元になるのは感性である。
     ・・・・
     ぎりぎりの勝負で力を発揮できる決め手は、
     この大局観と感性のバランス。」

    そういう中で、決断していく。

    これは、毎日の営々たる努力だろう。
    同じように24時間を生きて、ここまで透徹した考えを持つこと
    このことに、妙に心うたれるモノがあった。

    将棋という日本の伝統的なゲームをここまで読み込んでいく
    そして、楽しんでいる姿は、痛快をこえている。
    今の新しい状況・・・コンピュータでの解析、情報が瞬時に伝わり、
    分析される・・・定跡さえ体系化され、次の局面の1手の理由も
    ハッキリしはじめたという。
    そうであるが故に、自分の直感を信じ、自分で考えることを
    続けることが、今を勝ち抜く姿勢なんだろう。
    実に充実した本でした。
    自分で考えることの意味を教えてくれる。

  • 昔羽生先生はこういうことを考えてたんだなーという歴史書みたいな感じだった
    今はAIの発展や藤井聡太先生の活躍で時代が変わったなぁとつくづく思う

    何人か森内先生や大山先生、加藤先生など棋士の話が出てくるが、羽生先生はそんなふうに捉えてるんだなーというのが貴重

    特に森内先生と佐藤先生は羽生先生にとってライバルというより仲間というのは、なるほどなと思った

    森内先生はYouTubeで羽生先生のことをライバルと言っては畏れ多いと言っていて、
    お互いにお互いを高め合う素晴らしい関係性だなと思った

  • なるほど凄いわ~
    とは思うけど、自分に当てはまらないあんまりピンとこないのは
    私の生活には決断しなければならない局面がすごい少ない
    あるいは
    さっぱり決断できんので見送ってしまっている
    または
    決断力が必要な勝負人生を送っていない
    ってことなんでしょうかね
    安穏と暮らしています、ちなみに
    将棋は全く(駒の並べかたすらも)知りませんスイマセン。

著者プロフィール

1970年9月27日、埼玉県所沢市生まれ。1982年、関東奨励会に6級で入会。1985年12月、プロ四段に。1989年、19歳で竜王獲得。これが初タイトルとなる。以降、数々のタイトルを獲得。1996年には、当時の七大タイトル(竜王・名人・棋聖・王位・王座・棋王・王将)全冠独占の快挙を成し遂げる。2017年に、八大タイトル戦のうち永世称号の制度を設けている7タイトル戦すべてで資格を得る、史上初の「永世七冠」を達成した。タイトル獲得は通算99期、棋戦優勝45 回(ともに2022 年6月時点)。主な表彰として、2007 年特別将棋栄誉賞(通算1000 勝達成)、2018 年国民栄誉賞、同年紫綬褒章。さらに2022年、史上初の通算1500勝を達成し、特別将棋栄誉敢闘賞を受賞。将棋大賞は最優秀棋士賞など多数受賞。

「2022年 『改訂版 羽生善治のこども将棋入門 中盤の戦い方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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