こころの格差社会: ぬけがけと嫉妬の現代日本人 (角川oneテーマ21 A 51)
- KADOKAWA (2006年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047100435
感想・レビュー・書評
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何故日本人は幸せ感/満足感を持続できないのか?それは人間は獲得したものにすぐ慣れてしまう生き物であるからである。また、日本人には努力家が多いからである。もっとキャリアアップを!もっと社会的地位を!もっと仕事を!これではキリがないではないか。。。と言うのが筆者の考えである。
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個人的には、このタイトルとサブタイトルにある「ぬけがけと嫉妬の現代日本人」はいまひとつ内容と一致していないと思うのだが、仕事って何?、自己実現って何?という問いに対する考え方を見せてくれるような内容だ。
自分は常に、より良い仕事、責任のある仕事、面白いと思える案件と達成感、そして見返りとしての処遇、周囲からの賞賛、について自分を奮い立たせて来たと思う。時にストレスも抱えたし、自分の時間や家族との時間を犠牲にしてきたこともあった。しかし、運や周囲の協力のおかげもあって、そうした過ごし方を続けられたと思う。
海原さんはこのことを「外的用件」と定義し、それを追い続けることのゆううつさ、満ち足りることの難しさを説いている。
僕もその意見の意味が今は分かる。そして、自分の生き方はこれまで追い求めてきた何かを追い続けることではない、とも思い始めている。
例を挙げると、よりよい何かを求めても、さらに次のよりよい何かを求めてしまって、決して満ち足りることがない。自分は何かをしていないと落ち着かない。そして、その何かとは何らかの形で仕事と結びついている。ストレスのはけ口は、アドレナリンを刺激するような刹那的な趣味や時間であって、暇つぶしや気晴らしの域を出ていない、などなど。
そう書くと、今までの生き方が無意味だったようにも響くが、決してそうでもない。追い求めるというフォーマットが浸透した世の中でさえ、社会的にある一定の経験を積んだからこそ、次のステップに進む準備が出来ていく、とも海原さんは言っている。そうした経験により、その次に必要となるコミュニケーション力や、次のステップの持つ価値観を受け入れることができる、ということだろう。
参考(ボクのブログ):http://d.hatena.ne.jp/ninja_hattorikun/20090416 -
格差が広がる世の中、勝ち組は自分自身の努力の結果だと思いこみ、恵まれていた部分の「透明な底上げ」が見えないという。
そのために、恵まれなかった人との間にコミュニケーション不全が起こる。
結果が出なかった人はそれだけ努力しなかったからだと思うのだ。
アメリカでは国全体がそう思う傾向があり、自分もいつかは金持ちになれると思っているという指摘が面白い。
一方、負け組は、勝ち組の運の良さをうらやみ時にはねたむが、自分で「見えない天井」を決めてしまっていることがある…
それは子どもの頃から言われてきたことに縛られて、やる前にあきらめているせいもあるとか。
心が満たされるのには何が必要か。
まずは生きて行くに必要な食べ物、安心感、愛情といったものから社会的承認、そして40過ぎたら内面的な充実感へと成長していくもの。
生きるために働くうちに人間関係の基礎が身に付くはずが、生まれたときから食べる心配がない子どもの置かれた環境が引きこもりの一因。
日本人が何気なく身につけていた自然との一体感が失われたことなど、うなずける指摘も多い。
うつになる人は、してはいけないという気持ちが強い場合もある。
本当になりたい自分になるには、外の価値観に縛られずに内側を見つめること。それは勝ち負けではない。
世の中の移り変わりを示す具体的な資料が多く、わかりやすい。
2006年発行。
作者は1976年慈恵医大卒の医学博士。クリニック経営、大学教授、ライブ活動も。 -
女医さんが書かれた「格差社会」の本です。眼鱗本です。
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【目的】
【引用】
【感じたこと】
【学んだこと】
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たのまれ本
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本当の「自分らしさ」、「自己実現」とは何かを語る本