スパークする思考 右脳発想の独創力 (角川oneテーマ21 C 158)

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  • 角川グループパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047101678

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  •  知人から借りて読む

     ボストンコンサルティンググループ(BCG)の元日本代表で、現在は早稲田大学のビジネススクールで教授をやっている内田和成さんの著書
     2006年には米誌にて「世界の有力コンサルタント25人」に選ばれていたらしい

     
     名前がなんとなく気になったのだが、結構面白かった

     発想力を鍛えるための思考法について語った本なのだが、まずは目次を羅列する


    はじめに 「日常を仕事に持ち込むだけで、発想力は向上する」
    第一章 「問題意識がスパークを生む」
    第二章 「アナログ発想で情報を集める」
    第三章 「情報は放っておいて熟成させる」
    第四章 「アイデアを生み育てるアナログ思考」
    第五章 「創造力を高める右脳発想」
    エピローグ 「生活者視点があなたをクリエイティブにする」


     見ての通り、キーワードは「日常生活」と「アナログ」である

     「このデジタル時代に一体何を」と思うかもしれないが、まずは読んでみることをオススメしたい
     
     さすがコンサルタントだけあって説得力のある語り口なのである



     
     では、一つずつ見ていこう

     まず「はじめに」と第一章は、本書の書名にも入っている「スパーク」について実例を上げて説明している
     
     通常、コンサルタントとして必要とされるロジカルシンキングやデータ分析力は、「発想力」という観点から見て否定している
     「発想というものはロジックやデータ分析からは生まれない」と言っているのだ
     
     では、どうやって「発想」が生まれるのか
     著者は「思考のスパーク」によって生まれると言っている

     そして、「思考のスパーク」は「頭の中に情報を蓄え熟成させること」が必要だとも言っている
     
     しかし、ただ情報を蓄えるといことうだけではない

     「思考をスパークさせる」には、「問題意識」が必要だとも言っている

     

     
     ここまでが「はじめに」と第一章で、次の第二章と第三章では、具体的にどうやって「情報を蓄えるのか」、そしてどうやって「情報を熟成させるのか」について述べている


     第二章では「情報の蓄え方」である

     端的に言えば「アナログ思考」をすることである
     言いかえれば「データベースを作るな」ということだ

     一生懸命情報を集めて整理して覚えていこうとすると、結局、その事自体の負荷が高くなってしまい、肝心の情報の活用にまでエネルギーが回らない

     それを防ぐために必要なことが「アナログ思考」だというのだ

     どういうことかというと、インターネットの「検索」やメディアによる二次情報ではなく、例えば、インタビューを行ったり、日々の生活を「問題意識」を持って過ごしたことで得た「一次情報」が重要であるということである

     ここで重要なのが、「問題意識」を持つということだ

     この「問題意識」(「興味」と言い換えても良いが)を持つことで、日々得ている情報が、「問題意識」を中心に構成される

     整理もせず、覚えようともしないので、もちろん、忘れることも多いが、重要だとその時思ったことなら、メモを取るだろうし、そうでなければ、忘れたことは重要ではないことなのだ



     第三章は「情報の熟成法」を述べている

     情報で「熟成」と言うと不思議な組み合わせかもしれないが、これは、時間を置くことで、余計なことは忘れ去られ、また、他の知識との結びつきも得やすくなる
     つまり、「スパークしやすくなる」のだ

     この「熟成の仕方」は具体的には、頭の中に引き出し(=PCで言うフォルダ)を作ることで、この引き出しのブラッシュアップ方法も紹介している



     第四章は、これまでの話を一旦まとめて、アナログとデジタルの役割を分かりやすく図示し、その上で、発想においてアナログがデジタルに勝る理由を述べている

     アナログとデジタルは言葉の意味だけを述べれば「連続」か「非連続」かという違いになる

     これを情報に応用するとどうなるか

     デジタルは一つ一つの大きな情報が独立(非連続)し、その下にロジックツリーのように体系化されるという特徴を持つが、
     アナログは、それら大きな情報も小さな情報も全て並列にクモの巣状につながっている(連続)

     ここで「スパーク」という言葉に話はつながる

     「スパーク」というのは一見関係の無いような情報のそれぞれがつながりあって新しい発想が生まれるということだが、これはアナログでなければ生まれないのだ(生まれにくい程度かも)


     第四章では、このスパークを起こすための方法も述べられている

     人と話すこと、頭の中で検索すること、頭の中の引き出しに題名をつけること、集めた情報を俯瞰することなどだ

     


     第五章は、このスパークの仕方をさらに詳しく述べている

     第四章の延長線ではあるが、この第五章からエピローグにかけて、著者の発想法のもう一つのキーワードが出てくる

     それは「公私混同」である

     もちろん悪い意味ではない
     クリエイティブな発想をするためには、そこに至るまでに無数のアイデアを出さなければならない
     無数のアイデアを出すためには、普段(=私)から仕事(=公)に関わるような、かといって肩ひじ張らない程度に、問題意識を持ち続けることが重要だと言っているのだ

     
     これは「公私混同」とは言っていないが、「はじめに」からずっと著者が言っていることでもある


     クリエイティブな発想というのはそんな簡単に身に着くものではないということだ
     
     


     最後に、本書に書かれている方法論は、コンサルタントとしての長年の経験と訓練による確かな判断能力と思考能力があってこそのものだと思う

     バックグラウンドとなる知識と思考法がある程度身についていないと精度が上がらない方法だと思うのだ

     本書ではちょっとずつ練習していくことが大事だとも言っているが、まずは、ある程度の前提知識を一つの分野で得なければこの方法論は使えないと思うのだ

     本書のやり方は確かに興味深いが、まずは情報をシャワーのように浴び、情報量を蓄えることが重要だと思った

  • [ 内容 ]
    情報の整理は無駄な努力。
    革新的アイデアは記憶の連鎖から生まれる。

    [ 目次 ]
    はじめに 日常を仕事に持ち込むだけで、発想力は向上する
    第1章 問題意識がスパークを生む
    第2章 アナログ発想で情報を集める
    第3章 情報は放っておいて熟成させる
    第4章 アイデアを生み育てるアナログ思考
    第5章 創造力を高める右脳発想
    エピローグ 生活者視点があなたをクリエイティブにする

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 芸人がなぜトーク番組であれだけ上手く話せるのかということにもつながる。
    芸人は普段から面白いタイトルと共に、頭の中にファイリングしているのだと考えた。
    その日のトークテーマに合わせいくつかの話を準備しているのだろう。

    日常の何気ない一場面を話しているのに面白い。何も特別な本、特別な体験、だけでなく、日常にいくらでもヒントがある。

    あいつに聞いてみよう。と思わせる人材。

    オープンマインドで世の中に身を置く。
    自分の興味の赴くままに行動する。
    気になったことがあったら「何故?」と考えてみる。
    その結果にタグをつけ頭の中、またはリアルの世界で整理しておく。
    20×20の引き出しとする。

    考える⇒書き出す⇒人と会う⇒現場に行くということを繰り返す。

  • 情報は覚えない。頭に「インデクシング」するだけでよい。意味のある情報なら、無意識のアンテナによっていつか触れることになる。

    頭の中に自分の興味ごとにフォルダを作る。そのフォルダに、良質なネタを仕込んでおき、必要に応じて引き出せるようにしておく。

    何かいいことを思いついたら、必ず誰かにそれを試そう。率直な意見をもらえる人なら尚よし。

    議論の喧嘩をしよう。

  • 日々無意識のうちにやってる事が多いと感じたが、この本を読んだことによって”問題意識”にレ点チェックを打てた。

  • 情報は検索したり、整理したり、覚えるのではなく、記憶の連鎖の中でひらめきに変えてゆくものであり、日頃から問題意識を持つことで情報を呼び込めるとしている。セレンディピティみたいなことを言いたいのかな?上手く情報を呼び込み、いい発想や提案のできる人の方が(会社の目的を達成できるから)出世できるので、作業のためのスキル取得に埋没しないようにという警告も有り。

  • 仕事 : 目的を成し遂げること。
    作業 : その仕事を成し遂げる為に必要な手段のこと。

    「仕事ができる」とは目的を成し遂げることができることを指す。

    目的を成し遂げる為の発想、企画を生み出すには、思考の「スパーク」が必要である。思考をスパークさせる為のPointを6つ。

    1:常に問題意識を持って、興味をもった事柄にはindexを貼る。

    問題意識を持って、興味を持って現象に出会い、情報として収集する。問題意識から新たな発想は生まれる。

    2:アナログにこだわる。

    (1)検索すれば誰にでも手に入る情報
    (2)(1)に自分の経験や考察を加えたもの
    (3)自分が直接現場で手に入れた、自分しか知らない情報
    ⇒(3)の1次情報がにこそ価値がある。

    3:情報は集めない。整理しない。覚えない。

    問題意識というフィルターを通して、自然に情報を選り分ける。思い出せない情報は大して重要ではない。必要なものだけに頭の中で印をつける。

    4:情報は放っておいて熟成させる。

    「私の頭の中の仮想データベース」(=問題意識・indexの引き出し)を準備し、整理しないで格納し、熟成させる。

    5:発想では右脳的思考を解放する。

    発想においては右脳と左脳を連携させる。
    (1)読んでいてひらめく。
    (2)人の話から頂戴する。
    (3)他人との対話の中からひらめく。
    (4)「私の頭の中の仮想データベース」をひっかき回す。

    6:行き詰まったら、書く、喋る、歩き回る。

    どんな些細な事でもとにかく書いてみる。視点を変えて繰り返してみる。

    失敗から学び、経験から仮説を構築し自由に発想をする、という私生活では当たり前にできていることが、仕事になると途端にできなくなる場合が多い。仕事でも同様に自由でクリエイティブな発想・企画ができれば、イチ社会人として一人前になったと言えるようになるかも。。

    先ずは手始めに「私の頭の中の仮想データベース」を可視化するところからやってみたいと思います。

  • ビジネスコンサルタントの内田氏の本。2008年。ロジカル思考が大切なのは当然として、それ以上に、アナログ的な思考が重要だと説いている。脳の中でひらめく何かを大切にすると、そこからいろいろなものが生まれる。ビジネスには新規に開発する項目が多くある為、そういったひらめきが非常に重要になる。そのためには、常に頭の中に20くらいのネタを用意しておき、目の前の現象が20のネタのどれとマッチするかを考えることが必要で、かつ、考え続けることが必要である。すべての事柄に納得するのだが、ポイントが若干多すぎる感あり。

  • ロジカルな左脳思考とひらめきの右脳思考のバランスが大事というところは共感できたし、参考になる箇所もいくつかあったし、挿話に(「峠の豚」など)結構使えるものがあった。

  • 内田和成氏が自身のアイディア発想術を紹介。
    問題意識、好奇心をもつことでさまざまな情報が脳に蓄積され、データベース化する。新たな問題意識と蓄積された情報がつながる。そこから新しいアイディアが生み出される。

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著者プロフィール

早稲田大学名誉教授。東京大学工学部卒業後、日本航空入社。在職中に慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。その後、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)入社。同社のパートナー、シニア・ヴァイス・プレジデントを経て、2000 年から2004年までBCG日本代表を務める。
この間ハイテク、情報通信サービス、自動車業界を中心にマーケティング戦略、新規事業戦略、グローバル戦略の策定、実行支援を数多く経験。2006年度には「世界の有力コンサルタント、トップ25人」に選出。
2006年、早稲田大学教授に就任。早稲田大学ビジネススクールでは競争戦略やリーダーシップを教えるかたわら、エグゼクティブプログラムに力を入れる。早稲田会議創設。早稲田大学ビジネススクールと日本経済新聞のコラボレーション企画『MBAエッセンシャルズ』創設。
著書に『仮説思考』『論点思考』『右脳思考』『イノベーションの競争戦略』(以上、東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』『ゲームチェンジャーの競争戦略』『リーダーの戦い方』(日本経済新聞出版)、『意思決定入門』(日経BP)など多数。

「2023年 『アウトプット思考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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