- Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047915237
感想・レビュー・書評
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隔離された部屋で目覚める8人の男女。
個人情報は検閲され、言葉遣いと知識だけで推しはかるしかない。
現実にいるのかもしれないが、触れ合える?のがチャットないだけというのが面白い。バーチャルリアリティ?虚実入り混じるというより、実は何を持ってそう定義するかと認識するかの差異が面白さを作っている気がする。
後半に手でくる猫の猫を作る魔術師のくだりも好き。魔術師は粘土から猫を創り、黙考し自分に祈る間に壁に叩きつける。自由意志と強制の話は先に出てきたのに、これが現実ではないことに抵抗を重ねる。
雑音がない方がより鋭く考えられるのか。この作品を読む限りでは否である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白かった。ヴァーチャルリアリティに関しての視線や選択の誘導についてのくだりや、ディスクールについてのくだりが特に好き。
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「それはもしかしたら、単に蛸なのでは?」
『iPhuck 10』が難解ながらも面白かったのでそのままの勢いで読んだ。
しかし、やはりこれもかなり難解……。巻末の解説によると短編と長編でかなり味の変わる作家らしい。短編は好きなのだけれども、長編はなかなか自分にはハードルが高いのだなと分かった(『オモン・ラー』はとても良かったんだけど……)。しかし難解ながらもこの苦味が癖になってしまっているので、これからも色々と読んでいこうと思います。 -
図書館で。
新・世界の神話シリーズ。アリアドネの糸がスレッドとなってチャット形式になってるのは面白い発想。なんて言うのか実験小説みたい。
それにしても博識だなぁ~とか思いながら読みました。小人の説明とか難しすぎる。私だったらきっと理解できなくてなんか言ってたなぁぐらいしか他の人に伝えれらないだろうな… -
ソリッドスリラーのシチュエーション、ギミックミステリの手法で描かれる幻想と哲学。ばり難しいことを書いていながら分かりやすく先が気になる面白さ。物語の終わりと共に読者自身は迷宮から解放されたと解釈したが、逆に作者の補注によって迷宮に囚われたのかもしれない。
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ペレーヴィン、決定的に「好きじゃない」って思うようになった一冊。おもしろくなかった。
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3.5
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ミノタウロスの迷宮をおもわせる空間に閉じ込められた男女8人。互いの部屋は行き来ができず、唯一可能なのは室内に設置されたPCのチャットでの話し合い、しかしどうやら個人情報は検閲されている。各々に付けられていたハンドルネーム以外は匿名のまま、この奇妙な状況をさぐろうとする面々だが。
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「チャット」「閉鎖空間」「ミノタウロス神話」というキーワードから、謎を解明しつつの派手な脱出劇をなんとなく想像していましたが、当のかれらは脱出に対してはさして積極的ではなく、不味い食事にぶーたれながら「この空間はなにか」「ミノタウロスはどこか」「迷宮とはなにか」「テセウスとは」等々やけにメタな議論をあーでもないこーでもないと交わすばかり。思弁的な会話の多くに脳内で?が飛びかったものの、ラストのイメージの直球さはそれを悠々補うインパクトあり。 -
くそおもしろい。