断章のグリムXIいばら姫・下 (電撃文庫 こ 6-24)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048679398

作品紹介・あらすじ

「…し…白野さん?雪乃さん!?」真っ黒に焦げたドアと壁と天井。ひっくり返って破壊された棚。床はガラス片の混じった水で水浸し。庭に出されていた田上颯姫は、恐る恐る戻ってきた居間の前で立ち尽くす。床に凄惨な血溜まりと、ずーっと廊下の向こうへと続く人間を引きずったような血の痕が残る、誰もいない返事もない居間の前で-。始まりは『生まれ変わりの子供』の話を真喜多莉緒が母親に話したことだった。異形化した母親と荒んでいく家族関係、そして閉ざされた真喜多邸。雪乃たちを助けにきたはずの蒼衣も隔離され、惨劇は予想以上に拡がっていく。抗える者が減っていく中、雪乃の身体に異変が-。悪夢の幻想新奇譚、第十一幕。

感想・レビュー・書評

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  • 「城の内の者の眠」
    死して苗床にされた者は。
    攻撃をする手段を持つ騎士が一人でも多ければ、殿を務め犠牲になることもなかっただろうな。

    「塔の室の呪の微」
    白く濁った水槽の中から。
    家の中が安全な訳ではないうのに、いくら仕事があるとはいえ単独行動をするのは危険だろう。

    「亡の国の王の務」
    針の持ち主は新たな騎士。
    何も知らないうえに説明も出来ない状態だと言われたら、信用など簡単に出来るわけないよな。

    「茨の壁の死の定」
    ただ狂ってしまった人間。
    大切な家族が次々と亡くなってしまい、どうにか正常を保とうとしても心が限界を迎えるだろ。

    「眠の君の花の刻」
    救世主は死んでたはずの。
    命を狙われ続けていたら、物語のことだけを考えて冷静に配役を見つける事など出来ないだろ。

  • 「異端」になってしまった莉緒の母親が逃げ出し、「葬儀屋」の瀧修司(たき・しゅうじ)の助手を務めていた戸塚可南子(とつか・かなこ)までもが命を落とします。さらに勇路は、なぜか死んだはずの瑞姫とともに行動しており、その秘密を明かそうとしません。そんななか、さまざまなゆがみを抱え込んだ莉緒の家族の亀裂が大きくなり、彼らのなかから泡禍にも劣らないほどの凶悪な行為に手を染める人物が出てしまいます。

    泡禍によって引き起こされる非現実的なグロテスクな描写以上に、ふつうの人間によっておこなわれる残酷な行為の描写が執拗につづき、少々ぐったりしてしまいました。

  • 生理的な嫌悪感と恐怖、グロテスクな描写は抜群の安定感。『金の卵をうむめんどり』から思っていたけど、家族なのに伝わらない・家族だから通じないことへの怒り・恐怖・絶望感もまた素晴らしい。読んでいて莉緒と一緒に絶望したり苛立ったりする。
    勇路は前回登場時には我を通して終始邪魔をしていたイメージだったので、騎士としての責任を果たそうとしたり耀の背中を押したり成長していて安堵した。
    葬儀屋のことなど色々気になるけど、手に入りにくいのが難点。

  • 閉じ込められ、唯一の攻撃力は気絶中。
    今、何が出来るのか。

    ひょっこり現れたのは、久しぶりな人物。
    拠点がない、というのはこういう事か…と。
    それだと、そう横に情報が流れませんし。


    今回の配役もさっぱり分かりませんでしたし
    怪談と同じように殺したのかと思ったら、不注意。
    心の平穏を得るために選択した事は、誰かを歪めてしまう。
    子供に自分の趣味を押しつける、まではよくある話ですが
    自分の考えを押しつけるのはどうなのでしょう?
    母親然り、祖母然り。
    これはもう、やめてくれ! と叫びたくなります。

    そしてまた…想像してはいけない文章オンパレード。
    そして驚きの、けれど納得状態でのご登場。
    という事は、そちらもできるのか、とひとつ謎解決。
    しかし…他のロッジには、言ってない、んですよね、やっぱり。

  • 読んでいて鳥肌がたちました…!グロテスクな描写はこの巻が一番キツかったです私は。
    家族のすれ違いや確執が無ければまた違った物語だったのかなと考えると悲しい。
    個人的に勇路君の立ち位置が報われないというかなんというか…。『勇路は女性に振り回されっぱなしの道具』ってひどい。
    蒼衣君と雪乃さんの関係が最初の頃と僅かに変わりつつあるのかなとも思ったり。甘ったるい関係では決して無いですが。
    あと、後の展開の伏線かな?と思う描写がチラッとあって、続刊読むのが楽しみです。

  • なんつーか、まともな状態じゃない普通の人間のほうが怖いよね。という結論に尽きる展開だったと思う。
    上巻から続いて、下巻の半頃まではあの<効果>の根付いているという生理的嫌悪感というか、痛みというかが嫌な感じだったんですが、それ以降は割と忘れ去れてしまってる感じだったと思う。帯で煽ってるほど危機感を共有していなかったせいか、登場人物間にもあまり浸透してなかったような気がする。

    あとは、あの子たちやあの人達が今後の展開に割と大きく関わってくるんだろうなぁと伏線の香り。

  • 想像を絶する展開に、ただただ仰天。仕込みが上手い! ただ、想像すると、今巻も非常に怖い。

  • 913.6 コ11 登録番号8076
    生徒リクエスト

  • 死なないだろうと思っていた騎士も死に、追い詰められ追い詰められての逆転。彼らが幸せになると神の悪夢と闘えなくなるのだから、最終的にどこに着地するのか、悲劇を跳ね返すことを祈りつつ、最後までつきあいたいと思います。さて、次も下巻が出てから上下巻一気に読まねば。

  • 甲田作品好きすぎて書ききれない!

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著者プロフィール

1977年、岡山生まれ。津山三十人殺しの舞台となった津山市出身。二松学舎大学卒。民俗学および魔術に関して知識を豊富に持ち、『Missing 神隠しの物語』で電撃文庫デビュー。著書に『断章のグリム』『時槻風乃と黒い童話の夜』『夜魔』『ノロワレ』『霊感少女は箱の中』シリーズなど。

「2022年 『Missing13 神降ろしの物語〈下〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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