神は沈黙せず

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048734790

感想・レビュー・書評

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  • 宇宙人はいるのか?
    超能力は存在するのか?
    超常現象は本当にあるのか?
    新興宗教にはまるのは愚かしい。本当に?
    「神」はこの世界に本当に存在するのか。
    存在するのなら、なぜ人と人との争いを、過去幾度にもわたってきた虐殺の歴史を容認するのか?
    善人も悪人もなぜ惨めに死んでいかなくてはならないのか?

    「神」が本当に存在するとするのなら。。。
    「神」の、
    「神」の目的は?

    ……と、いうことで、「SF作家」さんというよりは「と学会会長」と言った方がピンとくる人も多いかもしれない山本弘さんの『神は沈黙せず』です。
    かなり長い、多種多様の話題を盛り込んだハードなSFではありますが一気に読めましたね。
    この小説、現代からはじまる一種のIF歴史ものなのですが、本筋である「神」の正体云々より、一概に絵空事と笑い飛ばせない危うい近未来像の方が面白かったかもしれません。(進化論否定による宗教的対立から内戦におちいるアメリカ、紙屑と化す日本円、マスコミ不信によりネット社会へと急速に傾き淘汰されていく新聞、テレビ局‥‥)
    たとえ、現実世界においても小説内にある様々な「現象」が目の前で起きた時、果たして幾人の人が正気でいられるのか?

    誰もが一度は思ったことのある「神様って本当にいるんだろうか?」という素朴な疑問から紡ぎあげられる超弩級のエンターテイメント。間違いなくおすすめです。

  • 世間に流布した嘘は事実よりも強いことがよおく分かりました。
    さすがと学会会長。

  • なんだか壮大過ぎて…

    面白いんですが、なかなか本筋に入らない。
    やっと入ったと思ったら
    「そうキタかぁァァ!?」みたいな。

    いや、スゴかったデス。

  • しゃべりすぎ!

  • 幼い頃に理不尽な災害で両親を失って以来、家族で信仰していた神に不信感を抱くようになった和久優歌。やがてフリーライターとして活動を始めた彼女はUFOカルトへ潜入取材中、空からボルトの雨が降るという超常現象に遭遇する。しかしこれは、「神」の意図をめぐる世界的混乱の序章に過ぎなかった―――――空想科学本。この本を読んで真に受ける人はいないと思う。自分も真には受けていません。でも、じゃあこの本のどこまでが実でどこからが虚なのかと聞かれたら困っちゃいます。。。無知で恥ずかしい。。。読んでるときはへえ〜と言いながらペラペラめくって読んでました(ダブル読み)。

  • かなり面白いSFです。神に関する永遠のテーマについて取り組んだ話です。ぞっとするような考え方でもありますが、とても面白いと思いました。

  • 「と学会」会長山本弘が書いたSF作品。
    分厚いし2段組で手に取るまでが勇気が要ったけれど、読み始めると早かった。舞台はすごく近くの未来。超常現象に関するところは、あり得ないよ、と断じてしまいそうだが、社会に関する記述は何だか読んでて寒気がしてきた。ネットでは情報が飛び交い、電子マネーの普及により円の価値が暴落。
    いろんな読み方のできる本だと思う。

  • この世界は「神」が行うシュミレーションなのではないか。
    様々な考えからこのような結論に至った数人が、奇妙な事件に巻き込まれつつ世界の本質に近づいていく・・・

    設定は物凄く面白いし、結論にも満足できるだけの説得力があります。
    ですが、幽霊やUFO、ポルターガイストなどの超常現象に対して、少しでも信じている人でないと心から面白いとは言えないと思います。
    超常現象などを体験したことが無いし、全く信じていない僕には、途中から「ありえないな」と思ってしまうシーンが多く、冷めた考えで読んでしまったトコロも多くあります。
    それでもこの小説を面白く読めたのは、作者の豊富な知識と資料、巧みな文章力があったからではないかと思います。

    SFとしてもかなりの面白さがあったと思います。
    この物語は現在より少し前から始まります。
    そして物語の中心は近未来であり、その近未来に対する予想に現実味があり、技術や社会的な情勢など本当に良く考えられていて、その辺りには全く違和感無く読むことが出来ました。

    今現在、宗教などにはまっていない人は、この本を読むことで宗教に対する考え方が変わると思います。

  • 「○○史観」とか「××論」を主張するのは結構だが、mまず事実を正しく見つめていただきたい、ということです。虚構の上に「論」を展開したり、自分好みの「史観」にあわせて史実をねじ曲げるなどという行為は、本末転倒もいいところです。歴史とはそんな都合のいいものじゃないでしょう

  • ものすごい量の超常現象・UFO・超能力・ファフロニツキーに関する記述はまさに圧巻。ここまで色々と理屈っぽくやられると、何処から何処までか現実で何処からが虚構なのかわからなくなってくる。とりあえず気になった「ウェッブの網目」と「パイオニア減速問題」を調べてみた。ウェッブの網目とは、ハッブル宇宙望遠鏡以上の解像度を持つ望遠鏡で太陽系以外を撮影すると、網目のようなムラが現れてしまうという現象だ。パイオニア減速問題とは、太陽系外に飛び出したパイオニア10号11号ヴォイジャー1号2号が計算に反し徐々に減速している問題で、この減速問題のほうは現実の問題だったようだ。

    一方でウェッブの網目は完全なるフィクション。思わず騙されそうになってしまったではないか。まあ、こういうふうに面白いように騙してくれるのがハードSFの醍醐味でもあるわけだが。

    テーマもなかなか重厚で好い。神は存在するのか。なぜ悪や災害を容認しているのか。我々は神にとってどのような存在なのか。宗教は信じないが、神(というか人類より上位に位置する者)の存在は信じてもいいと思っている私にとって、非常に興味ある内容であった。

    物語の舞台である10年代(2010~)、ネットはとてつもない影響力を持つにいたった。そこに存在する情報の大半は、捏造され故意にゆがめられたものにもかかわらず。ネットに吹き荒れる誹謗中傷の嵐は、気分が悪くなるほど徹底的に個を叩き続ける。そこら辺が妙に現実味を帯びていて、恐ろしい気がする。


    豊富な情報量を消化しつつ読もうとしたら時間がかかって仕方がない本だけど、エンターテイメント性も高く、苦にならずに読めた。

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著者プロフィール

元神戸大学教授

「2023年 『民事訴訟法〔第4版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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