- Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048735735
感想・レビュー・書評
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昭和43年、石川県の金沢市
台風の近付く蒸し暑い粘りつくような空気のある日
旧家の医者宅で三代の同じ誕生日、母の米寿・当主の還暦・長男の誕生日を祝う席が設けられた。
宴の始まる乾杯の酒、ジュースに口をつけた直後、参加していた人々が次々呻き倒れる。
大人11名、子ども6名が死亡。
この家の住人で唯一難を逃れた長女とかろうじて一命を取り留めた通いのお手伝い。
長女は中学一年生。幼い時事故で視力を失った。
事件発生直後 宴を覗きに来た近所の三兄妹、あわてて警察へ知らせに走る。兄は中3、次兄は中2 妹は小5
その小5だった妹が10年後、大学の卒論にこの大量毒殺事件を題材にした。
事件に関わった人たちに取材し、卒論を仕上げる。
完成したそれがひょんなことから本「忘れられた祝祭」として出版されるとこととなった。それはノンフィクションともフィクションとも言明されることなく、犯人も名指しされることはなかった。
日本海の湿気のある重い白黒風景に、紅と白の花、黄色の雨合羽や袈裟、藍色の一輪ざしと土壁。
犯人と目された自殺した青年、事件を担当した刑事、生き残った家政婦とその娘、「忘れられた祝祭」が出版されて一年ほどで自殺した本の著者の次兄、そしてその著者自身が43歳、熱中症で死亡した記事が新聞の片隅に載る。
事件の起こった医者宅にある三つ並んだ丸窓。近所の人はずっとその家を「船の窓の家」「丸窓の家」と呼んでいた。
年月がたちその家を取り壊そうとする一人生き残った海外在住の長女、「丸窓の家」を建築的価値から文化財として残したいと主張する市民グループ。
事件は終わったのか、それとも事件はまだ続いているのか。
舞台は石川県の金沢市
兼六園、犀川、浅野川、
医者から煙草を止められたヘビースモーカーの刑事は代わりに折り鶴を折る。
石川県加賀市に「御菓子城加賀藩」があり、その二階に「日本折鶴博物館」がある。
更に何度も出てくるS字型のベンチ、はてさて何処にあるのだろう。 なんとなく石川県河北郡にある「石川県西田幾多郎記念哲学館」が思い出される。あそこにベンチはあったかなかったか・・・
石川県在住の人が読んだら丸窓も何処にあるかわかるんだろうか
ひねくれ者の感想
御祝いに戴いた酒はすぐに呑まないよ。床の間辺りに祝い物をこれ見よがしに置いて行くのです。
近所中が御祝いの挨拶に来られるのに、お手伝いさんも家族と一緒に乾杯しないでしょ。
なぜ大量殺人事件にしなければならなかったのか、それは一人になりたかったから。
更にマーガレット・ミッチェルが「風と共に去りぬ」一冊しか出版していないと書かれている。そう言われればそうなのかもしれないけれど、もう一冊「ロスト・レイセン」もマーガレット・ミッチェルの名前で発行されている。
はいはい ひねくれ者ですよ
問題はツユクサです。ツユクサの役割はなんだろうなぁ・・・ わからん。
事実と微妙な違いのある卒論の章がこの本の中にいくつ紛れ込んでいるのか・・・ わからん。
読み終わっても ?が頭にたかる。 首をひねってみても解決策はない。
大丈夫 宙ぶらりんでも気にならない鈍感さが身についてる年齢だから。
道に迷いたくなかったら読まないことをお勧めします^^詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
二度読みが伏線と仕掛けがよくわかって面白かった。
うつくしくて上品な、賢い良家のお嬢様。だけど世界を睥睨する。彼女が恩田作品のなかで1番すきです。毒を持っているので。 -
大量毒殺事件と盲目の美少女(しかも病弱)と事件に振り回された人々。
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2010.3.30
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すごかったー
満足 -
これはものすごく読みなおしたかったのです。
しかし期限が来て、今日図書館に返してしまいました ←
読者の読解力というか想像力というか
とにかく読者に委ねられた作品です。
とある町で起こった無差別大量毒殺事件。
語り口調であったりインタビュー形式であったり、あらゆる角度から事件を見るかたちで
物語は進み、
次第に全体像が見えてきます。
途中で犯人はこの人やろうという流れになるんやけど、
それが真実なのか、偽りなのかは不明。
最初「???」だったのが最後「????」になる感じ。うん。
恩田ワールド全開です。
明白な結末を望む人にはおすすめできません!
くまもしっくりこなかったけど、ちょっと不満やけど、読んでいる間始終ざわざわする感じが
好きなので、良かった!ほんとざわざわさせられた!
それにしても恩田陸さんの描く少女はいつも素敵。
もーちょっと日が経ってから読み直したいと思います。 -
美しさを感じるのに、それ以上の奇妙さを含む装丁に惹かれて。
内容は装丁から受ける印象そのまま。
特に風景描写が美しい。 -
図書館で借りる。
恩田陸の本は、
2冊目だが、
これはすごい!と思った。
完成された、
緻密な物語世界。
精神・知的障害者の
物語上での扱いには、
疑問を感じる面もあるが、
読む価値のある1冊。
恩田陸、
他の作品も
読みたくなった。 -
2006年8月3日読了。
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犯人が分かるようで分からない。解釈は本当に読者に任されているのか、それとも著者は特定のある人を想定しているのか。
読み進めると止まらなくなる。次の展開が気になる。なのに最後に残るのはもやもやとした感じ。いろんなことを妄想して楽しめる本だが好き嫌いが分かれそう。個人的には面白かった。