- Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048737005
感想・レビュー・書評
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文体が独特のリズムを持っていて、読んでいて楽しい。
言葉選びも、主人公の名前「七竈」からして独特。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
わたし、川村七竃十七歳はたいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった。(本文より)
この冒頭の一文からすっかり引き込まれた。
繊細で美しくて尊い文章。 -
ある朝とつぜんに思った。辻斬りのように男遊びがしたい、こころのかたちを変えてしまいたい。
ひどいことをしなくては生きていかれない気がした。『感じのいい若い女』という自分のぼんやりとした輪郭を壊してしまいたかった。
そして物語はその娘へと続いてゆく…。
数ページ読んだ時点で引き込まれました。桜庭さんならではの空気。絶望的に切ないです。
男狂いの母と、美しく生まれてしまったために肩身の狭い少女時代を余儀なくされる娘。
序章のあとは娘の長編かと思いきや、幾つもの小さな物語が折り重なるように収録されています
誰もかれもが“可愛そう”で…。普通の「切ない」とは少し違うけど、すごく良かったです。 -
田舎と昭和。どっちも自分を押さえ込める息苦しさと閉塞感、無知故の幸せを感じて嫌いである。
全体的に変化に対する怖さと切なさが漂い、悲しい気分にさせられた。
母は逃げたのだろうけど、七竈は青春に終わりを告げ新しい世界に飛び出していった事が救い。 -
辻斬りのように男遊びをする冒頭の話がとても面白かった。ゆえに、その後に登場する彼女から失われた美しさが、確かに悲しかった。十年前に砂糖菓子の弾丸に撃たれて、この本を買ってそのままにしていたが、もっと早くに読んでしまえばよかった。今読んでも悲しみしか感じられない。
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平凡どころかそれ以下だと思っている私からすれば、美しすぎて困っちゃうなんて、理解出来ないと思ったけれど、でも大変なんだなと。
いきなりの辻斬りスタートに驚き。
後輩ちゃんウザかったのに、だんだん可愛くなって、苺苺苺苺苺先輩思い出しました。 -
非日常的のように見えたけど、実はこういうことって普通の日常なのかなって思った。七竈と雪風と同じくらいの歳ということもあって色々考えさせられた。いつまでもずっと友達と笑いあって子供のように過ごせるんじゃないかな、って心のどこかで思ってました。でも、やっぱり前に進まないといけないね。
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ほんのすこぅしだけなら許せる気がする。
七竈と雪風の世界はとても美しいのに。彼らを囲む大人達は、醜くて、確かに可愛らしい。読んでいる間中ずっと、冷たくてピンと張った世界にいるような感覚だった。 -
とてもとても好きな本。
美しいけれど風変わりな七竈がかわいくて、楽しく読めました。
でも、やっぱりせつなくてひどくかなしい。涙が出る。