少女七竈と七人の可愛そうな大人

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 3460
感想 : 675
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048737005

感想・レビュー・書評

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  • 文体が独特のリズムを持っていて、読んでいて楽しい。
    言葉選びも、主人公の名前「七竈」からして独特。

  • わたし、川村七竃十七歳はたいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった。(本文より)

    この冒頭の一文からすっかり引き込まれた。
    繊細で美しくて尊い文章。

  • ある朝とつぜんに思った。辻斬りのように男遊びがしたい、こころのかたちを変えてしまいたい。
    ひどいことをしなくては生きていかれない気がした。『感じのいい若い女』という自分のぼんやりとした輪郭を壊してしまいたかった。
    そして物語はその娘へと続いてゆく…。

    数ページ読んだ時点で引き込まれました。桜庭さんならではの空気。絶望的に切ないです。
    男狂いの母と、美しく生まれてしまったために肩身の狭い少女時代を余儀なくされる娘。
    序章のあとは娘の長編かと思いきや、幾つもの小さな物語が折り重なるように収録されています
    誰もかれもが“可愛そう”で…。普通の「切ない」とは少し違うけど、すごく良かったです。

  • (2011/1/10 Yahoo!ブログ)
    マイペースな私は、本を読み終わってすぐにUP出来ず、いつもワードで下書きをしておきます。
    常時6作品位の下書きを溜めてしまっていますが、不手際でこの本の感想を消去してしまいました。
    下書きをしてから随分と経ってしまっていたので、もう一度この本を図書館で借りようとしたら、
    残念な事に貸し出し中。。。( ̄▼ ̄|||)  なので、思い出しながら書きました。
    本を読んでは忘れていく性質なんですが、この作品はじわじわと思いだされてきますね~
    そんなに、感情を煽られた作品ではなかったのに、不思議です。

    桜庭さんの作品は、長編では2冊目。 アンソロジーに収録されていた物も読んだことがあります。
    以前から沢山の作品をチェックしていますが、なんとなく後回しにしてきました。
    その理由のひとつとして… 若い作家さんの作品に感じる年代の風に、時々違和感を覚える事があるのです。

    “七竈という名の少女が、七人の男の大人たちと次々と関係をかさねていく” という話だと、
    新聞の広告記事から想像していたのですが、冒頭の七竈の母親の話の中で、私の想像していた話が
    完了してしまったので、この後はどんな話になるのか、まるで想像出来ませんでした。

    前述通り、最初の章の語り部は母親ですが、以降の章の語り部は、七竈や祖父が飼っている犬だったりします。
    章のタイトルも、「犬です」 とかあって ( *´艸`) 目次やタイトル好きな私は、これだけでそそられちゃいますね。

    七竈と雪風の穏やかというか、起伏のない掛け合いも、印象的でした。
    とても悲惨な家庭環境の話なのに、とても “平坦” な、感情が底を走っているような作風で、
    ゆっくり流されるように淡々と読み終えました。

    読了直後に思いのまま感想を書いた時は、「七人の大人」 が誰なのか解らなかったのですが、こうやって
    再度書くにあたり wiki で調べたら、そこに明かされていました。 なるほど、この七人だったのですね。。。

    これまで読む事を躊躇していたことを悔やみます。 他にもまた、桜庭さんの長編を読んでみたいと思います。

  • 田舎と昭和。どっちも自分を押さえ込める息苦しさと閉塞感、無知故の幸せを感じて嫌いである。
    全体的に変化に対する怖さと切なさが漂い、悲しい気分にさせられた。
    母は逃げたのだろうけど、七竈は青春に終わりを告げ新しい世界に飛び出していった事が救い。

  • 辻斬りのように男遊びをする冒頭の話がとても面白かった。ゆえに、その後に登場する彼女から失われた美しさが、確かに悲しかった。十年前に砂糖菓子の弾丸に撃たれて、この本を買ってそのままにしていたが、もっと早くに読んでしまえばよかった。今読んでも悲しみしか感じられない。

  • 平凡どころかそれ以下だと思っている私からすれば、美しすぎて困っちゃうなんて、理解出来ないと思ったけれど、でも大変なんだなと。
    いきなりの辻斬りスタートに驚き。
    後輩ちゃんウザかったのに、だんだん可愛くなって、苺苺苺苺苺先輩思い出しました。

  • 非日常的のように見えたけど、実はこういうことって普通の日常なのかなって思った。七竈と雪風と同じくらいの歳ということもあって色々考えさせられた。いつまでもずっと友達と笑いあって子供のように過ごせるんじゃないかな、って心のどこかで思ってました。でも、やっぱり前に進まないといけないね。

  • ほんのすこぅしだけなら許せる気がする。

    七竈と雪風の世界はとても美しいのに。彼らを囲む大人達は、醜くて、確かに可愛らしい。読んでいる間中ずっと、冷たくてピンと張った世界にいるような感覚だった。

  • とてもとても好きな本。
    美しいけれど風変わりな七竈がかわいくて、楽しく読めました。
    でも、やっぱりせつなくてひどくかなしい。涙が出る。

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著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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