秋の牢獄

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048738057

感想・レビュー・書評

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  • 目覚めるとまた同じ1日が始まるリプレイヤーたち。確かに恐ろしいが自分は同じ行動をしなくてもいいし、お金を使ってもまた元通り。暮らしてはいける。退屈さが1番の問題なのだと思っていたら大間違いだった。憎しみ合った人間関係も繰り返す。何度殺しても同じ。苦しみが消えることはない。人は時が流れ最後には終わりがくると知っているからこそ、他人を思いやり自分を律することができるのかもしれない。他2編も良作。大きく強い力というものは使う者、使い方によっては恐ろしい怪物となる。

  • 「こういう設定」で始めて、「こういう設定」の短編だから、で
    程よいところで完結する話。
    他の人が書いたら、もっとやりすぎになって
    世界が狭くなってしまうかもしれない。
    想像を広げ、リアリティを残し、不思議や謎や疑問もそのまま残す。
    さじ加減と、文章の静かで淡々とした感じが絶妙。
    どこか明るさとユーモアも含んでいて、
    その中にドキリとするような恐ろしい場面が挟まれる。
    短い分量ながら、読んでいて自分の中に広がる世界の大きさ深さが半端ない。
    この人の本は4冊目になるけど、妙なクセもなく、
    するりと体に入っていく文章も心地よい。

  • 同じ日を繰り返す、って設定、あると思うけど、閉塞感、恐怖だけでなく、自由がありそこに生活があるように描いていて、またしてもその世界が魅力的でした。
    11月7日、って設定もまた巧妙。

  • 再読でした。
    恒川氏の作品をカテゴライズするなら、ホラーというよりもファンタジーホラーという感じがする。
    短編集なんですが、どの作品もぎっちりと読み応えがあります。
    やっぱり、独特な世界観がいいですね。
    どろどろとした現実と、どこか不思議な幻想的な世界が融合してる感じでしょうか。
    不思議な話が好きな方にはオススメです。

  • 読み始めたらとまらなくて、
    一気に読めた。

    でも意外とこわい。

    抜け出せないのは嫌だけど、
    全国を旅するとかいいなぁ。

  • 「秋の牢獄」「神家没落」「幻は夜に成長する」の3編が収められている1冊。いずれもひとつひとつは100ページに満たない中編クラスの作品だが、いずれも奇妙な味わいがある。
    「秋の牢獄」は十一月七日水曜日という1日をずーっと繰り返して過ごすことになった女子学生の話。同工の作品としては、作中にも言及されるグリムウッドの『リプレイ』が有名だが、繰り返されるのは1日だけという点でも、その間のできごとという点でも、そんなに似たところはない。SF的な謎解きとか、推理小説的なテクニックを期待すると肩すかしを食うので注意。あくまでも、奇妙な味わいを堪能するにとどめるべき。
    「神家没落」は、時空をさまよう家にまつわる話。あっちの山からこっちの山へ、日本中を数日おきに移動する、木造の古い民家。その主となった者は、その家から出ることはできず、出るには代わりに誰かを家の中に置いておくしかない。設定としては、なんだか「火の鳥」にでも出てきそうな案配だが……。わりと、想像力の範囲内でまとまったなぁという感じ。
    「幻は夜に成長する」は、幻を見せることができる能力を持っている少女・リオの話。3つの中ではいちばん余韻が深いように感じた。
     悪くない……けれど、「時間旅行好き」のオレとしては、もうすこしテクニカルなほうが好きだなぁ。

  • 11月7日を繰り返し続ける表題作の不思議な感じが好き。移動する家の話は、三崎亜記の作品に似た感じのがあったような…。世にも奇妙な物語でドラマ化してほしいような作品ばかり。幻想的でちょっぴりホラーな恒川ワールド今回もしかと堪能しました。2012/051

  • 平凡な日常から何かが少しだけずれてしまい、自分が空間や時間の中に閉じ込められてしまう怖さ。
    当たり前の景色が当たり前では無くなった時の世界はきっと本当にこの本のようなのだろうな、と思ってしまいます。
    季節や景色の美しさが目に見えるような凛とした文章はホラーとファンタジーが混ざったような世界にとても似合います。
    秋の終わりに読むのがとても似合う本でした。

  • 再読。
    5年前も今日読んだ時も思ったのは綺麗なホラー。

    3つの短編が収録

    「秋の牢獄」
    11月7日をずっと繰り返す女子大・藍。
    目が覚める度に7日の朝を繰り返す藍に一人の男性が声を掛ける。
    男性と一緒に公園の噴水前に行くと
    そこには藍と同じ様に11月7日を繰り返すリプレイヤー達がいた。
    仲間がいたからこそ11月7日を乗る切れたのに…
    北風伯爵が仲間を一人、また一人と連れ去ってしまう。
    そして藍の目の前に…。
    連れ去った場所がどうが11月8日であります様に…
    と願わずにはいられない。
    動き出した時間でまたみんなに会えますように…。

    「神家没落」
    知らない間に家を引き継いでしまった主人公
    家の敷地から一歩も外に出れなく家に囚われてしまうが
    ある日一人の男をだまし討ちのような感じで家に引き入れ……

    「幻は夜に成長する」
    霊狐の力を持つ女性リオ
    自分はその力を使うつもりがなく封印して生きていくはずが
    リオの力を利用しようとする宗教団体に捕まり……

    3つとも囚われる話
    綺麗なホラー。幻想的とも言う(≧∇≦)b OK

  • 時間に、空間に、地獄に、閉じ込められる話。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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