犬は書店で謎を解く ご主人様はワンコなのです (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
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本棚登録 : 173
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048921138

作品紹介・あらすじ

書店で働く天才青年・萩兎。彼の正体は……柴犬!?

「俺とおまえは中身が入れ替わった。魂が入れ替わったと言えばわかるか」
「うんうん」
「自分の手を見てみろ。人間の手だ。必ず俺が元通りにしてやるから、それまでその身体を大事に使え。わかるな」
「はい!」

頭はキレるが、ヒネくれた性格ゆえに友人のいない青年。そして彼が飼っている人懐っこくて素直な柴犬。ひょんなことから、この主従の魂が入れ替わってしまう!
街で起こる様々な謎に挑む二人(?)を描く、笑いあり涙ありの、異色入れ替わりストーリー!!

感想・レビュー・書評

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  • 頭も顔も環境も恵まれすぎた故に性格に難がありすぎる男の子と、素直で人懐こくてかわいい柴犬の中身が入れかわってしまい、身近で起こる問題を解決していく。ハイスペックなご主人様の体に入ってしまったワンちゃんの苦労はいかばかりかと思うけれど、犬らしく努力家で犬らしく賢いのでなんとかやっていっている様子が良い。

  • 初ラノベ(多分)。頂きものを拝読。

    2人の人物が入れ替わるというパターンの話は時折見かける。
    古くは「とりかへばや物語」だろうか。平安期の物語で、男っぽい女の子と女っぽい男の子が入れ替わって互いのふりをしたことにまつわる騒動の顛末である。
    これにSF要素が加わると、互いの心が「本当に」入れ替わってしまう。少年と少女が入れ替わる筋立てで、「転校生」として映画化もされた山中恒の「おれがあいつであいつがおれで」あたりがよく知られた作品だろうか。

    さて、本作では性別の壁どころか、種の壁を乗り越えて、柴犬とご主人が入れ替わってしまう。
    ご主人はイケメンかつ頭脳明晰な大学生で俺様キャラ。柴犬はのほほんとしたお気楽タイプ。ご主人は萩兎(はぎと)、柴犬もハギト(ご主人の父親命名)。
    2人(1人+1匹)は、散歩中に雷に撃たれてしまう。その衝撃で人格(犬格)が入れ替わる。
    さぁ、どうなる!?

    ・・・いや、ありえねぇ、わけだが。
    意外とこれがおもしろい。
    俺様な萩兎は非常に傲慢なわけである。俺より頭がいい奴はいない。世の中バカばかりだ。常に人を見下し、社会性ゼロ。
    対して犬のハギトは人(犬)がよくてかわいいヤツ。一途にご主人を思い、人のいうことを素直にはいはいと聞く。散歩というと、わふわふ出かけ、誰にでも元気に挨拶し、草むらに虫を見つければ追いかけて行ってしまう。・・・まぁおバカ犬である。
    これが突然入れ替わるわけだから、周囲は心配する。
    突然、萩兎がいい奴になってしまった!(でもおバカ) 事故のせいなのか、不憫だ(でも性格はこっちの方がいいからっ!) このあたりの機微が超絶おかしい。
    犬が人間の身体に入り込んだだけで、突然、言葉が通じるようになるのもヘンといえばヘンだし、犬のハギト(実は萩兎)が偉そうにしゃべり、かつその言葉が萩兎(実はハギト)にだけわかるというのもおかしいけど、まぁここはそうでないと話が進まない。

    で、萩兎は、リハビリがてら(身体は治ったようだが精神的に以前とは違う)、父の旧友が営む書店にバイトにいくことになる。この書店の娘が萩兎とは幼なじみ、唯一、萩兎の人を食った態度に釘を刺すことができる、気が強いハル子。
    バイトとして、俗に言う「枯れ専」=オジさま(というかオジイさま)好きの鯉渕七子が働いている。
    ラノベらしく、キャラが立った、というか、濃ゆい感じでなかなかよい。
    街の書店のありよう・経営努力もそこそこ読ませる。
    金沢という街の気候・風土、古都としての文化、茶屋街、和菓子なんかも風情がある。地方でずっと生きてきたハル子の父と、一度東京に出てUターンしてきた萩兎の父との、気心が知れたのもならではの歯に衣着せぬ口論もおもしろい。方言の使い方も生きている。

    が。メインとなるストーリーがどうもなぁ・・・、と個人的にはそこが引っかかった。
    萩兎とハギトのヒト・犬(犬・ヒト)コンビが、スーパー賢い萩兎の能力で事件を解決していくことになるわけである。萩兎はネットワーク理論なんかも学んでおり、その彼が犬ネットワークも駆使して推理を働かせる。
    設定としては悪くないし、これに絡めた2人(1人+1匹)のやりとりもおもしろいのだが。
    出てくる題材が、当たり屋詐欺、ヤミ金、ストーカーに嗜好性の放火癖、サイコパスすれすれの人格、と、今日的といえば今日的だが、相当えげつない。のだが、人間性への洞察がある、という感じでもない。おまけにここに「善」をなそうとする神様気取りの「悪」が絡む。こいつの理念が何だか薄っぺらい。事件は一応解決するが、この落としどころはどうなのか?ともやもや感が残る。
    この舞台設定に謎解きってほんとに必要なの? もしそうでも、もう少し、「日常の謎」的なものでもよかったんじゃないの? と言いたくなるくらい、事件解決のカタルシスが薄い。

    まぁ、柴犬飼いとしては、最後までハギトが不幸になるのを心配していたわけで、そこはよかったな、というラストではあった。

    何にせよ、初ラノベ、文句を言いつつ、それなりに楽しくは読んだのだった。

  • 頭脳明晰でひねくれた性格の青年と、人懐こく素直な柴犬の魂が入れかわるというベタな設定です。笑
    けなげで愛らしいハギトが犬好きのわたしにはたまらなかった!
    始終ワクワクしっぱなしで面白かったです。
    話のテンポも良くサクサクと読めたけど、事件の真相がなかなか…

    魂が元に戻る方法をもっと色々チャレンジしてほしかったかも。

  • 【書店で働く天才青年・萩兎。彼の正体は……柴犬!?】

    「俺とおまえは中身が入れ替わった。魂が入れ替わったと言えばわかるか」
    「うんうん」
    「自分の手を見てみろ。人間の手だ。必ず俺が元通りにしてやるから、それまでその身体を大事に使え。わかるな」
    「はい!」

     頭はキレるが、ヒネくれた性格ゆえに友人のいない青年。そして彼が飼っている人懐っこくて素直な柴犬。ひょんなことから、この主従の魂が入れ替わってしまう!
     街で起こる様々な謎に挑む二人(?)を描く、笑いあり涙ありの、異色入れ替わりストーリー!!

  • ハギト、かーわいーなぁ。、

  • さらっと読めた。人では鼻持ちならないのに
    犬だと一周回って可愛いのは何故だろう。
    犬のハギトいい子。

  • (収録作品)歩いた犬が棒に当たる件/飼い犬が手を噛んだ件/夫婦喧嘩を食った犬の件/犬と猿の仲に関する件

  • 性格悪い主人と忠犬の魂が入れかわる。傲慢から純粋無垢な性格に替わったことに驚く周囲。柴犬になってしまった側も、頭脳明晰・傲慢な性格のままにも関わらず犬の本能には勝てずあちこちに鼻先を突っ込んでしまったり、自分の尻尾を追いかけずにいられないところが犬好きにはたまらないかも。メインの事件よりもその辺りのギャップが面白かった。

  • 容姿端麗、成績優秀、運動神経も家柄もいい。だから周りの人間がバカに見えるという性格に難ある伏部萩兎。伏部家の柴犬ハギトを散歩させている最中に犬もろとも雷に打たれた萩兎は犬のハギトと魂が入れ替わってしまう。萩兎の身体に入って以前より物腰柔らかになったと思われてるハギトはリハビリのち幼馴染みのハル子のいる姫川書店で仕事をするー

    ◆近頃タイムリープも入れ替わりも多いけどまさか犬と入れ替わり!!こういう傍若無人な人いるよな-とモヤモヤ読んでたらハギトが可愛すぎるww不審火にイカサマなたかり、旦那さんの失踪、ストーカーへの復讐?と、色々な事件を犬のネットワークと萩兎の頭脳とハギトの愛嬌で解決してくのおもしろい。てか本当の犯人がどうしてそんなことするようになったのか背景がわかんないのが残念。

  • タイトルや表紙の雰囲気から、ほんわかした小説かな? と勝手に想像していましたが全然違いました。
    いや、はじめはいかにもライト文芸的な雰囲気なのですが、進むにつれてどんどん化けの皮が剥がれていくようで……笑。

    牧野さんの作品は全部ではないけれどそこそこ読んできていて好きなので、「っぽくなってきたぞー」と鳥肌を立てて喜びました。
    この、容赦ない悪。悪としかいいようがないやつ。
    それを読むのがまず面白かった。
    そして、展開上大きなポイントではないものの、立ち向かうハル子のキレっぷりが超ツボでした。

    一方で、レーベルらしい部分もかなり楽しめました。
    ハギトと萩兎とハル子、このトリオのバランスが絶妙。
    スパイスONしてあるとはいえ全体的な作りはとても親切で分かりやすく、ぐいぐい読めました。

    MW文庫の牧野さんの既刊、まだ読んでいなかったので、これを機に読んでみようかな。

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著者プロフィール

'58年、大阪生まれ。高校時代に筒井康隆氏主宰の同人誌「ネオ・ヌル」で活躍後、'79年に「奇想天外新人賞」を別名義で受賞。'92年に『王の眠る丘』で「ハイ! ノヴェル大賞」を受賞。他に、『MOUSE』、『スイート・リトル・ベイビー』等々著作多数。また『バイオハザード』『貞子』ほかノベライズも多数手がける。

「2022年 『貞子DX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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