恐れることは何もない: この世をうまく生きるブッダの智慧 (Esoterica Selection)

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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784054047327

感想・レビュー・書評

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  • これを読むとブッダの教えというのは宗教ではなく哲学の一種なのだと思った。うちの寺の坊さんは好きになれないが、これなら納得できる。実践と納得が一緒ではないのは難しいが。

  • 2011/5/31 2回目 すっかり忘れてました。

  • うーん、もひとつ現実の生活に当てはめにくい・・。

  • A:うまくいっているならば、眠くはならないのです。おもしろくなってきて、やる気が出てくるのです。形式的に勉強しても、脳が一向に成長しようとしない場合は眠くなってしまうのです。冥想の場合も同じことです。仮眠させてあげても問題は変わりません。冥想しようとする、眠くなる、仮眠する、また冥想しようとする、眠くなる、仮眠する…のような循環になる。結果としては、眠ることの訓練になってしまうだけです。

     このような場合は、理解もできない勉強などをがむしゃらにやるのではなく、脳を開発してくれるような形に変えて、工夫を凝らしてやったほうがよいと思います。冥想の場合も、目がくっきり覚めている状態で、努力できる範囲で回数を増やせばよいと思います。

     身体が疲れていないのに、勉強、冥想などすると眠くなってしまうのは、知識や智慧などが現われないように働く障害があるからなのです。金銀も宝石もダイヤも石油も、そこらじゅうにごろごろ転がっているわけではないのです。掘って掘って探し出して、精製して、仕上げなくてはいけないものです。知識と智慧の成長も同じことです。努力しなければ現れないのです。ですから仏教は、修行において精進、努力を勧めているのです。睡眠欲、感情に溺れること、食欲色欲にふけることなどをいさめているのです。勉強、修行中に出る睡眠は、破って進むべき障害の一つです。

    確実にあります。体力の疲れを取る量以上に眠ることは、人の成長を妨げます。創造するものは何もなく、時間の無駄遣いです。進化ではなく、退化の原因です。

     こころの障害を取り除いた人には、睡眠の必要がなくなります。常に明るくて活発なこころで生きている人は、身体が疲れたならば、その疲れをとるために必要とする時間だけ、睡眠を摂るのです。よく眠れば健康になるのだと一概に言ってはいけません。

    1、身体の成長 2、脳(知識)の成長 3、精神的な成長という3つです。
    この3つの中で、身体の成長には、睡眠が欠かせないといえます。生まれてきた赤ちゃんは1日中寝ていますね。そのようにして、エネルギーを無駄に使わないようにして、身体の成長に注ぎます。しかし、ただ寝ただけでは、身体は成長しません。必ず、運動する必要があります。ですから、人間の赤ちゃんも動物の赤ちゃんも、起きている短い時間で、大人の何倍も遊んで運動します。それですぐ、ところかまわずぐーっと寝てしまいます。そのサイクルで、赤ちゃんたちは、びっくりするほどの速さで成長していきます。

     体が成長したら、残る課題は、その身体を死ぬまで維持することのみです。ですから、長い時間睡眠をとって、成長のためにエネルギーを節約する必要はないのです。働いて身体が疲れた量に比例して、睡眠をとれば十分です。その場合は、論理的に『睡眠不足』の問題は出てこないのです。身体も一種の機械ですから、休ませることなくどこまででも使えるなどということはありえないのです。疲れた身体は、すぐ使えなくなって、自然に眠りに落ちてしまう(エンストしてしまう)のです。

     人間の大人の睡眠時間が短くなるのは普通のことです。一方動物の大人は、走り回ると、その分、餌を摂らなくてはならないのです。餌に簡単にたどり着ける動物には、遊ぶ余裕があるのです。ライオンやトラ、ヘビなど、苦労の果てにやっと餌にたどり着くような動物は、エネルギーの節約のために昼も夜もよく眠るのです。

     2つめの『知識の成長』と『睡眠』の間に、関係はほとんどないと思います。眠ることで脳細胞が成長することはなく、頭がよくなるわけでもないのです。起きている間にさまざまな経験を脳にインプットして、それを整理することが知識の成長だといえるのです。ですから知識の成長には、睡眠ではなく、起きて脳に刺激を与えることが欠かせません。「眠ることで知識が成長する」と思うなら、人間よりも動物のほうがより『知識人』であるはずです。

     3つめの『精神的な成長』というのは、モラル文化のことです。食べて遊んで寝て死ねばよいということはなく、人格や道徳や宗教といった思考の世界も、人間には必要だと思います。この精神の成長も、睡眠で得られるものではなく、起きた状態で、ものごとを、普通の知識よりも優れた知識で評価判断することで成り立つものです。

     答えとして言えるのは、身体の成長と維持に対してのみ適量の睡眠が欠かせない、ということです。

    罪を犯した人を刑務所に入れるのは皆のための行為ですから、それが犯罪者にとって暴力であっても悪い行為ではありません。正しい行為です。しかし犯人は簡単に捕まえられますか? 真犯人
    がわかるまでの過程はいかがでしょうか? この点で日本はまだいいのですが、諸外国のいくつかは最悪の状態ではないでしょうか。警察の暴力は世界的によくある、ごく普通のことです。警察官は素晴らしい仕事です。
    が、犯人を捕まえるためには関係がある人にもない人にも暴力を振るう習慣のある国で警察官になったら、自分でも罪を犯すはめになります。自分だけ違うと言って逃げることは不可能です。

     裁判官はまた違います。違法にならないように証拠を評価することが仕事ですから、良い行為です。判決は自分が決めるものではなく法律が定めたものだから、個人には関係のないことです。定められた法律自体が不公平に見えたならば、それを言い出すことも裁判官には出来るので、罪にならないように仕事ができるのです。

    れは軍隊を設定する思考のことです。表向きには「国を守る、犯罪から国民を守る」機能として、相手を脅すことで成り立っています。反逆者に晩餐会を開いて仲良くしようとする軍隊があるかどうかわかりません。軍事力が強い場合、政府がたとえ独裁的で悪政治であろうとも一般国民は立ち上がれないのです。
    考え方は「暴力で抑える」ではないでしょうか?

    自分の人格が固められる歳になりましたから、「雲を追う」人生ではなく「土を掘る」人生を生きることです。
    自分にできることだけを果たして下さい。自分に出来ることにのみ力を入れて下さい。
    自分にできることについては「他人が口を挟めないように」と精進してみてください

    この世が必要としているのは、能力ある人ではなく役に立つ人です。自分が役に立てばよいのです。能力バカではなく、役に立つ人が可愛いのです。

     自分の仕事を喜んで下さい。果たす一つ一つの仕事について「うまくいった、これで良し」という気持ちを味わえるように努力してください。あなたはもしかすると真面目に仕事をしない人間ではないかという疑いが私にはあります。真面目に仕事をしなかった場合、後味が悪くてこころが後悔することになります。他から批判もされます。批判は的中しているから、さらにこころが傷つきます。そのときこころは逃げ道として“能力”という鎧をかぶります。

     仕事の仲間に慈しみを育ててください。彼らが、敵でもライバルでもなく、運命を共にする兄弟だと、親しみが育つようにしてください。後輩の才能、能力に(あればの話ですが)正直に驚いてあげてください。誉めてあげてください。そして、それに助けてもらうようにして下さい。

     先輩の能力、才能についても誉めてあげる習慣が身に付くようにして下さい。人生を楽しんでください。

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著者プロフィール

アルボムッレ・スマナサーラ
Alubomulle Sumanasara

テーラワーダ仏教(上座仏教)長老。1945年4月、スリランカ生まれ。13歳で出家得度。国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとる。1980年に来日。駒澤大学大学院博士課程を経て、現在は(宗)日本テーラワーダ仏教協会で初期仏教の伝道と瞑想指導に従事している。朝日カルチャーセンター(東京)講師を務めるほか、NHK Eテレ「こころの時代」「スイッチインタビュー」などにも出演。著書に『サンユッタニカーヤ 女神との対話 第一巻』『スッタニパータ「犀の経典」を読む』『ダンマパダ法話全集 第八巻』『ヴィパッサナー瞑想 図解実践─自分を変える気づきの瞑想法【決定版】』(以上、サンガ新社)、『怒らないこと』(だいわ文庫)、『心は病気』(KAWADE夢新書)、『ブッダが教える心の仕組み』(誠文堂新光社)、『ブッダの教え一日一話』(PHP文庫)、『70歳から楽になる』(角川新書)、『Freedom from Anger』(米国WisdomPublications)など多数。

「2023年 『無常の見方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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