- Amazon.co.jp ・本 (28ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061272637
作品紹介・あらすじ
海外でも評価の高い著者のお話絵本。 昔、あるところに大きなもののとても好きな王さまがいました。家来たちに命じて、つぎつぎと大きなものを作らせますが……。
感想・レビュー・書評
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おおきなものが好き。とにかくそれだけを貫くと、こんな絵本が出来上がるんだなあ。
読みながら、生類憐れみの令を、ふと思い出す。
でも、こちらの王様は、ちゃんと“自然”が教え諭してくれたから、きっと大丈夫。
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とにかく大きなものが大好きな王様のお話。
大きなフォークとナイフで食事はするし、歯を抜くときも、わざわざ大きな釘抜きを作らせてしまうくらいなのです。
権力をもった人のこだわりにつき合うのは、大変ですね…。
王様が作らせたものの中には、思わぬ形で役に立ってしまったものもあり、それを見た王様はますます「良いことをした」とばかりに、勘違いしてしまいます。
しかし、そんな王様にも、どうしても言うことをきかせられないものがありました。
大きな植木鉢に植えたチューリップです。
「こんな おおきな うえきばちだから、きっと、おおきな おおきな ちゅーりっぷのはなが、さくに ちがいないと、まいにち まいにち まって おられるのです。」
(24ページ)
このオチに込めた意図は、最後のページにある安野氏のあとがきで、知ることができます。
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この絵本は小3の娘に読み聞かせをしました。
出てくるものが、ことごとく大きいので、その滑稽さに娘も笑ったり目を丸くしていました。
最後のオチを読んだあとは、「スン…」としたような顔をしていたので、あとがきも読み聞かせをしました。
するとなんとなく、オチの意味も感じとったようでした。
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大きなものが好き、というのはいいのですが、それが権力をもちすぎる人の場合、こんなことになってしまうのだなあ…と、身につまされる思いでした。
それは「生類憐れみの令」を思い浮かべていただければ、よくわかると思います。
好きなものを貫くことで生まれる発明も確かにあるし、実際に絵本の中でも、思いがけない形で役に立ってしまったものが出てきます。
こうした流れは、「王様は完全な悪人!」という押しつけがないので、読み手はいろいろな考え方を持つことができ、そこがこの絵本のすごく好きなところです。
何でも人間の思い通りにできる!と、慢心してしまいそうな時こそ、そっと開きたい1冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すごく面白かったです。
王様のわがままにつきあって、最後は自然には逆らえない、という結末で、すっきりします。
特に王様の歯を抜くところが好きです。
ぜひ、一度読んでみてください。 -
1976年初版、手元のものは1989年第13刷(学生時代に入手)。ひかりのくに社の月刊誌に掲載されたものを加筆改訂して単行本化。
寺村輝夫の王さまシリーズのような、こどものようなおうさまがいて、ベッド、道具、チョコレート、鳥かごなどなんでもおおきなものをつくらせては満悦した。おおきなおおきなうえきばちに、チューリップの球根を植えて春を待つ、その首尾は?
生命を人間がつくることはできない(自然は人間の思い通りにならない)、というあたりまえなのに忘れがちなことを思い出させてくれるお話。現実であれば無茶で横暴な話なのに、語り口と挿絵の表情などのうまさでかわいいと思わせてしまうのがすごい。 -
7分
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絵もお話も全部好き。
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安野先生は、昔むかし、ちくま文学の森シリーズを手掛けておられ、その頃から大好きです。
この絵本は、先生の追悼展「安野先生のふしぎな学校」で、ずらーっとほぼ全頁、原画が展示されていたのを読了しました。(贅沢 笑)
ラストシーンが特に秀逸です! -
タイトル通りおおきなものがすきなおうさま。なんでもおおきなものをつくらせる。じぶんのおもいどおりに。でも、最後に自分の思い通りに全てが行くわけではないと理解してくれたのかな。
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6'00"