- Amazon.co.jp ・本 (68ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061324244
作品紹介・あらすじ
光と影に人生の万感をこめ、藤城清治、原点への挑戦。初めての絵本として選んだアンデルセンの名作を、86歳にして、新たに描き下ろす渾身の作品。
感想・レビュー・書評
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なんと懐かしい。読みながらどんどん記憶があふれ出した。
これは、私が子供の頃初めて読んだ、藤城清治さんの影絵本だ。
確か当時はモノクロだったと思う。
お話の初めに登場するお嬢さんと、最後に登場する老婆が同一人物で、せっかくぶどう酒びんと再会できたのに互いにそれを知らないというラストにひどく納得がいかなくて、心にひっかかったままだったのだ。
影絵の美しさとお話の不思議さ、そしてこのラストとで、長年心の奥に住み続けたお話。
藤城さんが26歳の時初めて世に出した影絵の絵本で、原作はアンデルセンの『びんの首』。
紆余曲折するびんの一生を、びん自身が語るというもの。
60枚すべての絵に、人生の喜びや悲しみやはかなさが照らし出されて、この不思議なお話に深い叙情性を与えている。
絵本デビューから60年目にあたる86歳の誕生日を目標に、カラー作品として蘇らせようと2,3年前から取り掛かってこられたらしい。
そのどちらにも出会うことが出来て、私はなんと幸せ者だろう。
びんに旅をさせるというアンデルセンの高い創造性と、藤城さんの万感の思いが高い精度の一冊となって、大人になった私の心にまた静かに住み始めている。
今再読すると、このお話の流れのラストではびんと老婆は互いに知らぬままが良いのだと、それこそが人生の味わいなのだと、頷かずにいられない。
それぞれが精一杯生きてきて、それゆえに尊いのだから。
馬車に揺られて森に行く場面、夕日が沈む海、新月の夜の祭り、気球から落ちてかけらになるところ、鳥かごとおばあさん、最後の丘の上の屋敷まで、上質の美術本にうっとりして、その後じわじわとこみ上げるものがある。
藤城さん自身の言葉も後書きにあるので、そちらもぜひお読みあれ。
極上のワインをじっくりと堪能するような、そんな絵本。 -
眺めれば眺めるほど、この作品に対する自分の気持ちをどのように表現したらよいのかわからなくなっています。
原作はアンデルセンの作品で、物語としては、先が読めるようで読めない、でも、展開に無理はなく、ああ、こう来たか・・・と納得の展開。ちょっと哀しい場面もあるけれど、どきどきする展開もあって、人の一生も、モノの生涯も一つ所に留まることはなくて、流転だなということを意識させてくれる物語ではないかと思います。
この本の魅力は、藤城清治さんの影絵。
人物が作りこまれている場面はもちろん、「ぶどう酒びん」のたどる道を表した場面は、その色合い、動きから自分の目の前で映像で見せられているような錯覚にも陥ります。特に「お嬢さん」の「衣装」の表現は唖然茫然。冒頭と締めくくりに描かれている町や建物の遠景、近景が見開きで描かれているページが好きかもしれません。
この書籍、大人の人への贈り物によいかも。 -
藤城さんの影絵は、繊細で、緻密で、色彩が綺麗で、でもどことなく切ない感じで。
会場で感じたことを心にとどめたくて、一冊だけ選んだのがこの本でした。
ずっとそこにいて、けれども相手には気付かれない存在である、ぶどう酒びんの物語。
挿し絵を、藤城さんが60年ぶりに描き直されたというのが、すごい!と思いました。
以前出版された本とは、全く違う印象です。
長い歳月を経て、更に深みが増した感じがします。
何よりも、60年間現役であり続けていらしたという事実が、何にも増して、素晴らしいことだと思います。
私もこんな風に、何かに長く打ち込んでみたいと思いました。
物語も味わいがあり、アンデルセンの物語をまた読んでみたくなりました。
物語って、いいですね。 -
大人の絵本。世界中を旅して来たガラス瓶と自分の人生を重ね合わせてしまうだろう。これができるのは、大人だからだと思う。読んだあと、悲しいような、切ないような気持ちになる。 必ず、あとがきも読んで欲しい。あとがきもステキ。あとがきを読んだら、きっと絵本を読み返してしまうはず。
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アンデルセンの話に藤城清治氏の挿絵の本。
絵はレースをあしらった帽子や服が緻密ですごかった。
話は葡萄酒瓶として生まれた瓶が飲まれて破棄されて放浪する話。最初に登場した女性が、瓶の最終的な住処となるおばあさんと同一人物で短いながらも壮大なドラマを見ているみたいで面白かった。 -
ざっと絵だけ見たのだけど、すべてが美しくて。いつか子どもができたら、もしくはだれかの子どもにあげる機会があれば買いたいなと思った。
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なつかしくて、かなしくて、落ち着いた。
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展覧会で見て購入しました。展覧会でとても感動しました。アンデルセンにこんなお話があるなんて知りませんでした。
まず、長い しかし構成がうまい!
自分の感想 自分の体験と 本書の内容が 同期している (冒頭で)
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まず、長い しかし構成がうまい!
自分の感想 自分の体験と 本書の内容が 同期している (冒頭で)
幼児期へのフラッシュバックは 他人ことの陳腐な表現になりがちであるが ここでは同一感覚を味わえた
自分の体験記憶を感覚的に相手に伝えることは難しい
今回は衝撃が強かった
コメントありがとうございます。
まぁぁぁ!褒めていただいて恐縮です。
自分ではどこが良いのか全く分かりま...
コメントありがとうございます。
まぁぁぁ!褒めていただいて恐縮です。
自分ではどこが良いのか全く分かりません(笑)
たぶんこの本が本当に素敵なので、こういうレビューになったのだと思います。
出来ることなら、mkt99さんにもお読みいただきたいものです。
この夏、友人の誕生日祝いにこの本を送るつもりです。
自分でも手元に置いておきたい一冊です。
ええ、そうそう焼酎でも飲みながら・・あれ?
そ、そうですか?!
まさか褒めていただくとは夢にも思わなくて心底驚いています。
『...
そ、そうですか?!
まさか褒めていただくとは夢にも思わなくて心底驚いています。
『強烈』というのは、どこかに言ってはいけないフレーズでもあるのかと、
眼を皿のようにして何度も読み返してしまいました・(笑
まさか&まさかの評価をいただいて、こちらこそだいさんのコメントに
花マルをさしあげたい気持ちです。
ありがとうございます。
レビューって難しいなぁと思う時があります。
「こうである」という事実と「こう思う」の感想とのバランスに悩みます。
ちょうど良い具合だと、本の内容が通じやすいように思いますね。