ルドルフとイッパイアッテナ

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061335059

感想・レビュー・書評

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  • 自分では全部は読めていないのだが、子供が何度も読み返している。2012/11 に四冊目が出た。それも学校で人気になっているという。

  • 泣いた…

  • TV絵本でやっていたので懐かしくなって読んだ。
    この作品に触れたのは、昔、これの子ども用の芝居?か、人形劇をみて以来で、原作を読んだのは始めただった。
    当時、斎藤洋は大好きでたくさん読んでいたが、これは未読だったのはけっこうモッタイナかったなあと思う。

    ところどころ、不要なほどのやりとりが続くシーンがあって、斎藤洋の味を思い出した。もう気にならないけど、子どものころはちょっとイラっとした(笑)。

    ストーリーもうまいし、猫たちの目から世界をのぞく視点は本当に面白い。
    ルドルフの故郷はどこかな、広島?どこか関西かな、と思っていたので、場所がわかってちょっと驚いた。
    またこのシリーズをちょくちょく読み進めていきたい。

    イッパイアッテナ、最高の兄貴です。

  • イッパイアッテナが名前なの!?と子供のときびっくりしました。
    児童書にぴったりの傑作です。
    多くの子供たちに読んでもらいたい一冊ですね。

  • 小学校の図書室で出逢って以来、約20年ぶりの再会・・・懐かしさのあまり即買してしまいました。

    何年経っても色あせない名作ですね。

  • 一番大切な本は?と聞かれたら、まぁこの本だと思う。数百、ひょっとしたら千単位の本を読むようになった原点です。

    飼い猫であるルドルフはある日、駐車していたトラックの荷台に誤って乗り込んでしまい、気づいたら故郷から遠く離れた町にいた。そこで出会った猫が「イッパイアッテナ」。そこから、ルドルフとイッパイアッテナの共同生活が始まる。

    正直、内容は全然覚えていないです。10年以上昔に読んだ本だし。ただ、自分でも驚いたことに、イッパイアッテナから教えてもらったことは今になっても覚えている。

    「向上心をもたなくてはならない」「強くあらねばならない」
    きっと親や教師から言われたのでは、聞いた瞬間に冷めてしまうような言葉だと思う。しかし、それを小説の登場人物であるイッパイアッテナから言われると、その言葉が、まるでピッケルで雪面を突き刺すかのような鋭さで、読者の心に沁みわたる。そして沁み渡った言葉は決して腐ることなく、いつまでも心に住み続ける。

    恐らく、小学校低学年に本を読み始めた人間だけに起こる現象がある。それは、物語の登場人物が、勝手に動き始めることだ。「イッパイアッテナ」が、「こまったさん」が、「ズッコケ三人組」が、「なん者ひなた丸」が、頭の中を占拠して、好き勝手にしゃべり始める。新しい物語を作り出す。そんな彼らが囁く、美しい言葉の中で小学校時代を過ごせたことは、本当に幸福だったと思う。

  • イッパイアッテナが格好いい。すてきな大人だ。きちんと叱ってくれて、生きる術だけでなく、勉強する大切さも教えてくれる。大切な友達のためなら頭を下げることもいとわない。
    たぶん、二十数年ぶりくらいに読んだけれど、勉強のしかたや辞書の使い方をこんなにちゃんと説明してくれている本だったんだなあ。
    それに、ルドルフとイッパイアッテナとブッチの友情がいい。みんながお互いを思いやって、自分にできる方法で勇敢に戦う姿。そしてルドルフが敵であっても相手の立場に立ってみたら? と気づく場面がまた、いいな。
    あとがきも、すてき。うふふって笑ってしまうし、続きが読みたくなる。

  • ここでは、私自身が3部作を貫くテーマと感じたものを3つ選び、
    3冊分のスペースを使って書いてみたいと思う。

    まず一つ目に挙げたいのは、本書は、名前や所属を通して、
    自分は何であるのかについて問うている作品であるということである。

    「名前」と言われて、本シリーズでまず目につくのが、
    「イッパイアッテナ」であろう。

      「ぼくはルドルフだ。あんたは?」

      「おれか。おれの名まえは、いっぱいあってな。」

      「えっ、『イッパイアッテナ』っていう名まえなのかい。」

      「そうじゃない。『イッパイアッテナ』なんていう名まえがあるもんか。

       でも、おまえがそうよびたけりゃ、それでもいい。」

    これは、ルドルフとイッパイアッテナが出会い、名を名乗るシーンである。

    なお、以下、ルドルフのことを私はイッパイアッテナや他の仲間達と同様に
    ルドと呼ぼうと思う。私にとってもその方がぴったりとくるのだ。

    「イッパイアッテナ」は、名まえがたくさんあるという意味だったのが、
    ルドによって名まえに転化されたものなのである。

    イッパイアッテナはルドによってイッパイアッテナになったのだ。

    それが、彼がルドにとって特別な存在になったはじまりなのである。

    名まえで固体識別し、さらに、自分だけの名まえを相手につけて、
    その意味で相手を自分のものにしようとするのは、人間だけなのかもしれない。

    イッパイアッテナは、そのあたりをうまく心得ており、
    自分にご飯をくれるそれぞれの人たちが
    トラだのボスだの好き勝手に自分を呼ぶのを許している。

    イッパイアッテナには自分を最初に名付けてくれた存在がいて、
    本当はその存在に対しての気持ちをずっと持ち続けているのだが、
    それとはまた別のこととして、
    たくさんの名前を持つことで、したたかに生きているのだ。

    ところで、最初のシーンで、
    ルドにとってイッパイアッテナは特別な存在になっているのだが、
    当然ながら、イッパイアッテナにとってもルドは特別な存在になっている。

    といっても、イッパイアッテナは、ルドの名まえを一度では覚えていない。

    特別な存在になるというのは、名前を覚える以前に決まることなのかもしれない。

    ルドがイッパイアッテナの特別な存在になったきっかけは、
    ルドが自分を見て逃げ出さなかったというのもあるのだが、
    ルドが大きなイッパイアッテナを恐れながらも、
    自分の言いたいことをきちんと伝え、
    自己を表現していたところにあるのだろう。

    出会った瞬間に特別な存在になる相手とは、
    なんだか不思議な力が働いているようである。

    このイッパイアッテナが名前をたくさん持つことについて、
    こんなことを語った者がいる。

    これは『ルドルフともだちひとりだち』に出てくる。

    これから読む方のために
    これが誰のセリフであるのかはここでは内緒にしておくが、
    イッパイアッテナのことを見事に象徴しているので引用したい。

      「イッパイアッテナか。名まえがいっぱいあってな。

       友だちがいっぱいあってな……。

       イッパイアッテナっていい名前だな。」

    また、所属についてだが、ここでいう所属とは、
    飼いねこであるか、ノラねこであるかということである。

    このテーマは、ルドがシリーズを通して考え続けたテーマである。

    もともとはリエちゃんに飼われていて、魚屋のししゃもを盗んで逃げているときに
    遠くに行くトラックの乗ってしまったばかりに帰れなくなったルドは、
    イッパイアッテナとともにノラねことして過ごしてきた。

    ところが、イッパイアッテナもずーっとノラねこというわけではない。

    仲間のひとりの金物屋のねこ・ブッチーもこのテーマに向き合うことになる。

    ルドは、リエちゃんとの関係においておおいに悩むことになる。

    これらのテーマに対して、悩みながら彼らは彼らなりの答えを見つけることになる。

    『ルドルフといくねこくるねこ』の中でブッチーが感動的な長セリフを語るシーンがある。

    これは、3冊読み続けた人へのごほうびのような言葉に思えるので、ここでは引用はしない。

    名前や所属についてのテーマ、自分が何で存在するのか、自分の価値、
    そういったすべてを貫く言葉がそこにある。

    さらに、ルドには、イッパイアッテナにもブッチーにもない彼だけの特性がある。

    それは、「黒ねこである」ということだ。

    黒ねこであることについて、本当のねこは実は少しも気にしていないかもしれない。

    トラねこやブチねこと同様に生まれたときから
    毛がそのような色をしていたからそうだったというだけで。

    だが、人間によって黒ねこは特別な意味を付加されているので、
    ルドにとっても黒ねこというのは重要な要素になる。

    ルドは黒ねこだから縁起が悪いと言われ、おもしろいことを考えている。

    彼は、素直で言われたことを文字通りに考えるところ、
    そして、筋道を追って順に理窟っぽく考えるところがあり、
    その考えた経過が全部文字になっているところがまたおもしろい。

    自分が黒猫であることについてもそんな感じで理窟っぽく考えているのだが、
    その論展開は実際に読んで確かめていただくとして、
    彼はしっかりこう思っているのだ。

      黒ねこに生まれたことは、ぼくのせきにんじゃないし、
      ぼくは黒ねこに生まれたことに、ほこりをもっているんだ。

    実際に、彼が頭を使って作戦を考え出し、
    黒ねこであることを生かして戦うところもある。

    それもお楽しみに。

    さて、ルドやイッパイアッテナやブッチーの考えてきたテーマは、
    自分たちに置き換えるとどうなのか。

    そうやって考えてみると、これはかなり深いテーマなのである。

    自分の存在意義について、子どももある年齢になると考え出す。

    ルド、イッパイアッテナ、ブッチーは、子どもの深遠な問いを
    等身大に一緒に考えてくれる存在なのかもしれない。

  • 字を読み書きできることは、物事の意味を理解することは、それが目標ではなく、あくまで手段である。
    「絶望」という言葉とその意味を知っているならば、それに対処することができるはずだ。猫にだって、犬にだって、人間にだって。

  • 猫が好きになったきっかけ。起承転結がしっかりしたストーリーも出てくるキャラもみんないいんですが、杉浦範茂の絵が最高なんですよ。

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著者プロフィール

1952年、東京都生まれ。中央大学大学院文学研究科修了。1986年、『ルドルフとイッパイアッテナ』で講談社児童文学新人賞受賞、同作でデビュー。1988年、『ルドルフともだちひとりだち』で野間児童文芸新人賞受賞。1991年、路傍の石幼少年文学賞受賞。2013年、『ルドルフとスノーホワイト』で野間児童文芸賞受賞。「どうわがいっぱい」シリーズの作品に、「もぐら」シリーズ、「ペンギン」シリーズなどがある。

「2022年 『がっこうのおばけずかん シールブック 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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