ダンディ: ある男たちの美学 (講談社現代新書 973)

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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061489738

作品紹介・あらすじ

ダンディとは、画一と平均に反抗し、徹底してファッションや作法の教則本をきらい、商業主義に背を向ける。ものに動ぜず、品位を重んじ、何より単純さと無意味さを好む。「近代」という化物を批判し、からかいつくす、ボードレールとその仲間たちの、痛快な生きざまの美学。

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  • ボードレールとその仲間たちという副題に心ひかれ。ただ、ダンディはなにかとは定義、体系化できず。己のスタイルを作り上げ、人と異なれ、と。誰かが追随した瞬間、それはダンディではなくなるのでは、と。しかし、サン=クリック公爵のように自分の長靴にアイスクリームを流し込むような奇態もまたダンディではない。そして、肥満はもっとも避けたいことであった、と。なかなかにつかみどころなく、魅惑的な余韻だけ残して。

  • ボードレールを中心にダンディたちとその批判の矛先を描いた著作の抄訳である。
    ここでダンディと呼ばれる人物は、「同時代に人気を集めていた、効率、進歩、速度、金銭、なににもまして成功といった事柄」を否定し、画一化した精神を嫌悪する人々として登場する。19世紀に発展していった資本主義経済と労働に体するアンチテーゼとしての存在とでもいえる。ボードレールはじめ、バイロン、シャトーブリアンなどの文筆家が名を連ねており、「世間とは違う」ことを表現するのに服装や身のこなしに加えて「物を書く」ことに焦点が定められているといった印象を受ける。
    そもそもこのように時代への反抗と簡単に言ってしまうと、20世紀のモダニズム芸術やロックなどのカウンターカルチャーも同じ性格を共有しているといえる。
    ダンディたちが特徴的なのは主に19世紀という時代と、ダンディであることが、芸術作品として表現されるかどうかよりも、生活スタイルに現れている所に特徴があるように思えた。

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