今こそマルクスを読み返す (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061490017

感想・レビュー・書評

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  • 最近衰退の一歩をたどる「マルクス経」をもう一度考え直す一冊。

  •  読み初め、まずは著者の学理的な緻密な言葉遣いに驚かされる、というか出鼻をくじかれるといった方が正確か。
     マルクスに対してこびへつらうことなく、著者の理路に引き込んでいく牽引力が相当強い。とは言え、独善的にマルクスを語っているわけではなく、あくまでも学者としてひとりの人間としてマルクスと対峙している気概を感じる。
     マルクスの解説ではないことをこころして手に取る本だ。 
     

  • 2017年にマルクスを読み直ししてみた。
    色々な意味で「わかりやすい」。

    とはいえ「歌ってみた」「踊ってみた」みたいなネタのノリでしかない気がした。

  • 著者のマルクス論を簡潔に提示した入門書。

    著者は、西洋の実体論的発想と対置される、関係の第一次性の立場から、マルクスの思想を理解する。著者は『資本論』の内容の紹介に先立って、みずからの物象化論の概要に触れている。「物象化」とは、人と人との社会的な関係が、日常的な意識において自立的な物象の相で現象する事態を意味する。ただしこの物象化を、心的ないし精神的なものが物的ないし客体的なものへと転化するという仕方で理解してはならないと著者は言う。そうした理解は、近代哲学の二元論的対立を前提としている。だがマルクスは、そうした二元論的な枠組みを解体し、関係の第一次性の立場に至ったというのが著者の理解である。それゆえ「物象化」も、そうした関係が物象の相で現われることと理解しなければならない。

    こうした物象化理解に基づいて、『資本論』の内容が検討されてゆく。まず、投下された必要労働量に応じた「価値」が物象化され、その価値に応じた交換が「等価交換」として思念されることになる。マルクスは、こうした等価交換の考えに基づいて、雇用労働に対する対価が労働能力の生産・再生産費とみなされるようになることを指摘し、さらにそうした資本主義の進展が剰余労働の搾取、領有法則の転回に至ることを論じた。

    他方で、資本主義において労働力は他の商品と同様に扱われることになることに注意しなければならない。それは、労働力の購入者である資本家が、購入した商品である労働力を、みずからの権限で使用できるということを意味している。ここからマルクスは、資本主義において労働者の形式的包摂にとどまらず実質的包摂が生まれ、「賃金奴隷制」が成立することを説いた。

    著者はこうしたマルクスの思想を紹介した上で、資本主義の克服は単なる法的レヴェルにおける生産手段の私的所有制度の廃止だけでは不十分だと述べている。私有財産制を廃して全生産手段を国有化したところで、国家という報人資本家が国民を雇用して賃労働をさせる「国家資本主義」が生まれるにすぎないのであれば、賃労働制度の止揚は実現されない。マルクスは私有財産制の廃止は必要条件の一つにすぎず、労働力の商品化・物象化を止揚した自律者社会を理想的未来像として思い描いていたのだと、著者は主張している。

  • 難しかった。社会主義はマルクスって言われてるけど、ソ連のマルクス論は実は少しずれていた。-という感じです。資本論も触れていたんだけど、私には難しすぎて、3割理解したらいいところ。いつか読みなおして、その時「こうゆうことを言ってたんだ」とわかる大人になりたい。

  • 私には難しくて読めなかった.意味が分からない.

  • 大学1回生、猛烈な学習意欲に駆り立てられ、教養科目にもかかわらず、自ら本著を購入。哲学は奥が深いものなんだと気付かされた。

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