フロイト (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061588608

作品紹介・あらすじ

19世紀の科学的知性を心の世界に向け変え、20世紀の思想・芸術に衝撃的な影響を及ぼしたフロイト。その独創になる精神分析は、人間の潜在意識の領域に挑んで性欲動(エロス)と自己破壊(タナトス)にかられる無意識界を直視させた。本書は、膨大な全集から精選した著作と論文を通して、彼個人の夢や失錯行為の自己分析および臨床経験など、身近で具体的なフロイトの精神分析を理解できるよう配慮した。フロイトの思想体系を総合的にとらえた研究書。

感想・レビュー・書評

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  • 請求記号:G/146.13/O53
    選書コメント:
    精神分析学という観点からだけでなく、フロイトを少ししっておくと色々面白くなると思います。
    (東松山図書課 整理担当)

  • 70年代に編まれた講談社の『人類の知的遺産』シリーズの一冊だがいまだに十分通用する密度をもつ。思想、生涯、著作、現代への影響という四部構成はありきたりのようにもみえるが、多角的な照射が効果的で、新しい気付きが少なくなかった。ひとりの思想家を追っかけるのは楽しくもあり骨でもある。安心よりも期待と裏切りの浮遊感のなかにいたほうがそれは長続きするように思える。

  • ユングとフロイトを比べると、ユングの方が私は好きなのだが、理由の1つはフロイトの解釈が性に傾き過ぎているように思えるからだ。フロイトの気短さや、個人の生き方が率直に出過ぎる気がしていたが、はじめて人の心にメスを入れた権威者として、カリスマがあったのかもしれない。ブロイラーは、ユングのように宗教的でもフロイトのように性的でもない個人主義的だが、そのせいで柔和に見える。
    なんにせよ、苦手とするフロイトのことを深めようと思って読んだ。

  • 抑圧とかエディプスコンプレックスとか。

    2008.12.1 第28刷/2009.10.20 購入

  • 最近では、心理学を使った啓発本、また、それに近いスピリチュアルという概念を使った啓発本が毎日のように出されている。

    それの元を考えると、このフロイトは大きな役割をしていると考えられる。

    というのも、心の深層、探求の方法、連想法、抑圧、エディプスコンプレックス、夢、口唇性格、イド、超自我。これらは、精神分析学を創始したフロイトの研究のキーワード(貫成人の哲学史参照のこと。)であり、このことが今では多くの啓発本に記載されている。

    ただし、フロイト論はフロイト自身の弟子の中に多くの反論者がいる。
    有名なところでは、ユングであり、また、アドラー、シュテーケルである。

    フロイトは、個人の病を、感情の成長がうまくできなかったために発生したものと論を立てて、証明しようといていた。その分析が「精神分析」だとしている。

    ユング:
    フロイトの小児性欲とエディプス・コンプレックスを支持せず、アメリカで精神分析を広めた時は、性的因子を強調する必要はないとした。第四回国際精神分析学会でフロイトは「ユングは、私の精神分析学を正確に踏まえたものではない」と述べて、公的に批判した。また、自身の著作「無意識の心理学」では、フロイトの説は神経異常の一部を説明しうるだけだということを示唆した。そこで、自分の学説「古態型」といわれる。各個人が人類の全歴史を繰り返すというフロイトの考えに同意しながら、彼はある普遍的な(人類に見られる)原始的なイメージは、闇のなかに鎖で縛られている獣びように、各人に残存していて、時に飛び出してきて、ある条件のもとでは、思考する精神を圧倒することがあるといった。彼のいうところでは、感情的に健康な状態というのは、このような原始的な「古態型」の力に縛られない状態である。このような原始的な心の動き方の束縛から逃れ出たときのみ成長するとした。彼の心理学を「分析心理学」という。

    アドラー:
    感情の成長の阻害による発病ではなく、「個人が持っている身体的劣等感が病を起こしている」と主張。背の低い人は、劣等感から自分を守るために攻撃的になり、身長の高い人は、身をかがめて目立たないようにする。
    この考えは、フロイトのエディプス・コンプレックスと入れ替えようと試みた主張であった。その後、新しい学派を作り、自らの学派を「個人心理学」とした。早期性痴呆=精神分裂病

    シュテーケル:
    フロイトは消極的な聞き方により、相手に自分の病を自覚させることを診療で行っていたのに対して、シュテーケルは積極的に助言を与えることで導こうとした。これに対してフロイトは「精神分析は心の外科手術、当然、ルールもある。また、助言をすることで、相手の自由を奪い、正確な診療ができないとした。どのように独立した人間になれるだろうか」

    ミルトン・エリクソンなどの催眠治療にも興味を持つようになった。

  • 随分前に読破したのだけれど、言葉、用語が難しくて、もう一度読みたい本。

    心理学、もうちょっと幅を広げてみようかな。

  •  2009.3.11-21.

  • 2005

  • 小此木啓吾先生によるフロイトの理論と実践について理解するための書である。480ページ位のボリュームがあり、文章もなかなか読みこなすのに難しいところがあるが、マイペースで良く噛み砕いて読みこなしてゆくと人間の心の仕組みについて理解することができ、なかなか興味深い内容である。
    職場の管理職やリーダー的なポジションに携わる方、カウンセリング的なことに携わる方はぜひとも読みこなす必要があるのではないでしょうか。

  • マジメな本も読んでます。

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著者プロフィール

1930年東京府生まれ。日本の医学者・精神科医、精神分析家。学位は、医学博士。1954年慶應義塾大学医学部卒業。1960年「自由連想法の研究」で医学博士の学位を取得。慶應義塾大学環境情報学部教授、東京国際大学教授を歴任。フロイト研究や阿闍世コンプレックス研究、家族精神医学の分野では日本の第一人者である。著書はいずれも平易な記述であり、難解な精神分析理論を専門家のみならず広く一般に紹介した功績は大きい。2003年没。主な著書は『精神分析ノート』(日本教文社,1964年)、『モラトリアム人間の時代』(中央公論社、1978年)、『フロイトとの出会い―自己確認への道―』(人文書院、1978年)など。

「2024年 『フロイト著作集第7巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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