未完成 (講談社ノベルス コI- 3)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061821811

感想・レビュー・書評

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  • 本筋はミステリーだけどら日本を取り巻く様々な問題も突きつけられる。自分はきっと他の国の人々よりも生ぬるい環境で暮らしているんだろうな、と思わされる。
    登場人物はとにかく皆んなカッコよくて、そして優しくて強い人たちばかり。
    シリーズ物だと知らなかったので、他の作品も読もう。

  • アンノウンの続編。朝香二尉と野上三曹コンビの話です。
    島の基地内で 小銃紛失。誰がなぜ?
    推理としても楽しめますが 自衛隊の内部の話も 色々考えさせられる内容になっていますので そちらも興味深く読み応えがありました。

  • 「アンノウン」のその後、またあのコンビが登場。
    小さな島の自衛隊基地で起きた銃消失の調査のため、島へやってきた二人。
    自衛隊、国防、戦時中の強制連行、在日問題など、
    ミステリーの謎解き以上に大きな重い物、作者が本当に伝えたいのはそこなのだろうと感じた。

  • 孤島の自衛隊射撃場で小銃が紛失します。謎は「誰が」「どうやって」の後に「なぜ」に焦点があてられます。謎が小粒過ぎてあまりストーリーに魅力を感じないのは否めませんが、随所にヒントをさり気無く伏線を忍ばせしっかりとした本格ミステリーが構築されているので、純粋に推理を楽しめる作品だと思います。

  • ★4.5

  • 南シナ海の過疎の島に常駐している自衛隊の基地。ある意味、密室となっているはずの射撃練習場で小銃が無くなるという事件が発生した。

    派遣された調査班の朝香二尉と野上三曹が少しずつ、確実に謎を解いていく探偵物。自衛隊の生活・存在感がリアリティー溢れるように浮き出してきて、どんどん読み進めてしまう。鬼気迫るものは無いが、読者のはずなのに調査班の二人になった気になって、誰が犯人なのだろうかと、実際問題、こんな風に銃が無くなったりしたら大変なことになるんだろうな。なんて考えさせられてしまう。

    ラストには、人種問題を絡めたテーマ性が提示されるが、個人的には単なるミステリー物として愉しみたかった。ただ、その部分も話の深みを出していて、話の深みとなっているともいえる。

  •  「諜報のエキスパート」防衛部調査班、朝香二尉と相棒の野上三曹登場の自衛隊内ミステリーの第二段。
     ミステリーとしては、これも面白く読めました。 野上三曹が「幽霊が恐い」というのは、笑ってしまいました。
     でもやっぱり「軍人」「軍隊」「国防」という記述には ちょっと身構えてしまいます。

  • 2002年度版本格ミステリベスト4位。面白かった。初めて読んだ作家さんだと思うけど。2段組だし、自衛隊もので難しそうだな、と思ったけど、読みだしたら一気に読めた。佐渡二佐をはじめ、島の隊員たちは本当に素敵だ。日本の国防意識の低さ、自衛隊に対する揶揄、在日朝鮮人への仕打ち、そして謎解き。何もかも面白かった。朝鮮人が特攻をやったなんて全然知らなかった。登場人物に誰一人嫌な人がいない。朝香二尉と野上三曹ペアの前作もあるそうだ。絶対読まなきゃ。

  • 古処誠二の現代物3冊目。
    思考停止してない自衛隊もの。
    この人は戦記に移動してよかったんだなあ。

  • 8位
    ミステリは教養小説になり得る。
    少なくとも古処誠二さんにとっては。

    私は古処さんの『UNKNOWN』
    を読んで、新鮮な感動に襲われた。

    舞台は現代の自衛隊。
    ちょっと単純で明るい主人公が
    不思議な名探偵の導きで
    自分の今いる場所を考えるようになる。

    まぶしいほどさわやかな成長小説だった。

    しかし成長はそんなに続かない。
    残念ながらこのシリーズは
    二作目の『未完成』で終ってしまった。

    以後の古処さんは答えのない
    現代文学を書いている。

    『戦争文学を読む』にめずらしく
    インタビューが載っているけど、
    笑ってしまうほどストイックな人だ。

    唐突なたとえだけど、
    アガサ・クリスティーにとっては
    ミステリを書き続けることが
    人生に立ち向うことだった。

    彼女の偏見、衰弱、限界、
    様々なものがミステリに現れている。

    しかし古処さんにとっては
    ミステリを捨てるというのは
    なんとも誠実な行為だったと思う。

    私はミステリという形式が好きだが、
    それが万能ではないということは
    肝に銘じておいた方がいい。
    私の保守的な好みは
    打破された方がいいのかもしれない。

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著者プロフィール

1970年福岡県生まれ。2000年4月『UNKNOWN』でメフィスト賞でデビュー。2010年、第3回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」受賞。17年『いくさの底』で第71回「毎日出版文化賞」、翌年同作で第71回「日本推理作家協会賞(長編部門)」を受賞。著書に『ルール』『七月七日』『中尉』『生き残り』などがある。

「2020年 『いくさの底』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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