どんどん橋、落ちた (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061822184

作品紹介・あらすじ

究極のフーダニットか、袋小路への道標か。ミステリ作家・綾辻行人のもとに持ち込まれる難事件の数々!落ちた「どんどん橋」の向こう側で、殺人はいかにして行なわれたのか?(表題作)"明るく平和な"あの一家を次々と不幸が襲い、ついに最悪の犠牲者が…(「伊園家の崩壊」)。ほか、全五編。本格ミステリの現在と未来を問う、超難問"犯人当て小説"傑作集。

感想・レビュー・書評

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  • 再読。実家にあった本。新本格の旗手、綾辻さんのフーダニットに凝った変格短編集。と言えば聞こえがいいが、正直超バカミス短編集です。失礼ですが、作者が蘇部健一さんとかで出てたら、全然売れてないような気がします。全体的に作者らしい叙述トリックに凝った作。

    どんどん橋、落ちた
    確か京大ミス研の犯人当て小説のリブートのはず。
    新本格の批判である「人間が書けてない」に対するアンサーでしょうか笑。これ、強烈なんで流石に覚えてました。

    ぼうぼう森、燃えた
    続けて読むとひっかかる感じです。こっちは忘れてた。配置図とかある割にあんまり関係なく、ある意味双子の見分け方のシンプルな小説。

    フェラーリは見ていた
    なんで犬は吠えなかったの?というネタから二転三転する。短編なんでこんなのがあっても良いかなという感じ。

    伊園家の崩壊
    サザエさんをブラックなミステリにパロディしたらこの有様。これあれですね。昔流行った磯野家の真実というB級本の影響ありますね。しょっぱなのシーンでそう感じました。二つの毒物のうち何故片方を選んだのか?から犯行と犯人が絞り込まれるのは、ロジカルで好き。今となってはサザエさん自体全然みてないし、ピンとこなかった。

    意外な犯人
    TV脚本のリブート。シンプルでわかりやすくて良いと思いました。コロッと騙されてしまった。連作の最後として、不思議なオチもあります。

  • なるほど、これも確かにミステリーだ!という感じはした(笑)。本格ものの定義(に基づくリアリティというか、世界の構築の仕方というか)を十分わかっていないのかもしれないけども、書かれたことから考えるという原則からみたら、そんなもんなんだろうと思う。ただ「そ、そういうオチなの!?」っていうところはなくはないのかもしれない。深く謎解きだと思わず、コメディとかだと思えばいいんじゃないだろうか。

  •  犯人当て小説5話収録。
     一筋縄でいかない話ばかり…というのは、私は事前にこの本を紹介してるサイトで見ていて知っていたので、確かに、これが真相かよ! と思うものばかりなんだけれど、その点についてガッカリしたり苛立ったりはしなかった。
     でも、そういうことを知らずに読んだほうが、負の気持ちにもなったかもしれないけれど、驚き要素も大きかったかもね。

     ちなみに5話中4話は読者への挑戦状が付いているけれど、それは単なる私たち読者への挑戦状ということでなく、作中に登場する綾辻さんへの挑戦状でもあり、話の中で綾辻さんがその問題に挑み、回答する形式なのがおもしろい。

     飽くまでも、地の文に嘘はなく、作中に登場しない人物や道具、秘密の通路などもない、ということを、繰り返し繰り返し作中で明示してくれているにも拘らず、やっぱりつい騙されてしまう。

     伊園家の崩壊は、その事件とは関係ないところでも、伏線がすごいと思った。
     でも、常さんの狂乱の原因は結局何だったんだろう…。

     ただ、第5話のオチ(犯人当ての部分のオチでなく、Uくんと綾辻さんのやりとり)の意味がよく分からなかった…。
     綾辻さんの作品を他にも読んでれば分かるヤツなのかな(これもパロ?)

     あと、暴虐で加虐な子どもが登場しすぎ!

  • 収録された五編のうち四編に読者への挑戦がついた「犯人当て」作品集。
    ですが、作者のファンでなければ(ひょっとしてファンも?)怒り出す人もいるのでは?などと、つい心配をしてしまいたくなるような異色作だと思います。
    再読なのでさすがに驚きはないですが、あちこちに見受けられる伏線はやっぱりよく考えられてますよね。
    伏線確認の為に、初読時よりも集中して読んだかもしれません(笑)。

  • 技法やひねり方が、綾辻さんらしいと思います。自分でも推理しながら読んだので、頭を使ったな〜と感じました。

  •  再読。究極のフーダニット短編五話の詰まった本。さすがにインパクトが強すぎて、どんどん橋とぼうぼう森のトリックは覚えておりました。ミステリ書きってのは難儀な生物だなぁ、と思うね。ミステリ読みも難儀な生物ですよね。なんというか、言葉の一つにさえ気を張らなきゃいけない感。だから面白い。殺人事件、とすら軽はずみに口に出来ない、その縛りがあるから面白い。
     これはね、本格というものを知らないひととか、ノックスの十戒、ダインの二十則の内容は知らなくても言葉を知ってるくらいにはミステリのことを知ってるひとでないと、なかなか読むのは辛いかと。フーダニットという言葉を知らないひとにもお勧めはしません。普通は怒りそうな気がする。子供だましだよ、って。
     なんか、うん、そうじゃないんだ。そうだけど、そうじゃないんだ。ほんと「袋小路」なんだよなぁ。本格ミステリという小説が取る形態、犯人当て小説が取る形態の行き着くところ。それを暗喩しているというか、ある意味自嘲しているというか、警告を発しているってほどでもないんだろうけど。だから面白い。
     あと話の中のトリックだけでなく、話しにオチが組み込んであるあたり綾辻らしいなぁと。ひたすら悩んでいる自由業者リンタローと、何があっても犬っぽいタケマルが好きです。「伊園家の崩壊」が酷過ぎて笑えてくる。
     抜粋。
    「犬はタケマル。誰が何と云おうと、ボクぁ断じてタケマルだなあ」
     「フェラーリは見ていた」からU山さんのお言葉。

    12.10.09

  • ただの推理ゲーム

  • 面白かったです。
    本格を極地までやるとみたいな作品ですね。

  • 叙述トリック のフーダニットです。


    細かい重箱のスミをつくような叙述トリックよりも
    私はちゃんと小説として面白い推理小説のほうが好きだなぁ。

  • 馬鹿馬鹿しさと、放り出されたような不安定感が絶妙に同居。

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著者プロフィール

1960年京都市生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。87年、大学院在学中に『十角館の殺人』でデビュー、新本格ミステリ・ムーヴメントの契機となる。92年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2009年発表の『Another』は本格ミステリとホラーを融合した傑作として絶賛を浴び、TVアニメーション、実写映画のW映像化も好評を博した。他に『Another エピソードS』『霧越邸殺人事件』『深泥丘奇談』など著書多数。18年度、第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2023年 『Another 2001(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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