二十歳の火影 (講談社文庫 み 16-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061830592

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  • 自分を変えた一冊として挙げるなら、何か。
    私はこの『二十歳の火影』を挙げる。

    宮本輝のちょっとはにかんだ青春時代を追うと、なんだかうきうき楽しくなってくる。
    そんな中で「蜥蜴」のように、生についての触感にハッと思わされるような話もあって、すごい。

    元はと言えば、大学の教授に講義とはまったく逸れた所で紹介された一冊である。
    けれど、この一冊は手軽に踏み込んでいっていいんだよ、と優しく手まねきしてくれているようで、私に対して読書という道を示してくれた貴重な一冊なのである。

    二十歳とはどんどん離れつつある私なのだが、二十歳を迎えた私が読んだ感動と、離れていきつつある私が読む感傷はそれぞれに愛おしいものであると思う。

  • 受験勉強の中で目にし、非常に印象に残っているエッセイが一つ、あります。
    それは、この本に収録されている「途中下車」という一編。

    確か、受験問題(か予備校の演習問題)で触れた一編でした、分量としては2-3ページ程。
    当時10代であった自分はその内容にものすごく感情移入し、心にしっかりと刻み込みました。

    その前後もしくは続きが読みたくて読みたくて、大学に入ってからも図書館や書店などを「途中下車」の題名をキーワードに、
    当時(1990年前半)はネットなんて便利なものはありませんでしたから、必死に歩いて探した覚えがあります。

    結局はそのやり方では見つからず、大学図書館で宮本さんの全集を片っ端から漁り、
    そこで初めて、問題に出ていたものが全文でエッセーの一つであったこと、を知りました。

    青春時代の甘酸っぱい淡い恋心、そして、その残酷さ、「今」であれば、こう表現してしまいますが、
    当時は、ただ、ただ共感してました、等身大の自分と重ねていたのだと思います。

    そういえば自分も、地元の国立後期試験を受けに行く途中に、ちょっとだけ道が重なった人がいました。
    名前は交わさずに「頑張りましょう」との言葉を交わしただけでしたが、、元気だろうか。

    なんてことを思い出しながら、久々に読み返してみました。

  • 宮本輝のサイトを見ていたら、この本に収録されている「途中下車」という話が気になり、購入。何気ない話なのだけど、読んだ後の余韻がよかった。

  • 宮本輝さんの本が好きで、結構読んでいます。先日、古本屋で購入、読みました。宮本さんのいろんな作品のベースになったいる少年時代青年時代のことが分かって、ますます宮本さんのファンになりました。二十歳かあ、遠くなりました。

  • 最高

  • 宮本輝さんの最初の随筆集。奇想天外なストーリーでハラハラドキドキ、、というわけではないのに、どんどん先を読みたくなって、なんか前向きになれる。そんな読後感は、小説と通じるところ。

  • 子どもの頃から 芥川賞を受賞し,その後随筆を
    書くに至った 時々の 宮本輝の スケッチ。

    流転の海にでてくる 熊吾のような父は
    もはや存在せず、落ちぶれた父親。
    ちょっと神経質な 母親。
    そして、屈折した 宮本輝が 浮かび上がる。

    小説のネタが ちりばめられていて、
    コピーライターから 小説家になろうとした
    その決意が 平易に語られている。

    吉野せいの「洟をたらした神」が きっかけとなる。
    泥の河 蛍川 道頓堀川。
    川に,みずからの人生をたくす。

    たしかに 言葉の操り方が たくみで
    すんなりとはいってくるのがいいね。

  • 旅の間中、何度も読み返した。傑作。いつものことだけど、この人の短編には、後の長編作のバックグラウンドや大元のストーリーが潜んでいて、おもしろい。。ふふ。。教科書に載せるレベル。

  • どこかに共感できる部分が見つけ出せる本という気がします。

  • このエッセイで宮本輝がすきになったので、個人的には思い出の一冊。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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